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コロナの時期の関節リウマチ治療

コロナの時期の関節リウマチ治療

今日は院内で大阪の井上病院副院長の佐藤宗彦先生のwebセミナーを看護師さん達と拝聴しました。

ご講演のタイトルは

「withコロナ時代におけるRA治療」

コロナの時期にはテレビの情報しか見ていない方では特に不安を煽られています。

第1波のときには、まだ新型コロナについての情報がほとんどない中で、患者さんも医療者も不安の中にいました。

その中で、リウマチ患者さんたちが考えたことは、

・リウマチのお薬を飲んでいると新型コロナにかかりやすくなるのではないか

・リウマチのお薬は新型コロナを重症化させないのか

・お薬を減らしてでも、クリニックにかかる期間を延長できないだろうか。

・電話だけでお薬がもらえないか

などなど、当院でもさまざまな事例がありました。

その中でお伝えしてきたことは、感染する頻度が少ないコロナウイルスを恐れてリウマチの治療を自己判断でおろそかにすれば、必ずリウマチは悪化するし、大切な採血検査を行わなければ、知らない間にお薬の副作用が出ている場合もあるということ。

自分でお薬を減量したり、怖くて中止したりした患者さんは、やはり関節がまた腫れてきて、リウマチの状態が悪化して来院されました。

しばらく顔を出さなかったから、また受診するのに気が引けてしまう患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、そんなことは全く気にしません。

そんなことよりも、ちゃんと治療をして、リウマチで関節を壊して欲しく無い、という気持ちでリウマチ診療を行っていますから、安心して御来院くださいね。

当院では、もともと出来るだけリウマチ患者さんの来院頻度が少なくなるように配慮して予約を行なっています。

リウマチになって間もない時期には、いち早く関節の炎症を抑えることを考えて、2週間から4週間に一度来院してもらっています。

関節の炎症が完全に落ち着いて、寛解という状態になった患者さんでは、2ヶ月から3ヶ月に1回の来院頻度にしてもらっています。

院内の滞在時間を気にされる患者さんには、採血後の診察待ち時間を院外で過ごしていただき、順番が来る頃にお電話でお呼び出しもしています。

さて、以前のブログにも書きましたが、今日のwebセミナーでもリウマチと新型コロナに関しての情報がシェアされました。

新型コロナに対しての感染リスクや重症化率が上がるのは、ステロイド(プレドニン、プレドニゾロン)を10mg以上使用している患者さんです。

また、治療内容としては、内服薬を使わずに生物学的製剤のmono therapyをしている患者さんでリスクが低いとのことでした。

当院の治療では、寛解に至った患者さんでは出来るだけ内服や注射製剤を減らしていくようにチャレンジしています。

生物学的製剤のmono therapyを行なっている患者さんもたくさんおられます。

ただし、すべての患者さんが生物学的製剤のmono therapyができるわけではなく、あくまで病状が非常に落ち着いている患者さんに限られます。

お薬を減薬するときはいつもチャレンジです。

しっかりと超音波検査を行い、すべての関節で炎症が残っていないことを確認している方で、初めて減薬チャレンジが可能になります。 

それでも、減薬途中でリウマチが再燃してくる方もおられます。

リウマチ診療は、採血を見るだけではなく、いつも丁寧に関節を触り、怪しい関節には超音波検査を行い関節の炎症が出ていないか確かめることが大切です。

また、新型コロナ感染のリスク以上に、自宅にこもって座ってばかりいることで足腰の筋力が弱って動けなくなってきたり、骨粗鬆症が進行してしまったりするほうが確実におこる不利益です。

関節リウマチに関しては、上記のようにステロイドを10mg以上使用していなければ、新型コロナのリスクが高まることはないというエビデンスも出てきています。

お薬を自己中断したり自己減薬することなく、きちんといつも通り副作用が出ていないか採血検査は行い、リウマチが安定した状態を続けていただくことが1番大切です。

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員