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オルミエントとスマイラフ

オルミエントとスマイラフ

今週末はリウマチの内服薬である
JAK阻害薬の勉強会祭りでした。

昨日はオルミエント
今日は新薬 スマイラフです。

スマイラフの国際共同第2相試験の成績が述べられました。
スマイラフ150㎎ではエンブレルと比べてACR70の臨床成績は同等か若干低い値でした。
100㎎ではプラセボとは差がついたものの、エンブレルの半分程度の効果でした。
重篤な感染症はほぼ差はなし。
帯状疱疹は他のJAK阻害薬と同様にエンブレルに比べて高い傾向。

やはり、オルミエントの2㎎でもそうですが、
スマイラフも100㎎で開始するのではなく、
150㎎でしっかり効かせて、継続するか、後ほど100㎎に減らす。
という使い方がよいのでしょうね。

国内第3層試験では
プラセボ→スマイラフ100㎎ or 150mg
スマイラフ100㎎
スマイラフ150㎎
のアーム
52wACR20は約80%で100㎎、150㎎でほぼ差なし。
52wACR70は150mgで約40%。
骨びらんは100㎎でもプラセボより良いですが、150㎎のほうがよい。
プラセボでは半年で55%が進行あり。
100㎎では33%、150mgでは28%に何らかの進行あり。
ベースラインのMTX使用量の違いに関わらず改善が見られました。

MTX効果不十分な時に、治療強化を行わなければ
55%以上の患者さんで関節が壊れてしまうことが分かりますね。
スマイラフ150㎎では、
他の生物学的製剤やJAK阻害薬同様に
すべての患者さんで関節破壊0とはなりませんが、
MTXだけで治療した場合よりも半分の人で
関節破壊を起こさないようにできるというデータでした。

リウマチ因子や抗CCP抗体が高い値の場合には
やはり関節は壊れやすいというデータが示されました。

メーカーの用意したパンフレットと同様のスライドを見せながらも
退屈せずに、なんだか「ほー」と納得してしまうのは
竹内勤先生のプレゼンテーションのうまさなんですよね。

薬物動態的特徴としては
中等度の肝機能障害のある患者では血中濃度が高くなるので
50㎎から投与する
とされています。
JAK1は製剤によって代謝経路が異なり、
スマイラフは肝代謝です。

JAK1,2,3 Tyk2を阻害するスマイラフでは
リンパ球、好中球の減少がみられることがあります。
血球変動に関してはJAK阻害薬の中でもそれぞれ違いがありますね。

65歳以上と以下で分けると
他剤同様に重篤な感染症は65歳以上で多いのは変わらないので
特に肺炎には注意が必要ですね。
中でも40kg以下の低体重、ステロイド5㎎を超えた場合は注意とのことでした。
帯状疱疹は100人年あたりの発現率は6.5%で、65歳以上で多くみられています。
間質性肺炎は0.3%であり、その他の生物学的製剤と変わりません。
CK値が上がるケースが14.5%で見られるようです。
筋痛、筋痙攣などの自覚症状がみられることがあります。

これからもリウマチのお薬は続々進化していくのでしょうね。
早く、リウマチは身体から風邪のように消えてしまう
という時代が来てほしいですね。

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員