院長ブログ

バイオシミラー レミケードBS

今日は土曜日午前診療の後
東京日帰り弾丸ツアーをしてきました。

日本化薬から今後発売されてくる生物学的製剤
レミケードBSの講演会の聴講です。

10年前に田辺三菱製薬からレミケードが発売されて10年を経て
特許が切れた今回、レミケードの開発技術を模して造られた
BIO similar(バイオシミラー)がレミケードBSです。

ジェネリック医薬品と同様に
現在発売されている薬を模して生産されるため
0からの開発費がかかっていない分
薬剤コストが安くなるのが特徴です。

もともと生物学的製剤は非常に高価な薬剤であり
保険を使用しても3割負担の方では
月に40000円から50000円の自己負担分が薬剤費だけで
必要となります。

しかし重症のリウマチにおいては
病気による関節痛や
リウマチをそのまま放置して関節が壊れてしまい
仕事や家事ができなくなった場合に発生する損失コストに比べ
高価であっても生物学的製剤を使用したほうが
生涯損失コストは少なくなることがわかってきました。

また、
レミケードの場合には体重に応じて
100㎎のボトルを2本以上使用することになりますが
3本使用した場合には高額療養費制度が適用となり
その患者さんの収入に応じた支払上限以上は
保険から支払われることになります。

しかし一方、
高価な生物学的製剤が使用されればされるほど
残りの70%の医療費は医療保険から支払われることになり
限られた医療財源を圧迫してしまうことも
問題になっています。

レミケードBSは薬剤費がオリジナルの7割程度になるのでは
と予想されていますが、
そうすると保険医療財源にとっても患者さんにとっても
懐にやさしい薬ということになります。

レミケードBSはバイオシミラーであり、
ジェネリック医薬品ではないとのことですが、
これがわかりづらいところです。

ジェネリック医薬品は
同じ成分を用いた医薬品ということで
”同一の薬”という扱いを受けるため
医師が処方した薬そのものでなくとも
薬局薬剤師がジェネリックに変更してしまうことが可能です。

(しかしオリジナルと”同一”とされるジェネリック医薬品は
市販後の調査も最低限となるためコストは下がりますが
その分薬としての安定性や効果がオリジナルのものよりも
劣ってしまったり、
薬効成分以外の混合物により
オリジナルの薬では起きなかった副作用がでることもあります。
つまり、混合物まで含めて全くオリジナルと同一の薬ではないということです。)

バイオシミラーであるレミケードBSは
オリジナルのレミケードのジェネリックではなく
”同等、同質”の効果が得られるであろう”similar”
であるとのことです。

治験も行われており、
日本人での安全性と有効性が検討されているところです。

本日の講演の最後に
産業医科大学の田中良哉先生は
レミケードBSはレミケードの後発品というだけではなく、
これまで発売された7剤の生物学的製剤に次ぐ
第8の生物学的製剤と位置付けて
発売後の安全性と有効性について十分に検討していく必要がある
と締めくくっていらっしゃいました。

リウマチ治療の選択肢は
生物学的製剤と同等の効果を持つ内服薬であるゼルヤンツも含め
ますます広がってきています。

患者さん個々の状態に合わせた
パーソナルな治療が可能となってきています。

2014.10.05 | コメント(0)

関節リウマチ超音波院内セミナー

今日は当院の待合室で
関節リウマチエコー講習会Academy of Imaging(AOI)をサポートする
ヒュミラの会社AbbVieエーザイの後援により
近隣の先生を当院へお招きしての関節リウマチ超音波セミナーを
開催しました。

AbbVieのすごいところは
直接ヒュミラの売り上げにはつながらないかもしれないのに
リウマチ治療の進歩と普及のために
リウマチ超音波研修会のバックアップをされているところです。
素晴らしい社会貢献です。

今日の講習会はキャンセルもあったため人数が減り
2名の開業医の先生が参加されましたが
その分当初予定していた手足だけでなく、
肘、肩、膝、足関節に及ぶ
超音波検査のコツを伝えることができました。

まずは僕からいかに採血データのCRPやESRが
リウマチの超早期診断や真の寛解に当てにならないか
という話をさせていただき
超音波のリウマチ診療への活用について
実際にエコーを用いてそのコツを伝えました。

超音波の基本条件としての
正しいゲイン調整と温度管理
ゼリー層を残した画像描出
血管によるアーチファクトを避けること
といったポイントの解説から
関節の部位別の描出のコツ
滑膜が出現する部位や力加減について解説しました。

こうやって少しでも
早期の関節リウマチの患者さんが見逃されることなく
ちゃんと診断から治療に結びついていけるように
お役に立てたら幸いです。

2014.09.28 | コメント(0)

慢性の腰痛にひそむ落とし穴

今日はマリオットホテルで開催された
3A Forum 2014 in 愛知
に出席してきました。

小児のリウマチともいわれる若年性特発性関節炎(JIA)
について、愛知医科大学小児科の鬼頭敏幸先生から
強直性脊椎炎(AS)について
藤田保健衛生大学整形外科の森田充浩先生から
乾癬性関節炎(PsA)について
名古屋市立大学皮膚科の森田明理先生から
それぞれお話がありました。

関節リウマチの診断と治療は
一般にも少しずつ広まってきています。
(まだまだ超音波診断や寛解導入を目指した治療は
 十分に広まっているとは言えませんが、、、。)

しかし、さらにはJIA、AS、PsAに至っては
まだまだ診断もままならないのが現実です。

当院にも毎日さまざまな医療機関に受診しても
十分に治らなかった腰痛患者さんが来院されます。

ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、腰椎すべり症
などと診断されているものの中の多くの構造的変形そのものは
本当の痛みの原因ではなく、
仙腸関節や筋筋膜が慢性腰痛の原因であることがほとんどです。
そのために当院ではトリガーポイント注射とリハビリを重視して
慢性腰痛の治療にあたっています。

しかし、中には見逃してしまえば
悪化していく腰痛もあります。
その一つが、強直性脊椎炎です。

腰痛で発症することも多いのですが、
しっかりとこの病気であると診断されるまでには
平均で9年程度を要するといわれています。
中には40年たって、ようやく診断される症例もあります。

診断のためには、
腰痛で一般的に撮影される腰椎レントゲンだけでなく、
慢性の腰痛であることや
肘、膝、足などの腱の付着部炎
末梢関節炎などの随伴症状などにも目を向けて
骨盤、仙腸関節のレントゲンや
MRIでの仙腸関節の炎症所見
採血にて軽度の炎症反応や
HLAといわれる免疫反応を調べることが大切です。

中でも有名なHLA B27は
日本人では陽性率0.3%とも言われており、
アメリカの6%やノルウェーの14%に比べはるかに低い様です。

治療には痛みどめであるNSAIDS、特にセレコックスや
生物学的製剤の使用が大切です。

リウマチと違い、MTXを併用しなくても
生物学的製剤のTNFα阻害薬の効果が得られるのが不思議な点です。

リウマチとは免疫状態が異なるのでしょうね。

診断にはまず腰痛患者さんが炎症性背部痛に当てはまるかどうかを
炎症性背部痛のBerlin基準でチェックします。

Berlin基準
50歳以下で、3か月以上持続する背部痛があり、下記2項目が陽性であれば
炎症性背部痛と診断します。(感度70.3%、特異度81.2%)
1.朝のこわばり>30分
2.背部痛は体操によって改善されるが安静では改善されない。
3.睡眠時間の後半のみに、背部痛のために起こされる
3.左右移動する殿部痛

そして、体軸性脊椎関節炎(Axial SpA)の診断は
炎症性背部痛であればレントゲンにて脊椎、仙腸関節をチェックします。
レントゲンが陰性でも以下のうち
1.腱付着部炎
2.家族歴
3.眼症状(ブドウ膜炎)
4.交互に繰り返す殿部痛
5.非対称性関節炎(大関節に多い)、
6.NSAIDs(ロキソニンやボルタレン、セレコックスなど)への良好な反応
3つ以上当てはまれば80~95%の確立で診断できます。
1~2つならば35~70%(さらにHLA-B27陽性ならば80~90%)
1つも当てはまらなければ14%(HLA-B27陽性なら60%、さらにMRI陽性ならば80~95%)
が脊椎関節炎の診断となります。

慢性の腰痛に悩む患者さんはたくさんいらっしゃいます。
診断には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの
画像に写るわかりやすいものに限らず
患者さんにしっかりと触り、
レントゲンには写らない痛みの原因を診断することが大切ですね。

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2014.07.24 | コメント(0)