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なぜ足はつる?「こむら返り」のメカニズムと対策を医師が解説

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なぜ足はつる?「こむら返り」のメカニズムと対策を医師が解説

夜中にふくらはぎがつって痛〜いこむら返り。
高齢患者さんでも足がつる、ふくらはぎがつる、こむら返りする、という訴えはとても多いです。

今回は起こると痛〜い”こむらがえり”について、医師の視点から書いてみようと思います。

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目次

1.こむら返りとは?

2.なぜ足やふくらはぎがつるの?

3.こむら返りが起こったらどう対処したらいいの?

4.こむら返りにはどんな検査があるの?

5.こむら返りの治療法は?


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こむら返りとは?

 

こむら返りとは、ふくらはぎ(こむら)の筋肉がつって硬くなり、痛みを伴う状態で、有痛性筋痙攣とも呼ばれます。

例えば肘を曲げて上腕二頭筋に力こぶを作り、力を入れ続けると痛みが出てきます。筋肉は過度に収縮すると痛みが出ます。それが、自分では力を入れていないのに、ふくらはぎの筋肉が収縮して痛くなってしまうのがこむらがえりです。

夜間就寝中や朝方にふくらはぎの腓腹筋で起こることが多いのですが、太ももの裏の大腿二頭筋や半膜様筋と言ったハムストリング、足底の土踏まずの筋肉がつってしまうこともよくみられます。

なぜ足やふくらはぎがつるの?

筋肉に必要な栄養素や水分、神経からの信号伝達のバランスが崩れることで、筋肉が異常に収縮し、ふくらはぎがつる現象が起こります。

筋肉の収縮は、脳から出た「筋肉縮め!」という指令が脊髄から末梢神経を伝って筋肉に伝わることで起こります。

その時神経から筋肉に神経伝達物質の一種であるアセチルコリンが受け渡されます。すると、筋肉の筋小胞体という袋の中からカルシウムイオンが放出されて筋肉のアクチンとミオシンという筋線維が重なり合うことで筋肉は収縮し、力こぶができます。

収縮した筋肉が再び緩むためには、筋肉内のカルシウムイオンがもう一度筋小胞体の中に回収されることが必要で、そのためにはATP(アデノシン三リン酸)が必要になります。

ATPは細胞のエネルギー源のような存在で、食事中の糖質、脂質、タンパク質という三大栄養素が消化吸収を経て、ビタミンB群などの補酵素の働きでアセチルCoAとなり、ミトコンドリアのクエン酸回路(TCA回路)、電子伝達系が働くことで生み出されます。

上記理由から筋肉が凝りやすい、つりやすい人はビタミンB群が必要になります。

また、筋肉を収縮させるカルシウムイオンは筋肉を緩ませるマグネシウムとバランスがとれていなくてはなりませんが、カルシウムは栄養としても有名過ぎて、カルシウム過剰になっている方も多くいらっしゃいます。そのため、マグネシウムをちゃんと摂取しておく事が大切です。

こむら返りが起こったらどう対処したらいいの?

こむら返りがもし起こってしまったら、まずはつっている筋肉をストレッチしたり、マッサージしたりしましょう。つりそうな時やつってしまったときには、漢方の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)も比較的早く効果が見込めます。
こむらがえりが起こる頻度が多い人、毎日つってしまう人は、水分とマグネシウムを多めに摂取すると良いでしょう。

よくつる人は採血を見たり、リハビリで筋肉の治療をした方が良いこともあるので、医療機関の受信を検討してみてくださいね。当院でも診察を行っています。

整形外科

こむら返りにはどんな検査があるの?

こむら返りの原因を考えると、脱水や電解質異常、閉塞性動脈硬化症などの血行不良、腰部脊柱管狭窄症や末梢神経障害などの神経の異常の他、まれには悪性腫瘍なども隠れていることがあります。

そのため検査としては、まずは触診で筋肉の硬さを確かめて、採血を行い、必要に応じてABIという動脈硬化の検査やレントゲン検査、MRI検査をすることもあります。

こむら返りの治療法は?

採血で脱水や栄養不良が見つかれば、そのための栄養のアドバイスをします。

脱水・栄養不良が原因の場合、蛋白不足なのか、ビタミン不足なのか、ミネラル不足なのか、脱水なのか、それとも複数の要因を持っているのか確認して、一人ひとりにあった治療や栄養のアドバイスをしています。

攣りそうな時や攣った時に飲んでもらうために芍薬甘草湯を処方することもしますが、ただ芍薬甘草湯を毎日飲み続けることよりも、採血による不足要因の改善に力を入れています。

血行不良の人は血行不良になった原因の治療とともに、血流改善のためのお薬が必要になる場合もあります。

神経障害の人の場合には、神経に対する内服薬の他、リハビリで神経の圧迫を改善したり、ひどい脊柱管狭窄症の場合などは手術が必要になる場合もあります。

適切な運動習慣を持つこともとても大切で、ふくらはぎのストレッチやウォーキング、ラジオ体操などの軽い運動を継続的に行いましょう。

まとめ

こむらがえりは、単なる「つり」だと放置しがちですが、栄養バランスや神経・血管の異常が隠れている場合もあります。

もしこむらがえりでお困りの方は、一度ご相談くださいね。

体の不調にお困りの方まずはお気軽にご相談ください

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この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員

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