Treat to Target ステートメント10項目

世界的な関節リウマチの治療目標
Treat to Target(T2T)の個別10項目についてです。

4つの基本的な考え方に続き、
下記10項目が挙げられております。

1. 関節リウマチの治療は、まず臨床的寛解を達成することである。
2. 臨床的寛解とは、疾患活動性による臨床症状、兆候が消失した状態と定義する。
3. 寛解を明確な治療目標とすべきであるが、現時点では、
  進行した患者や長期罹患患者は、低疾患活動性が当面の目標となりえる。
4. 治療目標が達成されるまで、薬物治療は少なくとも3か月ごとに見直すべきである。
5. 疾患活動性の評価は、中~高疾患活動性の患者では毎月、
  低疾患活動性または寛解が維持されている患者では、3~6か月ごとに、
  定期的に実施し記録しなければならない。
6. 日常診療における治療方針の決定には、関節所見を含む総合的指標を用いて
  評価する必要がある。
7. 治療方針の決定には、総合的疾患活動性の評価に加えて
  関節破壊などの構造的変化及び身体機能障害もあわせて考慮すべきである。
8. 設定した治療目標は、疾病の全経過を通じて維持すべきである。
9. 疾患活動性指標の選択や治療目標値の設定には、
  合併症、患者要因、薬剤関連リスクなどを考慮する。
10.患者は、リウマチ医の指導のもとに、「目標達成に向けた治療(T2T)」について
  適切に説明を受けるべきである。

少し難しく見えるかもしれませんが、
簡単に述べると、
現在のリウマチ治療は、十分に「寛解」を目指すことができる。
「寛解」とは、関節の腫れも痛みも、採血の炎症反応もない状態である。
リウマチ歴の長い人ではすでに関節が破壊されている場合もあり、
「低疾患活動性」をゴールにしなくてはならない場合もあるが、
患者さんの現在の状態や合併症も踏まえて、
患者さんと目指すべきゴールを共有して治療することが大切である。
リウマチの活動性の評価には、
診察、採血、患者さんの自己評価、医者の評価、画像診断など
総合的に組み合わせた指標を用いて行い、治療は3か月ごとに見直し
ゴールが達成できていないのに、いつまでも同じ薬で粘らないこと。

とまとめられるでしょう。
糖尿病や高血圧と同じように
関節リウマチにも、世界共通の治療目標が示され、
治療のゴールを医者と患者が共有できるようになってきたのです。

2012.01.31 | コメント(5)

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