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新型コロナウイルス予防にマスクは有効なの??

新型コロナウイルス予防にマスクは有効なの??

愛知県で6例目のコロナウイルス感染患者さんが報告されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200217/k10012289781000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

権威のある医学雑誌、NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINEには、エイズウイルス治療薬をコロナウイルス感染患者さんに投与したところ、良い治療反応性が得られたと報告されており、
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001191

厚生労働省は海外で症状の改善が報告されたエイズウイルス治療薬の治験を国立国際医療研究センターで行うことを発表しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200215/k10012286651000.html

国立国際医療研究センターは、僕が医者の人生をスタートさせた研修病院です。
もう20年以上も前ですから、まだエイズの治療も確立され始めた頃のことです。
その頃は、HIV感染の患者さんでも、複数のお薬を飲んでおけばウィルスの活動性が抑えられて、死の病と恐れられたHIV/AIDSも死の病ではなくなるという科学の進歩に高揚したものでした。

人類の歴史は感染症との戦いの歴史とも言えます。

世界の医療者が、新型コロナウイルスと戦うために感染症対策の基本や、さまざまな治療を試した最新情報を発信しています。

一般の方が間違えやすいのは、
ウイルスが原因である風邪に対して、明確な細菌感染症の兆候がないにもかかわらず、細菌感染の治療薬である抗生剤を飲んだりしても意味がないだけでなく、大切な腸内細菌叢を壊してしまったり、耐性菌を増やしたりする負の側面すらあるということです。

医師でもそこがよくわかってない先生は、患者に明確な細菌感染症の症状がないにもかかわらず、患者が求めるからと安易に抗生剤を出す傾向があります。

医者が抗生剤を出すと言った時には、抗生剤が必要な細菌感染症なのか、患者から聞いてみることも必要だと思います。

一方インフルエンザやエイズやエボラ出血熱、今回のコロナウイルスは、細菌ではなくウイルスです。

抗生剤は効かないため、抗ウイルス薬が適応となることがありますが、一般の風邪に抗ウイルス薬を飲まないのと同様に、インフルエンザは感染力の強い、発症すると急な発熱や筋肉痛、関節痛などの症状が強く出る風邪とも言えます。

日本では保険治療システムのおかげで医療へのアクセスが良いため、すぐにインフルエンザ検査と効インフルエンザウイルス薬が処方されます。

しかし、抵抗力の弱い高齢者やリウマチなどの免疫抑制薬で治療中の方は別として、一般の方ならインフルエンザのお薬を飲むことの方が、原因不明の自殺など、ニュースになったような妙な副作用のリスクを負うことになるのではないかと思います。

なにせ、水分や栄養をしっかり摂る、ちゃんと寝て体を休めるなどの対症療法をしておけば、インフルエンザは5日もあれば治るんですから。

感染力があるので登校、出勤できないだけで、本人は2〜3日もすると元気になっていたりもします。

新型コロナウイルスの感染力もインフルエンザと同程度であり、よっぽど百日咳や麻疹よりも低く、1人から2〜3人に移る程度です。

医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第一版によると
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide1.pdf

臨床的特徴(病態、症状)
新型コロナウイルスは呼吸器系の感染が主体です。ウイルスの主な感染部位によって上気道炎、気管支炎、および肺炎を発症すると考えられます。本ウイルスに感染した方全員が発症するわけではなく、無症状で経過してウイルスが排除される例も存在すると考えられます。
感染者の症状としては、発熱、咳、筋肉痛、倦怠感、呼吸困難などが比較的多くみられ、頭痛、喀痰、血痰、下痢などを伴う例も認められます。一般的に呼吸困難を認める場合は肺 炎を発症しているものと推測されますが、上気道炎の症状が主体であっても肺炎の存在が確認される例や、1週間以上の上気道炎症状が続いた後に肺炎が出現する例もあります。
少数ながらみられる重症例は肺炎を発症していると考えられますが、さらに死亡例では ARDS や敗血症、敗血症性ショックなどの合併が考えられます。 なお、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子ならびに、どの程度、細菌感染症が合併しやすいかについては、明確なデータは認められません。

実際に新型コロナウイルスの治療に当たった国立国際医療研究センター感染症科の忽那先生の記事も参照してください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200206-00162051/
忽那先生のメッセージでは、

「我々が伝えたいのは、この感染症が特別な感染症ではなく、罹った患者さんは皆さん快方に向かっていますよ、ということです。
これを書いた時点では3例報告でしたが、今はもう少し多くの新型コロナウイルス感染症の患者さんを我々は診療しています。そして、この中で重症の方はいらっしゃいません。
健康な方が罹っても重症化する可能性は高くない感染症だろうと思います。
ただ「だるい」という症状は強いようですし、インフルエンザと比べると症状の続く期間は長い印象ですので、仕事を休まないといけない期間は長くなるかもしれません。
この感染症が広がると、社会に与える影響は決して少なくないだろうと思いますが、健常者が罹った場合に命に関わる可能性は高くないだろうと考えます。」
とあります。

全ての風邪症状にコロナウイルスの検査をすれば良いのかというと、医療の費用対効果の面でも非常にマイナスになります。

上記ガイドによると、
厚生労働省は新型コロナウイルスの検査対象を下記のように定めています。

次の(1)〜(4)に該当し、かつ他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、新型コロナウイルス感染症を疑う場合。
(1)発熱または咳などの呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、新型コロナウイルス感染症であると確定したものと濃厚接触があるもの
(2)37.5°C以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前 14 日以内に中国湖北省に渡航又は 居住していたもの
(3)37.5°C以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前 14 日以内に中国湖北省に渡航又は 居住していたものと濃厚接触があるもの
(4)発熱、呼吸器症状その他感染症を疑われるような症状のうち、医師が一般に認められ ている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに 特定の感染症と診断することができないと判断し(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 14 条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型 コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの
※濃厚接触とは、次の範囲に該当するものである。

 ・新型コロナウイルス感染症が疑われるものと同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内 等を含む)があったもの

感染予防のためには、
1)標準予防策の徹底
新型コロナウイルス感染症に対して、感染対策上重要なのは、まず呼吸器衛生/咳エチケッ トを含む標準予防策の徹底です。コロナウイルスはエンべロープを有するため、擦式アルコール手指消毒薬は新型コロナウイルスの消毒にも有効です。手指衛生は適切なタイミングで実施してください。
とあります。
そして、適切な換気です。

現在コンビニからマスクが消えていますが、どの程度の効果があるのでしょうか。
それについては、こちらがわかりやすく書いてあります。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

また、感染症専門医の忽那先生の記事によると
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200123-00159958/
これまでの研究ではマスク単独でのインフルエンザやかぜなどの予防効果は示されていません(BMJ. 2015 Apr 9;350:h694)。
マスクを着用した人と、マスクを着用しなかった人とを比べても、かぜやインフルエンザの発症率に差はないとする報告が多数あります。
残念ながら無症状のときにマスクを着けてもかぜやインフルエンザを防げるとは今のところ言えません。
新型コロナウイルス感染症に関してもおそらく同様と考えられます。

その他にもマスクについての情報が詳しいため、一度忽那先生の記事は読んでみてください。

マスクは咳やくしゃみによる飛沫を飛ばして他人に感染させないために、患者さんがつけるもの。
なのです。
ただ外出する程度ならつける必要はありません。
医療従事者や保母さんなど、咳をしている人の飛沫がかかる距離で仕事をしなくてはいけない人がつけることには意味があるかもしれません。
それよりも、手洗いの方が重要とされています。

そもそも、よほど必要がなければインフルエンザのリスクも含めて、人が密集するところには行かないことの方が、感染症予防の基本です。
そして、感染しないためには免疫力を高めておくことが必要ですから、しっかり睡眠をとり、栄養をとること、疲れたら早めに心と体を休めることです。

分子栄養学ではビタミンCには、ウイルス感染を防ぐ効果があるとされています。

https://saito-seikei.jp/blog/diary/風邪とインフルエンザとビタミンc.html

ビタミンCはブロッコリー、カリフラワー、パプリカ、オレンジ、イチゴ、レモンなどに多いですが、この季節にはサプリメントで摂っておくことも有用でしょう。

当院にはリウマチ患者さんも多数通院されているため、当院を受診する際には、コロナウイルス感染者との接触が疑われる方は、咳などの症状が有れば当院の前にまず内科を受診してください。

そして、コロナウイルス感染でないとしても、咳やくしゃみをしている方はマスクをして受診してください。

もし、コロナウイルスの感染が疑われる方は、医者にかかる前に、まずこちらに相談することも良いと思います。

厚生労働省の電話相談窓口
電話番号 0120−565653
受付時間 9 時 00 分~21 時 00 分(土日・祝日も実施

新型コロナウイルス感染症情報のLINE公式アカウントでは、新型コロナウイルスの発生状況や予防法などの情報を確認することができます。
https://lin.ee/qZZIxWA

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員