院長ブログ

ヒュミラ発売10周年記念講演会

ヒュミラ 10周年記念講演会が東京で開催されました。
生物学的製剤が最初に出たのは2003年。実に15年前ですね。
パラダイムシフトと呼ばれ、リウマチの患者さんも関節を壊すことなく生活ができる時代が幕を開けました。
そして治療が進化した現在は、いかに早くリウマチと診断するか。
いかに早くリウマチの炎症が完全に消火された状態である寛解に到達するか。
がリウマチ専門医に問われる時代になってきました。

超早期診断にも、完全に消火されたか確認するのにも、超音波検査が欠かせません。
当院でもいち早くリウマチ超音波診断を取り入れて診断治療を行ってまいりました。
超音波を行った場合と行わずに採血や診察所見だけを頼りにしているのとでは、
リウマチ診療の質が格段に違います。
当然、診断の見逃しや関節破壊をできるだけ起こさない診療につながってきます。
超音波はリウマチ診療には欠かせないツールなのです。

今回の勉強会は、ヒュミラが適応となる多数の疾患の中でも
リウマチだけでなく、消化器領域、眼科領域、皮膚科領域の先生たちが集まって勉強をする会でした。
そのため、研修医時代に大変お世話になった先輩、猿田先生が慈恵医大消化器内科の教授として壇上に出られていて驚きました。
白髪も交じり、すっかり貫禄が出られていましたが、あの時のイケメンは変わらず。
バンケットで少しだけでしたがご挨拶させていただき、16年ぶりの再会にうれしく肩を抱き合いました。
これも今回の科と領域をまたいだ勉強会のおかげです。
abbvieさん、ありがとう!

さて、今回の勉強会報告です。
リウマチに関わる先生のご参考になれば幸いです。

RAにおける画像モニタリングの進化
横浜市立大学付属市民総合医療センター
リウマチ膠原病センター
大野滋先生
超音波を用いて早期診断をするようになり、
2000年n=71 2015年 n=71
発症から診断までの期間 2000年 7.9か月  2015年 5.8か月
発症から診断までの期間は2か月短縮され
CRP 2000年 3.4㎎/dl 2015年 2.7㎎/dl
初診時CRPは低い段階で診断されるようになり
MTX使用  2000年 55% 2015年 86%
ほとんどの患者さんでMTXが使用されるようになり
MTX初期投与量  2000年 4.7㎎ 2015年 9.1mg
MTX初期投与量も増え、しっかりMTXが使用されるようになり、
ΔTSS 2000年 1.45±3.54 2015年 0.68±2.55
現在はほとんど変形しないでリウマチをコントロールすることが可能になってきた。

竹内勤先生 新たなエビデンスから再考するT2T治療戦略の意義
MTXの最大容量到達までの期間が短い、MTX開始時の活動性が低いことがMTX24w使用後の寛解達成を高める重要な要因
腸内細菌や酵素の違いにより、MTXの吸収度合いは異なるため、MTXPGを測定して血中濃度が有効濃度に達成しているか知ることができる。
日本人は王名人に比べて、MTX細胞内の濃度は60%高い
4~8週で60nmol/Lに達する
有効血中濃度MTXPG60~80nmol/Lを早く超えることがMTX効果発現の条件
それまでに8~12週間かかってしまうため、EULARでは短期間のステロイド使用がrecommendationに入れられた。
BMI18.5~25の通常体重群ではMTX10~12㎎が良いというデータがある。BMIそれ以下では6~8、それ以上では14~16
個人に最適な最高容量が選べれば、早く有効血中濃度に達することができる。
U-Act-Early study MTXアームを用いた解析からMTX
喫煙とアルコールがMTX効果不十分の予測因子となる。Teitsma XM、ARD online May14.2018
ESPOIRコホート 35.5%でmTSS>5 進行者ではmTSS=15にも関節破壊が進んでいた。
長期にわたって使用すると、関節破壊を進行させる因子となる。
ステロイドは発症早期の短期使用で関節破壊を抑制する因子となる。
MAGIKstudyでは初期投与量8㎎、4週目12㎎、8週目16㎎で検討している。
初期投与量を10㎎にして、4週目で最高容量に達することも考慮してよいのでは。

RA治療のパラダイムシフト これまでの10年、これからの10年
田中良哉先生
治療が遅れることによる関節破壊は取り返すことができない。
必要であれば早期からBIOを使用しなくてはならない。
MTX用量を使用可能な最大容量まで早期にdose upし、BIOを追加する。
HAWKstudyでは、十分量MTX+ADAで1年後に40%が寛解に入る。
機能障害HAQ寛解は1年後に81.5%
関節破壊は75.2%でmTSS進行なし。mTSS進行0.5以下は85%
中にはそれでも進行する患者がいるため、今後の解析が必要。

HOPEFUL2 最初の半年でMTXにADAが導入されたかどうかで、関節破壊の進行は大きく抑制される。2年間でmTss<0.5は60%以上 寛解後、ADA休薬で感染症の発生率は減少していたが、RA再燃した人もいる。 HONOR試験 RAにおけるADA寛解導入後休薬試験 ADA休薬が継続できたfactorは、発症2年以内。休薬時のDAS-ESR<1.98の深い寛解。 休薬5年間における寛解維持率は、52症例中、11人は休薬後5年間寛解維持。DASESRCutoff<1.61 寛解後にはADAを残してMTXを休薬することも検討可能。 脊椎関節炎の鑑別診断と適切な治療ターゲット 西本憲弘先生 大阪リウマチ膠原病クリニック 脊椎関節炎においてIL-23および付着部常在T細胞は付着部炎および骨増殖を促進する 炎症性腰背部痛 発症年齢40歳未満、緩徐な発症、運動で改善、安静での改善無し、夜間疼痛。ASUS基準 末梢性脊椎関節炎は鑑別が難しい。 脂漏性湿疹や掌蹠膿疱症は乾癬と間違えられやすい。 PsA診断のためにはCASPAR分類基準を用いる。RFが陰性であることは1点となるが、RFが陽性であっても乾癬ではないと除外することはできない。抗CCP抗体が陽性のこともある。RAとPsAと鑑別が困難な場合は変形の仕方に骨新生があるかチェックする。両者の鑑別が困難であれば、両方に効果があるTNFα製剤を選択する。 レントゲン上の付着部骨棘は炎症所見があったことを現す? 患者は皮膚や腸、眼の症状が関節炎と関連するとは思わず、こちらから尋ねない限り情報は得られない。 問診により、炎症性腸疾患、眼症状、炎症性背部痛を聴取することが重要。 脊椎、仙腸関節に所見が現れるには5~10年かかるため、初診時レントゲンでは異常がみられないことがある。 線維筋痛症は付着部やその近傍に圧痛を認めるので、SpAの症状と鑑別診断が紛らわしい。 乾癬性関節炎の患者では生活習慣病の合併も多い。特に高尿酸血症と高TG血症 TNFはIL-1、IL-6、IL-17/23などの上流に位置するため、各疾患全体にBROADに効く。 TNFαは付着部炎にも効果がある。 PsAの治療目標 MDA寛解

2018.07.01 | コメント(0)

オレンシアサミット 2017

今日は雨降りしきる東京で
リウマチ治療薬 オレンシアについての勉強でした。

統計の基礎的なお話から、
基礎医学の難しいお話、
臨床的な疑問や新しい課題など
なかなか勉強になりました。

以下、レジュメです。

オレンシア サミット 2017
京都大学 医学統計生物情報学 森田智視先生
 
ランダム化→比較可能な二群を作る!
二軍の違いは治療法だけ、という状況を人工的に作りたい。
予後予測因子、リスク因子の分布の筋東亜
単純な二群の比較の解析からバイアスのない結果を得られるようにする。

ITT解析 intension to treat
治療開始時点 どちらの治療群を選択するか?の判断材料のための解析
重大な的確基準違反例を除き、基本的にはランダム化された全例を解析。
そろっている患者背景はできるだけ崩したくない。
ランダム化+盲検化

ランダム化しない研究データからどこまで物が言えるのだろうか。
エビデンスはwell controlledな臨床試験から。
しかし、臨床試験ですべてをカバーできるわけではない。

コホート試験として実施するのが良いだろう。
ただ集めました、では説得力がない。
研究対象集団(コホート)を定義し、明確な的確基準と除外基準の設定が望ましい。
レトロスペクティブコホート試験デザインでも連続症例(consecutive patients)を解析すれば前向き試験と同じエビデンスレベルとなりえる。(都合のよい症例だけを抜き入れしない)

前向きコホート 研究対象(コホート)➡治療A or 治療B →イベント発現、非発現
後ろ向きコホート研究対象(コホート)←治療A or 治療B ←イベント発現、非発現
後ろ向きでも全例組み込めば、エビデンスレベルは高くなる。

ランダム化
比較可能性を上げられる方策として、プロペンシテイスコアマッチングを使用する。
臨床的に重要な背景因子について似通った患者ペアを作っていく。
マッチングで考慮した因子について比較可能に。

PSマッチング:臨床的に重要な背景因子について同等なスコアの患者を新治療群と旧治療群から取り出してマッチング
似通った患者背景を持つ2群を構成して、比較検討

どうやってPSスコアを計算するか
選んだ各変数に対して“重み”をロジスティック回帰で推定
患者ごとに計算 完全に同じ背景を持つ患者では同一スコア
PSスコア=リスクスコア

論文を読むときはマッチングをどのようなスコアで行っているかを読むこのが必要。

藤尾 圭志先生 東京大学大学院 アレルギーリウマチ学 教授
ACPA陽性RAはACPA陰性RAよりもT細胞への依存性が高い。
滑膜浸潤T細胞はACPA陽性RAで多い。
感受性遺伝子はACPA陽性 HLA-DR、PTPN22、CTLA4 ACPA陰性RAではIRF5

名古屋大学 整形外科 石黒直樹教授
24週の短期成績ではNaïve症例が優れる。MTXの併用は結果に影響しない。
24週でMDAだった患者→52週ではMTX併用患者ではLDAが期待できる確率がOR3.1倍
寛解も出現してくる。
12wDas28CRP<3.3ならばOR15.244で52wLDA達成可能。 12wDASCRP3.9がカットオフ HDA症例での治療成績にADA,ABT、TCZに差はない。 無効中止はADA>ABT>TCZ 副作用中止はTCZ>ADA>ABT
DAS28CRPにて若年、高齢、超高齢においてABTの効果に差はない。
ABTで効果不十分であればTACadd on が効果的。

2017.10.29 | コメント(0)

豊橋遠征 ヒュミラの会

今日は豊橋に遠征。
宮崎県の日高利彦先生が豊橋で講演されるということで、
土曜日の午後、当院の看護師小島さんとともに
豊橋に赴きました。

日高先生のご講演は、現在のリウマチ治療の進歩の歴史を
多数の論文をもとにして概説されるものでした。
以下備忘録です。

宮崎県 市民の森病院 膠原病リウマチセンター所長 日高利彦先生

RA治療の最適化
患者さんの症例を見据えた関節リウマチ治療

生物学的製剤によるRA治療のパラダイムシフト
生命予後まで改善させた。

治療目標は寛解。難しい人でも低疾患活動性。

IGU(コルベット、ケアラム)はMTXに追加併用することで治療効果が上がる。
SASPアザルフィジンと同等の効果。
MTXから切り替えて寛解維持することもよいのではないか。

BIOスイッチあり 17% スイッチ無し83%
1剤目中止40%
重篤な副作用、感染症はオレンシアで少ない。
リスク因子は呼吸器疾患の既往歴、合併症、ステロイドの使用、65歳以上、罹病期間10年以上など
がん検診は受けておく。

ヒュミラ使用で労働生産性低下を予防することによる年間損失コスト削減額7267$≒726700円

MELODY試験
ADAをfirstまたはsecond以降で使用した場合、firstの患者ではMTX6.〇㎎以上でLDAを達成。。second以降ではMTX用量依存的に効果は増強。

抗原抗体反応による抗薬物反応を予防するためには十分な血中濃度を維持することが必要。
ヒュミラ、レミケードではMTXを十分に使用する必要性。

BIOフリーのエビデンス
RRR試験 IFX
HONOR試験 ADA 休薬後も48%は寛解を維持 特にDAS28ESR<1.98 HOPEFUL2 ADA中止群80%は低疾患活動性を維持 DASCRP<2.0ではADA中止群のLDA維持は93% ADA中止群と継続群では関節破壊に差はない。最初の6か月にADAを使用することが大切。 BIOフリーの時には、MTXを最大投与量に戻すか、csDMARDsを1剤追加する。 エコーで炎症性滑膜炎がないことを確認しておく。 ヒュミラは速やかな寛解導入、寛解維持が可能。休薬のエビデンスも。 生物学的休薬のガイドライン。 LDAを6か月達成したら休薬を考慮 休薬後は疾患活動性とレントゲン的な進行もしっかり観察。 再燃が認められたら、速やかに再導入。

2017.09.30 | コメント(0)