中部リウマチ学会2012

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今日から中部リウマチ学会が始まりました。

名古屋開催ということもあり、
僕も今回は演題を出しました。

今日からポスター発表にて
「BIO時代における大きな課題~価格による治療格差は越えられるか」
というタイトルにて掲示しました。

生物学的製剤は年間医療費が40万円~60万円になるという高額な治療です。
日常診療において生物学的製剤の必要性に迫られた際に、
最も困窮しているのはまだ収入にも余裕のない若い世帯であり、
生物学的製剤を使用することにより可処分所得は生活保護を下回ってしまうケースもあり得ます。

高額療養費の活用や、生物学的製剤の「BIO FUND」のアイデアの提案などを盛り込んだ
発表を作りました。

リウマチ学会から、何かが動けばいいなあ、と期待します。

また、明日は名古屋大学の生物学的製剤データベースから、
アクテムラを6か月間使用していても、リウマチの活動性が高い患者さんの
1年間以上フォローアップした経過につき、口演発表することになっています。

今日のリウマチ学会では
今後発売されるJAK3阻害薬トファシチニブや、イグラチモド(商品名:コルベット)について
治験の内容や基礎研究からの成果が発表されました。

いずれも単剤でも、MTX併用にても良好な効果が得られ、
MTX効果不十分、TNFα阻害薬効果不十分例でも
一定の効果が得られる、という経口内服薬です。

トファシチニブは2~4週で速やかに効果発現され
DAS<5.1の中等度疾患活動性以下の患者さんでは80%以上が寛解に。
従来の経口抗リウマチ薬が効果不十分であった患者さん(DMARDS-IR)でも
10㎎~15㎎の内服で40%が寛解に至るという、効果の高いお薬です。

しかし、リンパ球の低下があると感染症が増える
LDLの上昇(高脂血症)やヘルペス、帯状疱疹などの副作用など
MTXや生物学的製剤とはまた違った注意点があり
リウマチ医たちがその使用感をつかみ
最大限の効果と最大限の安全性を引き出すには
生物学的製剤同様、時間がかかるかもしれませんね。

あと1~2か月すれば、コルベットは臨床使用可能となります。
コルベットは肝障害を避けるため、25㎎から開始し、4週後に50㎎に増量します。

また、リウマチと妊娠のセッションでは
生物学的製剤時代以前には、
妊娠により6割の患者さんでリウマチの状態が軽快する、
と報告されていましたが、
生物学的製剤時代に入り、
良好にコントロールされていたリウマチ患者さんで
MTXの中止、生物学的製剤の中止を行うと
妊娠中にリウマチが再燃する傾向がある可能性が指摘されました。

確かに、いくらリウマチの状態が妊娠でよくなる、といっても
生物学的製剤+MTXでコントロールすることにはかなわないのでしょう。
納得がいきます。

妊娠中にはステロイドだけでなく、アザルフィジンの使用も
胎児に大きな影響はないといわれていますが、
最近妊娠中にもエンブレルを使用したという症例報告もあり、
再燃した際の活動性が高ければ、エンブレルを再開するのもよいかもしれません。
しかし、その際には、患者さんとの間にリスク、ベネフィットを示した同意書を作成するなど
医師、患者の双方の了解が必要となるでしょう。

学会の後、名古屋大学の先生たちと
名古屋駅のラーメンストリートで旭川ラーメンを食べました。
明日も一日お勉強。
楽しんで頑張りまーす。

2012.09.01 | コメント(2)

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