院長ブログ

日本整形外科超音波学会で発表

1年延長となり開催されたオリンピック。

整形外科医師として、選手たちには思いっきり悔いのないように力を発揮してもらいたいと思います。

延期といえば、日本整形外科超音波学会も1年延期となったのち、7/17.18で現地とオンラインのハイブリッドで開催されました。

僕は7/17の夜に高速バスで奈良入り。

高速バスは5分ですべての空気が入れ替わるとのことです。しかも名古屋駅から乗り換えなしで奈良駅まで直通。2時間半で奈良です。お陰で仕事もはかどります。

今回の僕の学会発表は、「ハイドロリリースは本当にはがしているのか?」というタイトル。

最近徐々に広がりつつある神経や筋膜、筋肉内のトリガーポイントをターゲットにした注射治療であるハイドロリリースですが、超音波画像上では注射した液体が組織内に広がり、あたかも組織と組織の間を剥がしているように見えます。

しかしご遺体で解剖してみると、思ったようにはっきりと剥がれているわけではなく、お水は疎性結合組織の中に浸透しているだけのように広がっています。

まだなぜハイドロリリースが有効なのか、その真のメカニズムは解明されてはいませんが、身体の痛みの治療として安全で非常に有効な場合があることは多くの医師により確認されています。

今回の僕の発表では、筋間の解剖所見をもとに、ハイドロリリースで重要なメカニズムは疎性結合組織、脂肪組織、血液の排出路であり圧迫に対して脆弱な静脈が重要なターゲットであることを提示しました。

エキスパートの先生たちとハイドロリリースのメカニズムを考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。

ハイドロリリースはエコーで見て注射すれば良いというものではありません。

それ以上に大切なのは、どこにエコーを当てるべきか、注射するポイントを絞り込むために身体診察を行い、触診で発痛源を触り分ける技術です。

これまでなかなか治らない痛みでお悩みの方は、一度ご相談くださいね。

さいとう整形外科リウマチ科

名古屋市名東区平和が丘1-10

0527763110

https://saito-seikei.jp

2021.07.25 | コメント(0)

早期リウマチとは?治療のチャンスを逃さない!

7月11日(日)

今朝の『松本裕子の病を知る』という番組で、
「早期リウマチとは?治療のチャンスを逃さない!」というテーマが放送されたようです。

解説は北大名誉教授で、北海道内科リウマチ科病院 最高顧問の小池隆夫先生。

北海道内科リウマチ科病院は、開業前に僕もリウマチ超音波診断の技術を初めて見学させていただいた病院です。

小池先生はそのリウマチ超音波診断を日本に広めた功績のある先生で、先生が代表となるAOI Academy of imagingという勉強会では、多くのリウマチ医や検査技師達が、リウマチ超音波の技術を学び、今は日本中で活躍しています。

とはいえ、まだまだ皆さんの近くにリウマチ超音波をやってくれる先生がいるかと言うと、現状では足りません。

リウマチはまず手足の全ての関節を触診して、圧痛や腫脹のある関節を見抜き、さらに超音波を当てることで、その関節にリウマチの滑膜増殖があるか、今まさに炎症が起こっているかが目で見てわかるようになります。

さらには、リウマチと診断されて治療薬を内服してからも、関節からリウマチの炎症がちゃんと消えているかを、超音波では確認することができるので、触診を超えた深い寛解である超音波寛解を確認することができます。

超音波寛解していれば、まずその関節の骨が溶けていく心配はありません。

関節リウマチは、超音波を用いてできるだけ早期に正しく診断して、早期に治療を始めることができれば、関節の破壊を防ぐことができます。

番組で「治療のチャンスの窓」として紹介されていたWindows of opportunityは、リウマチは発症して早期の時期に1番進行が早いため、関節が炎症で溶けてしまう前にしっかりと治療しましょう、という意味のスローガンです。

もしリウマチが心配だ、と言う方や、今リウマチを治療しているけど、自分はちゃんと寛解まで達成しているのかどうか心配な方は、一度ご相談くださいね。

ただ、全ての患者さんに超音波診断が必要なわけではないので、まずは今の状態が超音波診断まで進むべき、リウマチが疑われる状態かどうかから診察します。

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斉藤究

名古屋市名東区平和が丘1-10

052-776-3110

2021.07.11 | コメント(0)

私はコロナワクチンを接種してもいいですか?

現在患者さんから頻繁にお問い合わせをいただいております。

「私はコロナワクチンを打っても良いですか?」というご質問です。

特に多いのが、血をサラサラにするお薬(抗凝固薬)を内服していますか?という問診事項についてのお問い合わせです。

新型コロナワクチンの予診票・説明書・情報提供資材|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これはコロナワクチンと相互反応を起こすというよりも、注射部位からの出血が止まらないといけないから、という配慮だと思われます。

当院で使用している薬の解説をします。

●オパルモン(ジェネリックではリマプロストアルファデクス)

脊柱管狭窄症の薬です。脊髄の馬尾神経の血流を促進する薬ですが、出血部位からの止血が悪くなるような効果はありません。コロナワクチンの接種は問題ありません。

●エパデール(ジェネリックではイコサペント、メルブラ―ル)

脂質異常症や毛細血管血流の改善のための薬です。魚の油から作られている薬で、オメガ3という体に良い油です。サプリメントではDHAやEPAと同様の効果があります。この薬単体では出血部位からの血液が止まらなくなるような抗凝固効果はありませんが、その他の種類の抗凝固薬を内服していると、出血傾向が助長されることがあります。エパデールのほかに抗凝固薬を飲んでいない場合にはコロナワクチンの接種に問題はありません。その他の抗凝固薬を内服されている方は、処方いただいている主治医の先生にご相談ください。

基本的にその他の抗凝固薬を内服している方でも、採血は普通にされるわけですから、コロナワクチン接種後もしっかりと注射部位を5分間ほど圧迫止血すれば通常は問題ありません。

リウマチの患者さんにおいては、日本リウマチ学会、アメリカリウマチ学会など各学会が新型コロナワクチンの接種を推奨しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて(患者様向け情報) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR) (ryumachi-jp.com)

COVID-19-Vaccine-Clinical-Guidance-Rheumatic-Diseases-Summary.pdf (rheumatology.org)

以下日本リウマチ学会HPより引用させていただきます。

日本リウマチ学会としては新型インフルエンザワクチンと同様にステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種した方がよいとしています。」

「接種するならば疾患活動性が安定してからが望ましいと考えます。」

「現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響はわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきと考えます。」

「ワクチンを接種するかどうかは、接種のリスクと感染のリスクを比較して決めることになります。」

 ワクチンを接種すること
利点重症化しにくくなる、もしくはしなくなる効果が認められていること
現在までに知られている変異にはすべて対応していること
弱毒生ワクチン(現在開発中)と違いすべての患者で投与が可能であること
欠点ワクチンの種類が今までにないものであること
アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応や局所の強い反応が認められている
今後のウイルスの変異に対応できるかどうかがわからないこと

 「新型コロナウイルス感染後、重症化しやすいリスクとしては高齢者、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があげられます。年齢については30歳代と比較した場合の60歳代の重症化率は25倍になると報告されています。」

また、上記米国リウマチ学会(ACR)のガイダンスでは、

MTX、JAK阻害薬はワクチン投与後1週間休薬をすることについて、エキスパートコンセンサスの強さは中等度となっています。

また、オレンシアはワクチン投与1週間前から投与1週間後まで休薬することについて、エキスパートコンセンサスは中等度となっています。

日本リウマチ学会では特に使用中の薬剤の休薬については言及されていません。

そのため、当院に通院する患者さんには特にいつも通り治療を継続しながらワクチン投与をおこなってもよい旨お伝えしていますが、上記ACRの言及が気になるようであれば休薬されてもよいかと思います。ただし、ACRガイダンスの冒頭にも十分に信頼できるデータはまだ乏しいため、臨床的な判断を重視するように記載されています。

今回の新型コロナワクチンは通常のワクチンや薬剤のように日本人での十分な治験プロセスを経て接種開始されたものではないため、一定の未知のリスクがあることは否定できません。

日本人で投与され始めたのも最近のことであり、2回目の投与翌日には発熱や倦怠感が強くでる場合があることもネット上で体験談が上がってきています。そのため、2回目投与の翌日にはカロナール(アセトアミノフェン)を飲んでおくと少しは楽になるようです。

何より、長期的な副作用はまだわからないところがあるため、ご自身の新型コロナウイルス感染リスクがワクチン接種リスクを上回るほど高いと感じる方はワクチンの接種をしてもよいでしょう。

2021.04.26 | コメント(0)