椎間板ヘルニアはレントゲンだけでは分かりません。

今日腰痛で受診した複数の患者さんに立て続けに言われたのが、

「以前受診した整形外科では、レントゲンを撮って椎間板ヘルニアと言われた。」

というセリフです。

ええ!!?

椎間板ヘルニアって、レントゲンでは見えないんですよ!!

椎間板ヘルニアというのは、背骨の椎体と椎体の間にある椎間板が破れたり膨らんだりして、脊髄神経を圧迫することで腰痛だけでなく太ももやふくらはぎ、足の裏などの痺れや痛みを出す病気です。

前屈がすごく硬くなることも症状の一つです。

最悪の場合、下肢の力が入らなくなったり、尿失禁や便失禁などの症状が出ることがあり、これは馬場症候群といって手術の適応になります。

椎間板ヘルニアを確定診断するためには、MRIを撮影してどのくらいの大きさのヘルニアがあって、脊髄神経をどのくらい圧迫しているのか確認する必要があります。

しかし、レントゲンだけを見て椎間板ヘルニアです。という診断を患者さんに告げてしまう医師は少なくありません。

少なくともヘルニアの可能性が高いと診断するためには、患者さんの痺れや痛みの訴えだけでなく、他覚的な知覚低下や筋力低下、SLRテスト、FNSTテストなどの神経伸長テストなどを行う必要がありますが、それもされていないことがよくあります。

そのため、患者さんが以前の医師にはヘルニアと言われたという言葉は、改めて上記のことを考えて判断する必要があります。

臀部や大腿、下腿〜足に痺れや痛みがあるとヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの脊椎内病変を考えがちではありますが、鑑別診断として、脊椎外病変も考えなくてはなりません。

脊椎から出た神経は、腰神経叢や坐骨神経として骨盤や下肢へと伸びていきます。

有名な坐骨神経痛というのは、梨状筋や内閉鎖筋などの深層の臀筋、大腿二頭筋といった坐骨神経に接する筋肉が硬くなり神経を圧迫することにより発生します。また、坐骨神経の周囲の組織との癒着が起こることもあります。

また、筋肉が硬くなることで痛みの原因になる場合もあり、これをMPS筋膜性疼痛症候群といいます。

筋肉の硬さの診断には触診技術が必要で、その触診に長けた医師に出会う必要があります。

神経は脊髄から足へと電気信号を伝える電線のような存在で、2箇所3箇所と圧迫されると余計に神経症状は悪化します。

これをdouble crush syndromeといいます。

足の痺れ=椎間板ヘルニア!と短絡的な診断をするのではなく、MRIでたとえ椎間板ヘルニアがあったとしても、臀部から足に至るまでの神経の圧迫や下肢の筋肉が硬くなっていれば、ハイドロリリース注射やリハビリによって症状が改善することも多く見られます。痛みや痺れが0にならなくても、大幅に改善することもあります。

大切なのは、神経と筋肉の解剖をよく知って、運動器エコーを用いて正確な触診を行い、ハイドロリリースやリハビリによって脊柱管外の病変にしっかり治療を施すことです。

その上で、どうしても取れない、日常生活を困難にする辛い痺れや痛みがある場合には、椎間板ヘルニアの手術まで考えます。

これを読んだ方たちは、少なくともレントゲンだけを見て椎間板ヘルニアと診断されたことを鵜呑みにしないでくださいね。

もしこの痛みや痺れはヘルニアかな?と思ったら、当院までご相談くださいね。

 

【執筆者:さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究(プロフィール)】

さいとう整形外科リウマチ科

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https://saito-seikei.jp

 

 

2023.11.21 | コメント(0)


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