僕が5年間リウマチの修行をした名古屋医療センター
同時に、5年間よい研修医を育てるための仕事もしてきました。
当時の卒後教育研修センターのリーダーであり、
現在の名古屋医療センター統括診療部長の
奥田聡先生。
僕が尊敬する先生の一人です。
今回送られてきた名古屋医療センターnewsの巻頭で
奥田先生が素敵な文章を書かれていたのでご紹介します。
僕が今もクリニックで研修医を受け入れて
整形外科の初期診療のための教育を行っているのも
若い先生が幅広い視点で患者さんと向き合い
ひいてはその先生により
多くの患者さんに笑顔が戻ることを願ってのことです。
教えることは学ぶこと。
教育は素晴らしい。
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巻頭言 「マッチング」 統括診療部長 奥田 聡
医療にまつわる古いブラックジョークをひとつ、、、
「病院の中で一人の患者が倒れ、心肺停止状態となった。
すぐさま数人の医師が駆けつけた。
意識がないのを見て眼科医は真剣に患者の目玉を覗き込み、
神経科医はハンマーで足の反射を何度も確認し、
消化器内科医は懸命に腹部を触診した。
・・・しかし、だれも心臓マッサージをしていなかった。」
専門に偏りすぎていた日本の医療を皮肉った笑えない笑い話です。
中略
こんなことでは困る、ということで10年近く前に始まったのが、
現在の「初期臨床研修制度」です。
研修医たちは卒後2年間を教育カリキュラムのある病院や大学で
「目の前の患者さんをどう助けるか?(これをプライマリ・ケアと言います)」
を学ぶことが義務付けられています。
中略
この新しい臨床研修制度は日本の医療を大きく変えました。
当院(名古屋医療センター)にも北は北海道、南は沖縄まで、
全国の大学から研修医が来ていますが、
同じ年に集まった研修医たちは文字通り寝食を共にし、
指導医のもとで学び、悩み、かけがえのない絆を深めます。
2年間の研修を終え、それぞれの専門に進んだ後も
診療科を超えた仲間との「横」のつながりが残ります。
一方、そんな彼らがいずれは指導医になって後輩を育てることで
「縦」のつながりも強くなっていきます。
このことは医療の風通しを良くし、
医療チームとして「1+1」が2以上の力を発揮できるように
なっているのではないかと思います。
今年のお盆にも全国からたくさんの医学生が
マッチング(面接)のために当院を訪れてくれました。
猛暑の名古屋にリクルート姿は気の毒なくらいでしたが、
彼ら、彼女たちからは将来の希望を感じました。
もちろん、だれもがこれからたくさん傷つき、
何度か涙することと思いますが、
それにより少しずつ患者さんやご家族の気持ちがわかる
やさしく、頼もしい医師になってくれるものと信じています。
研修医に限らず、病院には多くの皆さんよりずっと若い、
もしかしたら、お子さんやお孫さんぐらいの年代の
若いスタッフがたくさん働いています。
彼、彼女らはそれぞれの部門の指導者のもとで、
皆さんによって育てられます。
どうか引き続き、温かいご支援、ご指導をよろしくお願いします。