リウマチ専門医による診療
関節エコーによる関節リウマチの早期診断と治療
リウマチ科とは
関節リウマチは膠原病の一種で200人に1人の患者さんが罹ると言われる稀ではない病気です。
当院には2024年現在、約800名のリウマチ患者さんが通院されています。
その他の膠原病では乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症も当院で扱う病気です。
SLE、強皮症、皮膚筋炎、血管炎などの疾患は膠原病内科に紹介させていただいています。
その他、関節リウマチを心配されて来院される方で多いヘバーデン結節、ブシャール結節、腱鞘炎、ばね指のほか、更年期障害、質的栄養不足、筋膜性疼痛症候群など幅広い診断から痛みの原因を探ります。
関節の痛みや、「これはリウマチなの?」と不安がある方はお気軽にご相談ください。
関節リウマチとは?
関節リウマチは、手指、足趾のほか、あらゆる関節に痛みや腫れ、こわばりを起こして、放置すれば骨を溶かしてしまう怖い病気です。
とはいえ、今はさまざまな治療薬が開発されており、発症早期に診断して、お薬で関節の炎症を完全に消してあげれば関節が溶けることを防ぐことができます。
診断に大切なのは、
- 患者さんが痛いという関節だけでなく、足趾も含めた全ての関節を触診すること
- リウマチ以外の病気も疑う場合は筋肉や腱も触診すること
- 採血で炎症やリウマチ因子(RFや抗CCP抗体)が陰性でもリウマチの場合もあることを知ること
- 逆に炎症やリウマチ因子が陽性でも、リウマチを発症していないこともあること
- 疑わしい関節は関節超音波を行い、活動性の滑膜炎を見つけること
です。
関節を触らない医師、採血だけを見てリウマチだとかリウマチではないとか伝える医師であれば、改めてリウマチ専門医に受診した方が良いでしょう。
また、リウマチではないとしたら現在の症状の原因は何か、その症状がどうしたら治るのか考えてくれる医師にかかるのが良いでしょう。
当院ではリウマチを疑う患者さんでは全ての関節を触診し、必要な関節には関節超音波を行っています。リウマチではないとしたら、筋膜性疼痛症候群や腱鞘炎、ヘバーデン結節や栄養不足(鉄欠乏や蛋白欠乏)なども鑑別し治療を行なっています。
リウマチと診断された場合は、まずはリウマトレックス/メトトレキサートの内服治療を開始します。その後、患者さんごとの炎症の状態や副作用を考慮してオーダーメイドに複数の内服薬や注射薬(生物学的製剤)、JAK阻害薬まで組み合わせて寛解に導きます。
リウマチ専門医として、患者さんがリウマチを忘れて思いっきり仕事ができること、家族のサポートをできること、安心して妊娠・出産を迎えられることを目標に治療を行なってまいります。
症状の表れ方
関節リウマチは、全身の関節にこわばり、痛みや腫れといった症状が出ます。
同時に疲労感、微熱、食欲不振、体重減少などの症状が現れることもあります。朝起きたときに手の指がこわばって動かしにくい。
関節が痛む、腫れるなどの症状で発症します。関節の破壊は発症してから2年以内に最も進行してしまうので、早期発見とともにそのリウマチの症状を起こしている炎症の強さに見合った早期の治療がとても大切な病気です。
- 健康診断でリウマチ因子を指摘された。
- 母親が関節リウマチで自分も心配。
- この自分の症状はリウマチなの?
などのご質問も、どうぞお気軽になさってください。
リウマチの診断
初期のリウマチは診断が難しいことも多く、しだいに「関節リウマチ」という病気が完成してくることもあります。
そのため、1回の検査だけではなく、経過を見ながら、何度か検査を行う場合があります。
検査・診断の方法としては、問診・視診・触診などと、血液検査が中心となります。
また、X線上でリウマチの骨破壊が起こる以前の早期診断としては、「リウマチ医の聴診器」とも言われている関節エコー(超音波)や、提携医療機関での手のMRI検査などから、総合的に診断します。
リウマチの治療
リウマチと診断された後も、人それぞれ炎症の強さも関節の腫れ方も、たどる経過も異なります。
そのため、その方の症状と炎症の強さに合わせて使用する薬や治療法を調整する必要があります。また、生物学的製剤の登場で関節リウマチという病気の寛解も現実的なゴールとなってきています。
反面その方の持つ肺や腎臓の合併症や、高い薬剤費なども考慮する必要がありますので、一緒に相談をしながら、最適な治療法を探ってまいります。
リウマチ治療の3本柱
薬物療法
関節の炎症を薬で治療します。メトトレキサートを中心とした内服薬、注射薬の生物学的製剤、JAK阻害薬を組み合わせて使用しながら、個々の患者さんの炎症の状態や副作用・合併症に合わせてオーダーメイドに治療します。治療目標は関節の炎症が完全に消えている状態(寛解)で、リウマチであることを忘れて生活できることを目指します。
リハビリテーション
動きの悪くなった関節を動かしたり(関節可動域訓練)、歩きづらさを改善します。リウマチによって溶かされた関節でも、リハビリによって可動域が少しでも良くなれば、生活のしやすさは上がります。
手術療法
リウマチで高度に破壊されて、可動域制限の強い関節は専門病院に紹介して手術によって治療します。人工関節により可動域が改善したり、歩けるようになったりする効果が望めます。手首の関節が変形している場合には指の腱が切れてしまうこともあり、指を伸ばすことができなくなります。その場合には腱をつなぐ手術をすることもあります。