院長ブログ

関節リウマチ超音波院内セミナー

今日は当院の待合室で
関節リウマチエコー講習会Academy of Imaging(AOI)をサポートする
ヒュミラの会社AbbVieエーザイの後援により
近隣の先生を当院へお招きしての関節リウマチ超音波セミナーを
開催しました。

AbbVieのすごいところは
直接ヒュミラの売り上げにはつながらないかもしれないのに
リウマチ治療の進歩と普及のために
リウマチ超音波研修会のバックアップをされているところです。
素晴らしい社会貢献です。

今日の講習会はキャンセルもあったため人数が減り
2名の開業医の先生が参加されましたが
その分当初予定していた手足だけでなく、
肘、肩、膝、足関節に及ぶ
超音波検査のコツを伝えることができました。

まずは僕からいかに採血データのCRPやESRが
リウマチの超早期診断や真の寛解に当てにならないか
という話をさせていただき
超音波のリウマチ診療への活用について
実際にエコーを用いてそのコツを伝えました。

超音波の基本条件としての
正しいゲイン調整と温度管理
ゼリー層を残した画像描出
血管によるアーチファクトを避けること
といったポイントの解説から
関節の部位別の描出のコツ
滑膜が出現する部位や力加減について解説しました。

こうやって少しでも
早期の関節リウマチの患者さんが見逃されることなく
ちゃんと診断から治療に結びついていけるように
お役に立てたら幸いです。

2014.09.28 | コメント(0)

慢性の腰痛にひそむ落とし穴

今日はマリオットホテルで開催された
3A Forum 2014 in 愛知
に出席してきました。

小児のリウマチともいわれる若年性特発性関節炎(JIA)
について、愛知医科大学小児科の鬼頭敏幸先生から
強直性脊椎炎(AS)について
藤田保健衛生大学整形外科の森田充浩先生から
乾癬性関節炎(PsA)について
名古屋市立大学皮膚科の森田明理先生から
それぞれお話がありました。

関節リウマチの診断と治療は
一般にも少しずつ広まってきています。
(まだまだ超音波診断や寛解導入を目指した治療は
 十分に広まっているとは言えませんが、、、。)

しかし、さらにはJIA、AS、PsAに至っては
まだまだ診断もままならないのが現実です。

当院にも毎日さまざまな医療機関に受診しても
十分に治らなかった腰痛患者さんが来院されます。

ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、腰椎すべり症
などと診断されているものの中の多くの構造的変形そのものは
本当の痛みの原因ではなく、
仙腸関節や筋筋膜が慢性腰痛の原因であることがほとんどです。
そのために当院ではトリガーポイント注射とリハビリを重視して
慢性腰痛の治療にあたっています。

しかし、中には見逃してしまえば
悪化していく腰痛もあります。
その一つが、強直性脊椎炎です。

腰痛で発症することも多いのですが、
しっかりとこの病気であると診断されるまでには
平均で9年程度を要するといわれています。
中には40年たって、ようやく診断される症例もあります。

診断のためには、
腰痛で一般的に撮影される腰椎レントゲンだけでなく、
慢性の腰痛であることや
肘、膝、足などの腱の付着部炎
末梢関節炎などの随伴症状などにも目を向けて
骨盤、仙腸関節のレントゲンや
MRIでの仙腸関節の炎症所見
採血にて軽度の炎症反応や
HLAといわれる免疫反応を調べることが大切です。

中でも有名なHLA B27は
日本人では陽性率0.3%とも言われており、
アメリカの6%やノルウェーの14%に比べはるかに低い様です。

治療には痛みどめであるNSAIDS、特にセレコックスや
生物学的製剤の使用が大切です。

リウマチと違い、MTXを併用しなくても
生物学的製剤のTNFα阻害薬の効果が得られるのが不思議な点です。

リウマチとは免疫状態が異なるのでしょうね。

診断にはまず腰痛患者さんが炎症性背部痛に当てはまるかどうかを
炎症性背部痛のBerlin基準でチェックします。

Berlin基準
50歳以下で、3か月以上持続する背部痛があり、下記2項目が陽性であれば
炎症性背部痛と診断します。(感度70.3%、特異度81.2%)
1.朝のこわばり>30分
2.背部痛は体操によって改善されるが安静では改善されない。
3.睡眠時間の後半のみに、背部痛のために起こされる
3.左右移動する殿部痛

そして、体軸性脊椎関節炎(Axial SpA)の診断は
炎症性背部痛であればレントゲンにて脊椎、仙腸関節をチェックします。
レントゲンが陰性でも以下のうち
1.腱付着部炎
2.家族歴
3.眼症状(ブドウ膜炎)
4.交互に繰り返す殿部痛
5.非対称性関節炎(大関節に多い)、
6.NSAIDs(ロキソニンやボルタレン、セレコックスなど)への良好な反応
3つ以上当てはまれば80~95%の確立で診断できます。
1~2つならば35~70%(さらにHLA-B27陽性ならば80~90%)
1つも当てはまらなければ14%(HLA-B27陽性なら60%、さらにMRI陽性ならば80~95%)
が脊椎関節炎の診断となります。

慢性の腰痛に悩む患者さんはたくさんいらっしゃいます。
診断には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの
画像に写るわかりやすいものに限らず
患者さんにしっかりと触り、
レントゲンには写らない痛みの原因を診断することが大切ですね。

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2014.07.24 | コメント(0)

ヒュミラ6周年記念講演会

先日東京の虎の門ヒルズで行われた
ヒュミラの6周年記念講演会。

僕の大学の同級生でもある宮本先生が
演者の一人として壇上に立つということで
それも楽しみに出席しました。

学生時代に一緒に遊んでいた宮本君が
今ではえらい先生になっていました(^^)
CIMG9739

宮本先生は、
リウマチと診断された初診時の説明と
今後目指せるべき治療のゴールの説明がとても大切と強調していました。

僕は初診時から3か月程度でMTX16㎎まで増量して、
その患者さんのMTX最大容量を見極めるようにしていますが
宮本先生はもっと早く、8㎎から開始して
2週間で12㎎、4週間で14㎎まで増量するそうです。(early escalation)

いかに早く、強くリウマチを寛解に持ち込むかはとても大切ですし、
容量が増えたときにおこってくる貧血や肝障害が見えたら
すぐに容量を減らす。
HIT EARLY AND HARD、 HIT AND AWAYは
それこそリウマチ専門医の腕の見せ所です。

さらに、宮本先生は
予後不良因子であるすでに関節破壊がある人やリウマチ因子が陽性の人などでは
診断時から生物学的製剤の必要性についても触れておき
患者さんがある程度よくなったところで満足せず
しっかりと治療ゴールである寛解を目指すように導くとのことです。

僕も初診時にリウマチと診断したら
スポーツでも仕事でも、リウマチを意識せずに
思いっきりできる状態を目指しましょう
と言っています。
そのあと看護師さんからのリウマチ教室を受けていただき
生物学的製剤と寛解について患者さんに知ってもらっています。

さて、そのあとのご講演は産業医大の田中良哉先生から
これまでのヒュミラのエビデンスについてお話がありました。

しかしおもしろかったのは竹内先生によるMTX投与量についてのお話。
海外ではMTXPG(MTXpolyglutamate)と言って、MTXの血中濃度が測れるそうです。

それにより海外ではMTXの投与量が治療有効域に入っているかどうかわかるとのことです。
ARDonline 2014 april 12にてSchiff先生が発表したのは
経口のMTX投与では15㎎以上内服しても血中濃度はプラトーとなり上がらない
というものでした。
ということは、実は15㎎以上の内服には意味がないのではないか。
という疑問が生じます。

竹内先生が慶応大学のRA患者さんで検討した日本人のMTXPG濃度を測定したMAGIKstudyと
海外でのMTXPG濃度測定の報告を比較すると
海外ではMTX15㎎内服することでようやくMTXPGが治療有効域に達するのに比べ
日本人ではMTX8㎎で十分有効血中濃度に達していました。

しかし、実際に患者さんを診察していると
MTX8㎎では十分に寛解に達しない患者さんはたくさんいます。

この点を竹内先生に質問してみると
概して日本人では、外人に比べて少ない量のMTXで治療可能ですが、
やはり個人差はあり、それは腸管からの薬剤吸収率であったり
遺伝による差であったりなのではないか、
とおっしゃっていました。

現在では、HIT EARLY and HARDの作戦で
早く、強くリウマチを鎮静化するために
早期から十分なMTXを使用して寛解導入を目指して
寛解導入するか、もしくは肝障害や貧血などの副作用が出現したら
MTX容量を減らしています。

早く日本でもMTXPGを測定して
患者さん個人個人で本当に必要なMTXの量が測れるようになるとよいですね。

2014.07.22 | コメント(0)