今日は京都で開催された骨粗鬆症フォーラムに出席してきました。
かかりつけ医が診る骨粗鬆症診療
洛和会音羽病院 内分泌内科 三浦晶子先生
STOP at ONE
一つの圧迫骨折をしたら、その骨折を最後にしましょう。
大腿骨や脊椎圧迫骨折を起こすと、骨折治療費に加えて、その後の介護費用がかかる。
骨粗鬆症検診受診率は最も高い山梨県でも14%!!
全国平均では5%。京都は2%
2㎝以上の伸長低下は椎体骨折を起こしている可能性が高い。(リスク13.5倍)
レントゲン側面像で25%以上の骨の扁平化
いつのまにか骨折があれば、骨粗鬆症の診断となる。
日本ではFRAXのスコアが15%以上では骨密度が骨粗鬆症の診断基準を満たさなくても、薬物治療開始基準となる。
転倒リスクが高い人、骨折の既往歴のある人、骨粗鬆症リスクのある人では検査を。
65歳以上の女性、70歳以上の男性
65歳未満の女性、70歳未満の男性でも、骨粗鬆症リスクがあれば検査を。
橈骨遠大腿骨頚部の25%、橈骨遠位1/3の5%が海綿骨。つまり、皮質骨が多い部位。
BIS剤またはデノスマブでの顎骨壊死は多くても0.1%
2010年の指針では、3か月程度の休薬が望ましいとされていたが、2016ポジションペーパーでは、休薬の有無にかかわらず顎骨壊死の発生頻度は変わらなかったため、必ずしも休薬する必要はないとされた。抜歯が避けられない場合は、術前から抗菌薬を投与し、侵襲を最小限にするように心がけること。
骨粗鬆症の治療は1年以上続けて、効果判定を。
治療にも関わらず、2か所以上の新規脆弱性骨折がある、1か所の新規脆弱性骨折に加えて、骨代謝マーカーが改善していないときは治療変更を考える。
東京慈恵会医科大学 整形外科 斎藤充先生
いつから始める?いつまで続ける骨粗鬆症治療
骨密度は同じでも、手術の時の骨の硬さは違う。
骨は他の臓器とくらべても圧倒的な新陳代謝のスピード
年間40%が入れ替わる。
何歳であっても、治療介入1年で骨折防止効果はどんな薬剤でも50%以上。
NNTは7-50 スタチンの心血管イベントはNNT150以上
だから、骨粗鬆症治療によるメリットは大きい!
脊椎骨折 60%は痛みのない「いつのまにか骨折」。じわじわつぶれるものは痛くない。
伸長が4㎝縮んだら、74%の人に椎体骨折がある。
一つ目の骨折を放置すると1年以内に4人に1人は再度骨折する。
大腿骨頚部骨折を起こすと反対側の骨折リスクは18倍(65-74歳) 75歳以上では3.3倍。
骨粗鬆症治療により死亡率も下げられる。
男女問わず、性ホルモンの減少により石灰化度の低下と微細構造の破綻により骨密度が低下してくる。
BIS剤は石灰化度の上昇と微細構造の改善で骨密度を増加させる。
破骨細胞を押さえると同時に、骨形成も同時に抑制するため、新陳代謝が止まる。
性ホルモンが欠乏している以上、骨粗鬆症治療を止めればまた骨密度は下がる。
骨密度が高くても骨折する人がいる。
・BMI>30の過度の肥満
・動脈硬化、糖尿病、高脂血症
・慢性腎臓病、メタボリック症候群、脂肪肝、高血圧、脳卒中、COPDなどの生活習慣病
コラーゲン線維には善玉架橋が掛かって強度をアップさせている。
善玉架橋のためには、性ホルモン、vitB6が必要。骨粗鬆症治療薬も善玉架橋を誘導する。
悪玉架橋AGEsは加齢、閉経、活性酸素の増加、高血糖などで形成され、細胞のアポトーシスを起こし、骨にマイクロクラックが増えてくる。アパタイトの配列異常も起こるため、同じ骨密度でも骨は弱くなる。
AGEs化されると骨は黄褐色になってくる。
骨は新陳代謝しているので、生活習慣の改善により悪玉架橋は改善できる。
活性酸素の増大は骨、血管の老化につながる。
糖尿病では高い骨密度でも骨折する。骨質劣化型骨粗鬆症。
糖尿病以外には閉経、高ホモシステイン血症、透析症例、CKD、続発性副甲状腺機能亢進症ではAGEs増える。
高ホモシステイン血症>13μg DM、CKD、COPD、RAなどでホモシステインは上がる。
骨ペントシジン
DM、HbA1C≧7.5%は骨折リスク高い。高ければ高いほど骨折リスク高い。
DMコントロールで
腹大動脈石灰化 L1~L4の前方で動脈石灰化をスコアリング(1~3点×前壁後壁×4椎体)
初診時の圧壊の重症度や椎体骨折の数は続発性骨折のリスクと相関。
骨密度が低いと骨折リスクは3.6倍
骨質が低いとリスク1.5倍
骨密度、骨質ともに低ければ7.2倍
ARM SPAN>身長 5%以上の差があれば
YAM70~80%でも、HbA1C7.5以上、eGFR60以下、腹部大動脈石灰化2椎体以上では治療したほうが良い。
DMコントロールが悪ければ、FRAX>15%でも骨折する。
FRAXに尿中ペントシジン高値を組み合わせれば骨折予測精度を向上させる。
酸化ストレス環境にいる人は、血管も骨も劣化する。
体を一つの水槽とみなくてはならない。
SERMの骨吸収抑制効果はBP剤に比べてマイルドである。
SERMは酸化ストレス・血中ホモシステインを下げる。
骨質改善作用がある。
骨吸収をマイルドに抑制し、骨密度も改善させる。
骨吸収亢進型にはBIS 酸化ストレス増大型、骨質劣化型にはSERM
ラロキシフェンに比べてバゼドキシフェンはFRAX値が高いひとにも効果がある。
治療開始時に高度圧壊椎体骨折や多発圧迫骨折がある場合にはバゼドキシフェンが良い。
エディロールは骨密度を増やし、悪玉架橋は減らす。ベースで使用を。