転んでなくても
骨折することがあります
目次
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症は、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる疾患です。
骨密度が低下したり、骨質が弱くなることで骨が脆くなってしまい、起き上がる体重を支えられずに背骨が折れる(圧迫骨折)こともあります。
名古屋市では45歳から5歳ごとに骨密度検査のクーポン券が送られてきますので、当院にお持ちいただければ精度の高いDEXA法で骨密度を無料で検査することができます。
低骨密度は腰痛の原因となっていることもあり、骨粗鬆症の治療で骨密度を上げると腰痛も改善することがあります。
圧迫骨折は尻餅をついたり、重いものを抱えた時の腰痛で気づくことがありますが、本人の気づかないうちに発生していることもあり、「いつの間にか骨折」と呼ばれます。
身長が若い時より2cm縮んでいる人では「いつの間にか骨折」が隠れていることがありますので、脊椎のレントゲン検査と骨密度検査を受けると良いでしょう。
骨粗鬆症の検査
腰椎・大腿骨骨密度検査(DEXA法)
当院でも取り入れている骨粗鬆症ガイドラインでも基準となっている検査です。手関節や踵で行う簡易検査と比べて、骨折すると大変な腰椎と大腿骨の骨密度を測定できるだけでなく、骨粗鬆症治療中に骨密度が増えているかの効果判定もできます。
骨粗鬆症ガイドラインでも手関節や踵の検査は治療効果判定には用いられないと記載されておりますので、骨粗鬆症の治療を受けている方では腰椎・大腿骨のDEXA法で治療効果を経過観察することをお勧めいたします。
名古屋市では45歳から5歳ごとに骨密度検査のクーポン券が送られてきますので、お持ちいただければ無料で検査することができます。
脊椎レントゲン
脊椎のレントゲンでは「いつの間にか骨折」が発見できるほか、猫背や脊椎後彎、側弯症、変形性脊椎症、腰椎すべり症などの加齢による姿勢の変化も発見できます。当院では変形の度合いに応じた姿勢維持のためのリハビリテーションも行っています。
採血(骨代謝マーカーと栄養分析)
骨の壊れやすさ(骨破壊マーカー)と骨を作る能力(骨形成マーカー)を測定します。保険では初回と治療効果判定の2回測定することができます。
また、薬剤変更時にも測定できます。
ビタミンDは骨にとって大切なビタミンですが、日本人は欠乏している方が非常に多いです。日頃からお魚やきのこを食べて、日光を浴びながら散歩や運動をしておくことが必要です。
当院では骨を作るために必要な栄養(蛋白、各種ビタミン、ミネラル)がちゃんと摂取できているか採血から分析して、あなたが食べた方が良い食材のアドバイスも行っております。
骨粗鬆症が起こす骨折
脊椎の圧迫骨折
背骨の骨折です。重いものを持つ、尻餅をつくなどの外傷で発生するほか、起床時の体重で折れることや気づかないうちに「いつの間にか骨折」が起こって若い時よりも身長が低くなっていることもあります。
大腿骨頸部骨折
転んでから股関節周りが痛くなる、立てなくなるなどの症状で発生します。
「歩けるから骨は折れていない」は患者さんからよく聞く言葉ですが、全くの迷信です。
大腿骨頸部骨折は軽微なものであれば歩けるため、大病院ではなくクリニックで発見されることも稀ではありません。基本的には緊急手術が必要になりますので、放置せず早めに受診しましょう。
橈骨遠位端骨折
手首の骨折です。圧迫骨折や大腿骨頸部骨折よりも若い年代から発生しやすく、転んで手をついた時に手首が折れます。この骨折をきっかけに骨粗鬆症の検査も行い、骨粗鬆症を早期発見して治療しておいた方が良いでしょう。
手首の骨がずれている時には整復してギプス固定が必要ですが、ずれがひどい時には手術が必要ですので病院を紹介します。
骨粗鬆症の原因
骨密度は50歳前後から減少し始めます。この骨密度の低下は、女性ホルモンの分泌量が減少することに加えて、腸でのカルシウムの吸収が減少し、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの生成が弱まるなどの要因によるものです。
また、若い頃に比べて食事量や運動量が減少する生活習慣の変化も影響します。コロナ禍では外出しない生活がつづいたため、骨粗鬆症治療中の患者さんでも大腿骨の骨密度が低下する方が続出しました。いかに歩くことが大切かわかりますね。
骨粗鬆症の予防と治療
予防法
- 適切な栄養摂取:蛋白質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂りましょう。
- 適度な運動:座っている時間が長いと大腿骨の骨密度が低下します。立つ時間、歩く時間を長く取り、太陽の光を適度に浴びることもビタミンDの活性化に必要です。
- 喫煙とアルコール・糖質の制限:喫煙や過度なアルコールや糖質の摂取は骨粗鬆症のリスクを高める可能性があります。
- 定期検診:名古屋市では5年ごとに無料で骨密度が測れるクーポンが送られてきます。定期的に骨密度検診を受け、必要に応じて治療を行います。
※無料クーポンはすでに骨粗鬆症の治療を受けている方では使用できませんのでご注意ください。
治療法
骨密度を増やす薬、骨質を改善する薬を用います。
薬物治療の効果を引き出すためにも、座っている時間を短くし、立つ、歩く、太陽を浴びる時間を増やしましょう。
- 軽度の骨密度低下(骨量減少)では活性型ビタミンD製剤と、骨質を改善するSERMという内服薬を用います。
- 骨粗鬆症になると骨の吸収を抑制する内服薬ビスフォスフォネートや半年に1回注射するデノスマブによる治療を行います。この種類の薬では、歯周病のひどい人では顎骨壊死という合併症が報告されており、抜歯後に顎の骨がちゃんと埋まってくれない症状が出ることがあります。そのため、歯科と連携して安全に治療を進める必要があります。
- 重度の骨粗鬆症では骨形成促進薬であるテリパラチドやロモソズマブという注射薬を用います。
この記事の執筆者プロフィール
経歴
1999年
国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医
2001年
東京災害医療センター 救命救急レジデント
2002年
刈谷総合病院 整形外科
2006年
名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 / 名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医
2010年
Los Angeles Veterans Affairs hospital留学
2011年
さいとう整形外科リウマチ科を平和が丘に開院
主な著書
「あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床」など6著書(共著含む)
当院で行える治療・処置のご紹介
当院では、様々な症状に合わせた治療・処置が可能です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
慢性的な痛みや
他院で改善しなかった症状など一度当院へご相談ください
痛みと痺れの原因を多角的に鑑別診断し
内服・注射・リハビリだけでなく、栄養・生活習慣改善・姿勢改善・運動習慣改善など
様々なアプローチで改善に導きます。
どうぞお気軽にご相談ください。
さいとう整形外科リウマチ科
院長 斉藤 究
さいとう整形外科リウマチ科
院長 斉藤 究