院長ブログ

乾癬性関節炎のお勉強

7/21の強直性脊椎炎のお勉強に続き、
7/22は乾癬性関節炎のお勉強をしてきました。

200人に1人が罹患する関節リウマチに比べると、
その罹患人数はかなり少なく、当院でも開業7年間で数名診断した程度ですが、
実は乾癬で皮膚科に受診している患者さんの中にも
皮膚科の先生では見逃してしまっている関節炎の患者さんが多数存在するという報告もあります。

今回はその乾癬性関節炎の勉強会の報告です。

Psoriatic Arthritis Nationwide Forum
虎ノ門ヒルズ

大阪市立大学 岡野匡志先生
メカニカルな腫脹か、炎症による腫脹かを見分けるためにechoを行う。
関節外に炎症が起こると指炎になる。

PsAエコー所見
付着部炎を主体とした所見
皮膚から骨までの距離が長くなっている。
伸筋腱自体の腫脹
関節内滑膜の肥厚
伸筋腱や関節包の付着部から波及した炎症所見(リウマチでは関節内の滑膜炎)
付着部炎症部位に骨増殖性変化、骨硬化像
屈筋腱鞘滑膜炎、伸筋腱周囲炎を起こす。Functional enthesitisといわれる。腱鞘滑膜炎ではない。PTIpatternと呼ばれる。(peritennon)
骨棘ができてしまえば炎症がなくても押さえると圧痛が出る。超音波で炎症を見分ける。
足底腱膜付着部の肥厚も見られることがある。

付着部炎の治療 NSAIDs→BIO(TNF、IL-17、IL-12,23)
関節炎の治療 NSAIDs→MTXorSASP→BIO
SpA患者の半数は機能障害をきたしている。超音波を活用して早期診断を行い、tight controlを。
RAでは当たり前となったT2T Treat to Targetを乾癬でもしっかり行う。

慶応義塾大学 金子祐子先生
Enthesitis 付着部であればどこに炎症が起こってもよい。
RAはprimary synovitis
SpAではprimary enthesitisから波及するsecondary synovitis

CASPAR2006
RF陰性、指炎、関節筋傍の新規骨形成が特徴

DIP、PIP、MPと縦方向に病変が及ぶのが乾癬
RFは同一関節に横断的に所見が出やすい。
関節所見のscoringはRAのmTSSにDIPを加えたVDHの評価があるが、暫定的。
PsAは太っているといわれるが、日本人ではそんなに太っている印象はない。
IL17A阻害は2年継続67%の有効性
セクキヌマブ300㎎ ACR20 70%、ACR50 50%、ACR70 30%
MDAresponse 30~40%
他院でSLE+RAと診断されていた症例。IFX導入されていた。皮膚科で尋常性乾癬の診断。ADAに変更し、関節炎が増悪。Secukinumabに変更して寛解。
PsAは様々な部位に病変が出るため、GRAPPA A&R2016 病変部位に応じた治療strategyを。

NTT東日本関東病院 皮膚科 五十嵐敦之先生
乾癬皮疹がQOLに与える影響とその見極め方

PASIを大幅に良くしてあげないと患者さんのQOLはよくならない。皮疹面積と患者QOLは必ずしも相関しない。
患部を見られること、美容院、理容院に行くこともストレス。
服装にも制限があると感じている。
医師の改善評価と患者の改善評価にもGAPが大きい。
典型的な発疹は大きな膨隆疹だが、小病変が多発するもの、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬もある。
膿疱性乾癬では皮疹辺縁に膿を伴い、発熱で命に係わることもある。
多発性骨髄腫に対しIFNα投与中に尋常性乾癬を生じるなど、薬剤誘発性乾癬もある。
Ca拮抗薬、βブロッカー、NSAIDs、TNFα阻害薬、IFNαなどが誘因となる。
鑑別:CTCL(皮膚悪性リンパ腫)、類乾癬、梅毒、脂漏性皮膚炎、脂漏性乾癬(sebopsoriasis) 最終的には皮膚生検が必要。
小児の乾癬はアトピーとの鑑別が難しい。頭皮、爪、爪囲、関節症状、腰痛のチェックが必要。
眼鏡による圧迫も皮膚症状発現の刺激になる。
疾患の重症度が上がると死亡リスクも上がる。
皮疹はsecukinumab投与4週でかなり良くなる。12週~24週でPASI1台に。
5年成績 SCULPTURE試験 50%はPASI1以下を5年間維持。

東邦大学 亀田秀人先生
IL17A治療におけるリスクマネジメント
感染症の予防として、身体を冷やさない。マスク、うがい、手洗い、皮膚の傷を作らないことに注意してもらう。
IL17A/Fは感染防御にも関与。好中球のリクルート、炎症性メディエーターの発現誘導など
SCULPTURE試験では重篤ではないカンジダ感染症が年間1~3例。死亡例、重篤感染症は見られず。
secukinumab中和抗体は3000例に3例。
免疫原性もウステキヌマブよりも低い。

産業医科大学 宮川一平先生
乾癬性関節炎におけるBIOの使い分け
EULAR2015 recommendation
GRAPPA2015 recommendation
使い分けについてはまだ不明。
Th17dominant、Th1dominantに応じて使い分けたところ、治療成績は改善した。効果が得られなかった症例は見られなかった。9割でSDAI寛解。Rheumatologyに投稿中。
Th17有意→secukinumab
Secukinumabで内臓脂肪も減る??

東京理科大学 岩倉洋一郎先生
炎症性疾患におけるIL17の役割
IL17AはCD4+ヘルパーT(Th17)細胞から産生され、自己免疫、アレルギー応答、感染防御に重要な役割。
好中球の産生、遊走を促し、細菌や真菌の感染防御を行う。
関節リウマチモデルで亢進している。
RAではsensitization phaseからElictation Phaseへの移行にTH17が関与
Th17 の分化にはIL6とTGFβが重要
IL-1 とIL-23が協調的にIL-17発現を誘導する。
IL17F欠損マウスでは腸管でclostridiumやLactobacillus菌が増殖し、抑制性T細胞Tregが増加し、腸管の炎症が抑制される。
抗IL17Aを投与するとDSS誘導大腸炎は増える
抗IL17F抗体はDSS誘導大腸炎を抑制することができる。
IL17FはIL17Aと異なり、生理条件下で腸管の種々の細胞から恒常的に産生されている。
IL-17産生性γδT細胞がIL23誘導乾癬様皮膚炎の発症に重要な役割を果たしている。
IL36αは自然免疫受容体シグナルにより皮膚のLangerhans細胞から産生される。
IL36α欠損によりIL17産生が低下する。
病原体、あるいは他の自然免疫活性化刺激物質によるLCからのIL36αの誘導が乾癬発症のきっかけとなる。
物理的刺激、あるいはHLAB27遊動ERストレスによる付着部細胞の活性化も誘因。
強直性脊椎炎を引き起こす3型免疫担当細胞は腸管由来である可能性が高い。
AS患者の多くで腸炎が認められ、腸内フローラの異常が認められる
IL-23は付着部炎を誘導する。

Prof Jurgen Braun Ruhr Univ
Pathophysiology of Spondyloarthritis
2018 Lancet secukinumabが5年間のradiographic progressionを防いだとの報告

2018.07.27 | コメント(0)

ファイザー社内講演

今日はファイザー製薬からお声をかけていただき、骨粗鬆症治療についての講義を行って来ました。

同時に、僕の取り組んでいるMPS筋膜性疼痛症候群の治療実例についても紹介して来ました。

むしろそちらの方が興味をそそった様です。^_^

MRさんなどのデスクワークや運転の多い職業の場合には、手関節を下に向けて肩を丸めてノートパソコンに向かったり、ハンドルを握るような長時間取っている姿勢とは、反対の動きをすることが大切。

つまり、手関節を上に向けて、肘を体の側面に付けたまま、手を外側に開いていく姿勢をとります。すると胸が開き、前にずれていた肩甲骨が後ろに引かれ猫背になっていた脊椎のS字カーブも整ってきます。

デスクワークの途中や運転中の信号待ちで行うと良いと思いますよ。

凝りがたまってくると、知らない間に関節の動きも悪くなり、痛みの原因にもなります。

体が重くなったなあ、関節が硬いなあ、突っ張るなあと感じたら、それは痛みになる一歩手前の状態と思い、しっかりストレッチやマッサージを行った方が良いです。

自分の手でマッサージするのもなかなか大変ですので、疲れたら僕が教育しているリラクゼーションルーム ファシアがおすすめ。

地下鉄一社駅の南側にありますので、お電話でご予約の上でご利用くださいませ。

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2018.06.14 | コメント(0)

東京で筋膜性疼痛MPSの講義@スキルアップセミナー

昨日は乾癬と乾癬性関節炎の新しい治療薬である、日本初のヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤 「トレムフィア」の発売記念講演会でした。

 

IL17の上流に位置するIL23を阻害することにより、乾癬の皮疹を90%以上改善する率(PASI90)はなんと約80%という驚異的なお薬です。

安全性も高く、また、一旦休薬して再燃した場合に、お薬を再開してもまた効果を発揮する、という、自己抗体を作りにくい安定したお薬。

リウマチだけでなく、アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚科領域でも生物学的製剤がどんどん開発されていますね。

従来型のお薬では効果不十分だった患者さんには新しい選択肢が増えることとなり、喜ばしいことですね。

とはいえ、生物学的製剤だからコストが問題ではあります。

はやく安くて効果のあるお薬が開発されると良いのですけど、世の中はジェネリック政策のためにオリジナルを開発していた薬剤メーカーの開発資金がたまらなくなっていくので、創薬事業も外国に負けていくのも当然です。

オリジナルを安くすればいいのにね。

医療も医薬品も公定価格なので、薬剤メーカーも自分のところの製品の価格を自分で決めることはできません。おかしな制度です。

さて、日曜日の今日は、医療技術セミナー スキルアップという会でお声がかかり、東京駅近くの会議室で4時間の講習会を行ってきました。

これまで7年以上かけて勉強してきた知識と技術を4時間に詰め込んで、筋膜性疼痛症候群MPSの診断と治療の仕方についてお話してきました。

会場には10数名の各科開業医さんが九州や東北からお見えになっていました。

さらにインターネット配信で見ていらっしゃる先生もいるとのことで、頑張ってきました。

筋膜性疼痛症候群の発生要因から姿勢の見方、動作の見方、トリガーポイントの触診、注射の仕方、レントゲンの変形はイコール発痛源ではないこと、気をつけるべき疾患などなど

筋膜性疼痛診療に必要な考え方をお話ししたのち、治療実例も供覧していただき、この治療の大切さはよく伝わったのではないかと思います。

見学希望の先生もいらしたので、また他府県でもこの治療を理解する方が増えていくことでしょう。

エコーを用意して、会をサポートしてくださった日本SIGMAXの大島さん、前田さん、大変お世話になりました。ありがとう。

 

2018.06.10 | コメント(0)