今日は骨粗鬆症の会で座長さんでした。
骨折治療を頑張っている東部医療センターと
骨折術後の回復期リハビリを行っている木村病院と
開業医として骨粗鬆症治療を担う当院とのコラボ企画。
骨折連鎖を防ごう!二次性骨折予防のための地域連携
という会でした。
骨粗鬆症で骨がスカスカになってしまうと、一度骨折が起こると、骨粗鬆症の治療をしなければ当然2回3回と骨折を起こしていくわけです。
圧迫骨折で背骨が折れれば姿勢が悪化して猫背になり首や腰の慢性的な痛みを抱えてしまいます。
大腿骨が折れれば歩行状態が悪くなり、杖や歩行器のお世話になることになったりします。
その結果、活動性も下がり、5年生存率、10年生存率が下がってしまうといったデータもあります。
高齢の患者さんはみんなピンピンコロリがいいよね!と言います。
そのためにも、骨折してからはもちろん、骨折をする前から骨粗鬆症を早期に発見して、骨を弱くしないためにも早期から骨粗鬆症治療を行っておく必要があります。
もう一つ大切なのが、筋力を衰えさせないこと。
座ってばかりいると、脚の筋力も弱り、大腿骨の骨密度は例えお薬で治療をしていても低下する人すらいます。
コロナ禍では、治療をしていても大腿骨の骨密度が下がる人が続出しました。怖いですねー!
これもコロナの間接的な弊害です。
例えば大腿骨頸部骨折を起こして手術した後は骨粗鬆症治療が大切ですが、今日の講演では、退院後にちゃんと骨粗鬆症の治療をしているのは、内科かかりつけ医の9%、整形外科かかりつけ医の50%との数字が提示されました。
骨粗鬆症の骨密度は特に腰椎と大腿骨で測定するDEXA法を行うなことが大切で、薬剤の治験データは全てDEXA法て行われていることもあり、治療の効果判定はDEXA法でないと分かりません。
しかし、昔ながらに手関節や踵の骨で骨密度を定期的に測定しているクリニックもあります。手関節や踵の骨で正常でも腰椎や大腿骨のDEXA法では骨粗鬆症が進行していることもあり、その逆もあります。
骨折後にはちゃんとDEXA法で骨密度を測定し、骨粗鬆症の重症度に合わせた治療薬を使用することが大切です。
内服薬のビスフォスフォネート(ボナロン、ベネット、アクトネル、ボノテオ、ボンビバ、フォサマック、リカルボンなど)、注射薬のプラリアでは、歯周病がひどい人では顎骨壊死(抜歯した後に歯を抜いた穴が埋まってくれません)がまれに発生することがあり、治療前に歯科で歯周病チェックを受けることも大切です。
当院ではボナロンやプラリアを使用する前には、歯科検診を受けているか問診して、歯周病が無いことが確認できない場合にはまず歯科に受診してもらっています。
日本が元氣でいるためにも、高齢者がいつまでも自分の足で歩いて、介護のお世話にならないことが大切です。
東京歯科大学の水野先生は、今日の講演で
糖尿病の合併症が網膜症や腎症であるように、
骨折は骨粗鬆症の合併症なのです!
と話していました。
骨粗鬆症治療は、リウマチ治療、運動器エコーとハイドロリリースによる痛み治療と共に、当院が取り組む重要な使命の一つです。
名古屋市では骨粗鬆症検診のクーポンが送られてきた年には無料で検査を受けることができます。
それをきっかけに、早期に骨粗鬆症を発見して、骨折を未然に防ぎましょうね!!
【執筆者:さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究(プロフィール)】
さいとう整形外科リウマチ科
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