発信力のある武田先生が
youtubeで自分の腰痛治療経験について
語っていらっしゃいます。
https://youtu.be/GihUcAwJGsA
多くの腰痛患者さんは
同じようなご経験をされてきたことでしょう。
科学者武田先生も、
この時ばかりは一患者としての治療経験から
科学的ではなく
整形外科医はダメ、整体師はオッケー
のようなお話をされています。
整形外科医の僕がいうのもなんですが、
一理あります^_^
だって、10件以上かかった整形外科で
治せなかった腰痛が
「整体」にかかって、
一発で治ったんですから、
全世界にそう発信したくなるのもわかります。
殆どの腰痛は
画像検査では異常がみられません。
患者さんの痛み方を聞いて
体の動きを見て、筋肉を触れば
だいたいどこが悪いのかわかります。
時には、
腰痛なのに腰は悪くなくて
ふくらはぎが悪いこともあります。
そこにトリガーポイント注射や
ハイドロリリースをすれば
多くの人で痛みが改善し、
根の浅い腰痛なら
その日に痛みが取りきれることもあります。
だけどちょっと待って。
じゃあ、武田先生の言うように
全ての腰痛は「整体」に行けば
良いのでしょうか。
そもそも、武田先生も
整形外科と接骨院、鍼灸院、整体、カイロ
などの違いをわかっているでしょうか。
一般の人はあまり知らないかもしれませんね。
整形外科医は医師ですので
病的状態を診断治療するのは得意ですが、
筋肉の治療を得意とする医師は
まだ多くはありません。
接骨院は
国家資格を持った柔道整復師が
治療に当たります。
骨折の初期治療は保険適応。
それ以外の痛みやコリの治療では
保険適応はありません。
(しかし殆どの接骨院が本来のルールを破って保険適応としています。これは、本当に病気で保険を必要としている人に使う財源を、コリのもみもみに流用されているという問題があります。)
画像検査はできないため、
病気を見逃す可能性があることがリスクです。
基本的に体に触って治療をします。
鍼灸院は
国家資格を持った
鍼灸師が治療に当たります。
針や灸を用いて治療をします。
痛みに限らず、様々な症状に対して
治療を行っています。
医師が必要と認めた場合のみ
限られた疾患にのみ保険適応となります。
そして「整体」は
無資格です。
達人もいるでしょうが、
自分で整体師と名乗れば
今日からでも誰でも整体師になれます。
だから、本当に気をつけて
自分の体に合うのかどうか
確かめてください。
多くの整形外科医は
整体、鍼灸、接骨院に行ったけど
治らない腰痛の中に
手術適応なのに状態が悪くなった人
帯状疱疹を見逃されていた人
圧迫骨折が見逃されていた人
などを経験しています。
一般的な整形外科医師は、
まずはレッドフラッグと呼ばれる
手術適応の強度の変形性関節症や
手術適応の腰部脊柱管狭窄症や
手術適応の椎間板ヘルニア
そのほか骨壊死や感染症、腫瘍、免疫病など
手術や内服の治療が必要な
「病的な」ものを除外してくれます。
そのため、まずは整形外科医に受診して
病的な状態ではないことを確認すると
安心でしょう。
しかし画像的になにも異常がないと、
整形外科医も
武田先生の言うように
湿布とロキソニンを処方して終わり
ということが多いのも事実。
筋肉の診断と治療は、
画像には写らないため
筋肉の診察の勉強を専門にして
自ら勉強していかないと
できるようにはなりません。
もちろん、
筋肉を中心に治療をしている当院でも
初診時にはほとんどのケースで
レントゲンは撮ります。
時にはエコーも行い、
レントゲンでは写らない病的状態を
見逃さないようにします。
その上で、
筋肉の診察に入ります。
他院で行った画像所見があれば
持ってきていただければ
重複した検査はしなくて良い場合もあります。
さらに、身体の状態を見て
採血まで行うこともあります。
貧血や炎症、内臓の状態や栄養状態が
現在の痛みに関わっていないか
知るためです。
難治性の腰痛の中には、
膠原病である強直性脊椎炎などが
隠れていることもあります。
診断には採血やMRIが必要です。
武田先生のご経験は、
流石に10回以上整形外科に受診して
なにも病気がなかった腰痛で、
なおかつ「整体」で治ったということは
やはり筋肉筋膜による腰痛だったと
いうことでしょう。
もっと多くの整形外科医が
筋膜性疼痛を理解して
筋肉の触診技術を身につけ、
ハイドロリリースの治療を
できるようになると
武田先生のご意見も
変わるかもしれませんね。