当院の理念の由来 患者さん、そして当院のスタッフへ

当院の理念 

出逢った人の「楽しい!」明日のために

の由来

 

さいとう整形外科リウマチ科を2011年に立ち上げたとき、スタッフと共有する理念として37歳の僕が考えたのは

【患者さんの「楽しい!」明日のために】

でした。

今日はその理念を当院に掲げようと思ったお話をしたいと思います。

 

そのきっかけは、勤務医としてリウマチ患者さんを診察していた時のことです。

僕の予約外来に、ある重症のリウマチ患者さんがいました。

関節は変形して、体が痛くて動けず、ベッドから起き上がれずにいました。

診察室には車椅子で入ってきていました。

リウマチ治療薬は僕が名古屋医療センターに勤めていた頃に、パラダイムシフトと呼ばれる大きな進歩を遂げ、その患者さんも恩恵を受けて、強い炎症も治まり、ベッドから自分で起き上がれるようになりました。 

 

外来に来ると、

先生のお陰で痛みも取れて、ベッドから起き上がれるようになりました。

と言ってくれます。

 

僕は、

よかったですね。リウマチとても良くなっていますよ。

とお話していましたが、その患者さんは続けます。

 

でもね、先生

私はずっと寝たきりで、毎日天井ばかり見て過ごしてきていたから、今起き上がれるようになっても何をしたらいいのかわからないの。

 

その時僕は思いました。

いったい僕は何を治療していたんだろう。

 

30代の僕は、なんとお返事するのが正解かわかりませんでしたが、

いい本だって、いい映画だってあるし、旅行だって行けばいいじゃない。楽しいことはいっぱいありますよ。

と言うのが精一杯でした。

 

しかし、しばらくして嬉しいことがありました。その患者さんが

京都に行ってきました!

とおっしゃるのです。

 

わー!よかったですねえ。

と言うと、

車椅子だけど、娘達が新幹線で京都に連れて行ってくれた。

とのことでした。

 

京都駅に着いたら疲れちゃって、観光もせずに駅でご飯を食べるだけで帰って来たけど、娘と京都に行けたことだけで嬉しかった。

と言ってくれました。

僕の「旅行だって行けばいいじゃない」という何気ない言葉が、行ってみる勇気を後押ししたとのことでした。

 

その患者さんのことを思いながら、37歳で開業した僕は、当院の理念を

患者さんの「楽しい!」明日のために。

と決めました。

 

そこには、痛みや病気に悩む患者さんが治って終わりではない。

その先にある、「楽しい!」と思える明日を迎えられるようにお手伝いするサポーターでありたい。

そんな願いがこもっています。

 

現在は、患者さんだけでなく、院長・スタッフはもちろん、全ての出逢った人達に自分から元気を与えられる存在であって欲しい、という願いを込めて、

出逢った人の「楽しい!」明日のために

に変えました。

 

2011年の開業当初は1日に20人しか患者さんが来なかったため、

患者さんにお茶を出してずーっと世間話をしていることもありました。

おいしいお店の話をしたり、家族の話を聞いたりしていました。

院内の音楽を聴いた患者さんに、私もジャズが好きなの!と言われて会話が弾むこともありました。

その頃は、とてもたくさんのバレンタインチョコをもらったものです。

今は1日250人を超える患者さんが当院を選んできてくれています。

多くの患者さんの痛みを取り、望む生活に近づけてあげることができていると思う反面、患者さんが僕にかける言葉は、

忙しい先生の時間を取って申し訳ない。

に変わりました。

僕が患者さんと共有できる時間はとても少なくなりました。

バレンタインチョコもやっぱり少なくなりました。

 

短い診察時間の中で、一人一人の患者さんに心から満足いただける診療をするのは至難の業です。

それでも、長い時間待ってでも僕に会いに来てくれた患者さんには、

少しでも僕に会えてよかったなあと思ってもらえるように、

 診断がついて安心した

 少し痛みが取れた

 良いこと聞いた

などのお土産を持って帰って頂けるように心がけています。

 

開業当初に僕がゆっくり聞いていた患者さんのお話は、

今は僕一人が受け止めるのではなく、

受付から診察、検査、レントゲン、リハビリ、そしてお会計へとつながる

点と点を結んだ線としてチームで受け止め、共有することで

開業時のような患者さんとの心のつながりを作っていきたい。

  

そして最後に受付の事務さんが「お大事にしてください」と笑顔で見送る瞬間に

ここに来てよかった。

と思ってもらえるように。

あの時のリウマチ患者さんを勇気づけてあげられるように。

 

2023.2.5 新宿のスタバにて。

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斉藤究

 

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2023.02.05 | コメント(0)

新しい関節リウマチ治療薬 ナノゾラ

昨日まで3日間クリニックを離れ、新宿で経営の勉強会に参加していました。

そして今日は午前中の診療を終え、再び東京。品川です。

世界に先駆けて日本で使用可能となった関節リウマチ治療の新しいTNFα阻害薬

大正製薬 ナノゾラのお勉強会です。

ナノゾラはその名の通り分子量の小さいNanobody(VHH抗体)が特徴で

安定性が高く、Fc領域がなく、ヒト抗体とのアミノ酸配列相動性が高い

といった特性があります。

Nanobody薬は後天性血栓性血小板減少性紫斑病という病気で

リウマチに先んじて製薬化され、用いられています。

ナノゾラはレミケード、エンブレル(エタネルセプト)、ヒュミラ、シンポニー、シムジアに次いで6剤目のTNFα阻害薬で、月1回の皮下注射製剤です。

TNFに対する結合親和性はgorimumab(シンポニー)と同じくらいで、

Adalimumab(ヒュミラ)よりも早く炎症関節に移行するとのデータがあり、

皮下投与8時間後には関節内に移行しています。

TNFα阻害薬二次無効例でも有効性が認められています。

TNFαはJAK-STAT経路を介さない炎症性サイトカインです。

JAK-STATといえば、近年では内服

関節リウマチの患者さんではTNFαの血中濃度が上がっている人が3/4以上いらっしゃり、

血中濃度が高いほど関節破壊も進みやすいとの研究結果もあります。(C-OPERA)

十分なTNF阻害薬治療の継続で関節破壊された関節が修復されることもあることが示されています(ATTRACT)

オレンシアはseropositive(リウマチ因子陽性、または抗CCP抗体陽性)の患者さんで効果が高いことが知られていますが、TNFα阻害薬はseropositive/negativeで効果に差は認められません。

TNFα阻害薬はMTXとの併用で高い効果が認められており、MTXが使えない場合には効果が十分発揮できないことが多いです。

TNFα阻害薬は炎症抑制作用から、動脈硬化進展抑制効果も認められており、リウマチの心血管イベント(心筋梗塞など)も減少することが示されています。

ナノゾラ30㎎の治療成績は、

MTX併用の場合、16週間(約4か月)の投与でリウマチの症状が20%改善した人(ACR20)は79.6%。50%改善した人は55.9%、70%改善した人は34.2%。

これは他の生物学的製剤がおおむね70%、50%、30%程度なので、対象となった患者さんの背景が違うものの、今後の臨床成績にも期待が持てる数字です。

お勉強の後は北海道で開業する仲良しの先生とお食事。

先生行きつけの六本木のミュージックバーで

爆音のマイケルジャクソンやmaloon5を堪能しました。

その後1時過ぎからうどん屋さんのつるとんたん。

六本木の夜は眠らないんですね。

名古屋はみんな寝てますよー(*_*)

早くマスクも取れて、名古屋の夜も活気ずくといいですね!!

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斉藤究

名古屋市名東区平和が丘1-10

052-776-3110

https://saito-seikei.jp

2023.02.05 | コメント(0)