今年のリウマチ学会のレポートの続きです。
僕のいた名古屋医療センター整形外科の後輩
神田先生のポスター発表からは
生物学的製剤アクテムラの新しい皮下注射製剤では
体重50㎏~80㎏の患者さんでは有効率が下がるという論文を引用し
名古屋医療センターの症例でも、
体重90㎏の患者さんでは皮下注射製剤から点滴製剤に変更したことで
寛解導入できたとのことでした。
やはり体重あたりでの薬剤投与が必要ということですね。
リウマチデータベースNinjaからの抗CCP抗体についての報告では
抗CCP抗体の値が4.5以下の症例では、BIO使用率15.6%でCDAI寛解導入率が41.2%
4.5より大きくなるとBIO使用率が26%以上、CDAI寛解導入率30%になるとのことでした。
抗CCP抗体陰性の関節リウマチでは寛解だけでなく、
低疾患活動性(LDA) の患者さんでも関節破壊は進行していなかったため、
抗CCP抗体陰性の患者さんではLDAが治療目標でもよいのではないか、
との論文の報告もありました。
超音波のセッションでは
2010年関節リウマチ分類基準では
感度68.2%、特異度75.8%、陽性予測値78.9%、陰性予測値64.1%、正確度71.4%
これに、分類基準を満たさなかった患者さんに補助診断として
超音波でGrade 2または3の関節滑膜円が一つでもあった場合も
関節リウマチに分類した場合
感度100%、特異度72.7%、陽性予測値83.0%、陰性予測値100%、正確度88.3%
に上昇するとのことでした。
やはり、早期診断に超音波は欠かせないということが
データでも示されてきましたね。
また、超音波でPDscoreが3以上の患者さんでは
半年以内にほとんどの患者さんが再発したとのことでした。
PDscore2以下では半年で20%の再発にとどまりました。
臨床的寛解、低疾患活動性維持中でも滑膜血流陽性関節は
そのレベルにかかわらず構造破壊が進行し、
関節狭小化に関与するとのことです。
これは、今回僕がポスター発表した
もっとも厳しい寛解基準であるBOOLEAN寛解の患者さんでも
超音波で陽性であった足趾関節の関節破壊が進行していたことと
一致する報告ですね。
さて、今回はこのくらいで。