院長ブログ

SAKURAの会 第8回 関西関節エコーEXPERT SUMMIT

今日は外来終了後、大阪へ。
SAKURAの会 第8回 関西関節エコーEXPERT SUMMITです。
関西のエコーエキスパートばかりが集まる、
とても面白い会です。

この会で症例提示をするのもこれで3回目。
今回僕が提示した症例は。。。

60代女性 抗CCP抗体 強陽性の再発性右アキレス腱炎、左膝蓋腱炎の一例
アキレス腱部の軽度浮腫と肥厚。
超音波では付着部よりも、アキレス腱、膝蓋腱の腱全幅にわたる著明なドップラー陽性像。皮下の浮腫像(+)

四肢関節の疼痛、腫脹、圧痛なし。
腰痛なし。
皮疹なし。
下痢・血便なし。
腰椎・胸椎所見なし。
アキレス腱は軽度浮腫上に肥厚しており、単なるメカニカルストレスによるアキレス腱炎とも違いそうな印象。
リンデロンを腱内に局所注入著効するも短期間に再発。
抗CCP抗体120 RF5 MMP-3 48 ANA 40未満 CRP 0.27 ESR 36 
RF、AS、PsA、OVERLAPなど鑑別に挙げつつ、局所注射も完全寛解に至らないため、MTX8㎎開始したところ、2週後速やかにアキレス腱部と膝の痛み消失。

フロアディスカッション
滑膜のない、腱から初発するRAも報告されている。
抗核抗体陰性であればほぼSLEは除外される。
抗核抗体陰性でも、抗ARS抗体、抗SS-A抗体は陽性のことがある。
四肢の浮腫がある場合には悪性腫瘍のスクリーニングは必要。婦人科系も含む。
腱の中にアコースティックシャドーを含めた石灰化もあり、痛風や偽痛風の可能性は。

やはり開業して一人でやっていると、よくあるパターンにはまらないときに
悩ましい症例に出会うことがあります。

大変ではありますが、こういうエキスパートの会で自分の症例と考えを提示して
様々な意見や最近のエビデンスについての知見を得ることはとても大切です。

され、その他の勉強としては、以下のようなものでした。
今回もとても楽しい会で、ためになりました。

膠原病膝 京都府立医科大学 免疫内科学 和田誠先生
関節初発のベーチェット病も18%あり。RAとして治療されている場合も。
線維筋痛症 関節超音波では付着部の炎症認めない。 ほかの膠原病とのOVERLAPも稀ではない。
SLE 44/65例に付着部炎
関節超音波による膠原病膝についての詳細な検討は多くはない。
PMRでも膝周囲の滑膜炎がみられることがあり、RAとの鑑別困難なことも。

OA膝 奈良県立医科大学 リウマチセンター 原良太先生
MRIで骨髄浮腫は軟骨損傷の予測因子となる。
早期の形態変化はレントゲンよりも超音波が検出しやすい。
半月板には環状靱帯がついている。
骨棘ができると半月板は外に逃げてしまうため、半月板の逸脱が起こり、半月板のクッション性は失われてしまう。
内外反ストレス、立位荷重ストレスでの超音波エコーを。
OAは単にすり減るだけではなく、多因子の病態。
low gradeな炎症は全身に影響する。
OAでも骨棘周囲にドップラー陽性の炎症像がみられることがあり、術中所見では滑膜が発赤している。
OAの炎症性サイトカインの中心と考えられているTNFだが、抗TND製剤をOAに使用しても効果がない。
OAはヘテロな疾患。炎症の強いものもあれば、軟骨損傷の強いものもある。

結晶誘発性膝関節炎 大阪市立大学 整形外科 岡野匡志先生
膝の大腿骨のdouble contour sign 感度42% 特異度100%
軟骨にプローブを垂直に当てると軟骨が良く見える。
時に輝度が高く映ることがあり、double contourの偽陽性も。
水腫のある関節では軟骨表面が白く見えやすい。プローブで圧迫するか、関節を屈曲伸展させながら水腫の影響を除くことで軟骨表面が白くなくなれば、DCではない。
腱の中の結晶沈着も結構ある。あえてアニソトロピーを利かしてスキャンすることで、石灰化かどうか判別することができる。
GOUTに関しては、エコーよりもDual Energy CTが有用との報告も。

CPPDは軟骨に石灰が沈着してくる病態。 
痛風は関節内に尿酸ナトリウムが析出しており、軟骨表面や半月板表面に結晶沈着する病態。
偽痛風性の関節炎は関節破壊が強くなる。
塩基性リン酸カルシウム結晶BCPを組織学的に証明することはできない。ミルウォーキーショルダーが高齢女性に起こることがあり、肩関節が高度に破壊されることがある。
腱や結合組織にも沈着することがある。
レントゲンで結晶がみられることがある。

膝周囲腱付着部 北播磨総合医療センター リウマチ膠原病内科 三崎健太先生
腱には直角にエコービームを当てて描出することが重要だが、付着部はアニソトロピーで黒く抜ける。そのため、関節を30度程度屈曲して腱付着部がまっすぐに伸びるようにすると描出しやすい。
腱付着部というのは骨から約2㎜の範囲を指す。
骨棘やerosion、石灰化がみられることも。
大腿四頭筋腱には4つのレイヤーがある。大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋
表層から、大腿直筋腱、内側外側広筋が2,3層目、中間広筋が4層目
膝蓋腱 90度屈曲位で超音波観察するときれいに見える。
鵞足の描出 内側側副靱帯の遠位に下内側膝動脈を認め、その遠位部に鵞足を描出する。下内側膝動脈を鵞足の炎症と間違えないように。
MCLの遠位部に縫工筋腱が乗ってくる。そのやや遠位に、表層から、縫工筋腱、薄筋腱、半腱様筋腱が描出される。

2019.06.02 | コメント(0)

リウマチ患者さんからのよくある質問

当院に通院中のリウマチ患者さんからのお問合せで
よくあるものをまとめました。
ご参考になさってください。

Q. MTX(リウマトレックス、メトレート)を飲み忘れたらどうしたらよいですか?

A.
 1日遅れで内服すれば大丈夫です。
  翌週からは、いつも通りの曜日に内服してください。
  もし数日間も忘れたのであれば、その週は内服をせず、
  翌週からいつも通りに内服してください。

Q. MTXを服用後、気持ち悪くなった場合はどうすればよいですか?

A. MTXを飲める量には個人差があるため、
  増量後に気持ち悪くなった場合にはご来院の上、
  その旨を医師に伝えてください。 
  MTXをもとの量に戻すか、減量しながら、
  他のお薬の併用などを考えてまいります。

Q. 風邪・発熱・口内炎・帯状疱疹などの症状がある際は、薬を飲んでいいですか?
A. 軽い風邪程度であれば通常通り内服してください。
  発熱や咳・痰、痰のない空咳などの症状がある際は、
  肺炎などの可能性もあるため、内服を中止して速やかに受診してください。
  口内炎はMTXの量が多い時や、疲れているときに出現します。
  日頃から疲れをためず、はやめに休息をとり、
  十分な睡眠と手洗い、うがいをこころがけましょう。

Q. 自己注射を忘れた場合はどうしたらよいですか?
A. 翌日投与すれば大丈夫です。
  週1回投与製剤の場合には、もし数日間遅れてしまった場合には、
  翌週のいつもの曜日に投与してください。

Q. 自己注射部位が赤く腫れた場合はどうしたらよいですか?
A. 注射によるアレルギー反応の可能性があります。
  赤く腫れた部位を写真で撮影したうえで、受診してください。
  注射針が毛細血管にたまたま当たってしまうこともあり、
  その場合には小さな出血斑(紫斑)ができることがありますが、
  その場合にはいつもよりしっかり圧迫止血をしていただければ大丈夫です。

Q.旅行に行く際に注射する日が重なります。注射の日を変更してよいですか?
A.週1回製剤の場合、1日程度であれば早めたり遅らせても構いません。
 もし数日間ずらすようであれば、その週は投与を見合わせ、翌週から投与しましょう。
 2週間に1回、4週間に1回などの投与の場合は、数日間ずらしても構いません。

Q.お薬を服用後、皮膚のかゆみや発赤が出ました。どうしたらよいですか?
A.内服によるアレルギー反応の可能性があります。
 特にアザルフィジンでは、飲み始めに発熱とともにみられることがあります。
 その他、たまたま季節のアレルギーや食物アレルギーが重なる場合もありますので、
 症状が出た部位の写真を撮って、受診するようにしてください。

2018.12.26 | コメント(0)

岡崎からリウマチWEBセミナー

10/24水曜日は、診療後の夕方から岡崎へお出かけし、
加藤整形外科の加藤武史先生と
リウマチが専門ではないけれど
リウマチの患者さんを診療している
開業医の先生たちに向けて
インターネットwebセミナーを行いました。

今は関節リウマチの治療薬が進化して
専門医にかかれば
ほとんどの人がリウマチを忘れられるほど
よくなることができるようになっています。

その一方、専門医にかかっていない患者さんは
まだなかなかリウマトレックスやメトレートといった
基本のMTX製剤も十分に使われておらず
注射の生物学的製剤や、
JAK阻害薬という低分子化合物の内服薬も
使用できずにいます。

何より大切なことは、
足趾を含めて全身の関節をちゃんと触診して、
壊れる可能性のある関節を超音波で見抜いて
発症超早期の関節が壊れる前の段階で
治療を開始することです。

今回は、
これだけは覚えておきたい!
プライマリケアのリウマチ診療
というタイトルで
僕からはリウマチ診断編として
手がこわばる、と患者さんが訪れた時に
鑑別すべき疾患と考え方についてお話ししました。

続いて加藤先生からは治療編として
いかに早期にMTXを増量するか
寛解に至らなければ速やかに生物学的製剤を導入するか
そして、加藤先生が実践されている、
リウマチ発症早期に行う
ヒュミラとMTXの同時投与の経験などを
お話していただきました。

現在は基本のお薬であるMTXを
いかに早く16mgの最大容量まで増量して
その人に必要な有効血中濃度に達するか
がとても大切であると言われています。

僕や加藤先生の実経験でも
診断してすぐにMTX8mg
2週後に12mg
その後2〜4週で16mgまで増量して
速やかにMTXの効果を最大限発揮します。

副作用としての吐気や倦怠感、
採血異常値などがみられたら、
HIT&AWAYで速やかにMTX容量を減らします。

それでも寛解に至らなければ、
早期にその人に1番よいと思われる
生物学的製剤をチョイスします。

特に発症超早期の人であれば
ヒュミラを選択します。

HIT EARLY & HARD
そして
HIT & AWAY
がとても大切なコツです。

ヒュミラは寛解後に中止できる患者さんも
他の生物学的製剤に比べて多く、
実際に関西グループのANSWER cohortでも
それを証明する論文が出てきました。

発症超早期のリウマチ患者さんに
出会うことの多いプライマリケアの先生が
ちゃんとリウマチを診断して
MTXを使いこなし、
必要であればヒュミラまで導入して
BIO freeまで達成する。

そんな治療格差のない時代が来るとよいですね。

もちろん、自分ではそこまでなかなか治療できない
という開業医の先生は
速やかに専門医に紹介していただきたいと思います。

治療も診断の技術も確立されてきた現在では、
医師がいかに早く診断するか
が1番大切なポイントになってきています。

今回の企画をしてくださったabbvie、エーザイの皆様と最後にパチリ。

よい機会をありがとうございました。

2018.10.26 | コメント(0)