夜中にふくらはぎがつって痛〜いこむら返り。
高齢患者さんでも足がつる、ふくらはぎがつる、こむら返りする、という訴えはとても多いです。
今回は起こると痛〜い”こむらがえり”について、足がつるメカニズムや原因、対処法まで、整形外科医の視点から書いてみようと思います。

目次
こむら返りとは?
こむら返りとは、自分では力を入れていないのに、ふくらはぎ(こむら)の筋肉が収縮して痛くなってしまう状態です。
有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)とも呼ばれます。
例えば、肘を曲げて上腕二頭筋に力こぶを作り、力を入れ続けると痛くなってきますよね。筋肉は過度に収縮すると痛みが出ます。
夜間や朝方に起こりやすい理由
こむら返りは、夜間の就寝中や朝方に、ふくらはぎの「腓腹筋(ひふくきん)」で起こることが多いです。
寝ている間は水分不足になりやすく、血流も低下しやすいため、筋肉がつりやすい状態になります。
ふくらはぎ以外もつることもある
ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)で起こるこむら返りですが、以下のような部位がつってしまうこともよくみられます。
- 太ももの裏の大腿二頭筋
- 半膜様筋などのハムストリング
- 足底の土踏まずの筋肉
なぜ足やふくらはぎがつるの?足がつるメカニズム

筋肉に必要な栄養素や水分、神経からの信号伝達のバランスが崩れることで、筋肉が異常に収縮し、ふくらはぎがつる現象が起こります。
そのため、ビタミンB群やカルシウム、マグネシウムの摂取が欠かせませんが、なぜこれらの栄養素が必要なのか、順番に解説していきます。
筋肉は神経の命令で動いている
筋肉の収縮は、脳から出た「筋肉縮め!」という指令が、脊髄から末梢神経を伝って筋肉に伝わることで起こります。
その時に脳から出た指令が、神経伝達物質の一種であるアセチルコリンが、神経から筋肉に受け渡されます。
すると、筋肉の筋小胞体という貯蔵庫の中から「カルシウムイオン」が放出され、筋肉のアクチンとミオシンという筋線維が重なり合うことで筋肉は収縮し、力こぶができます。
筋肉がつりやすい人は「ビタミンB群」が必要

収縮した筋肉が再び緩むためには、筋肉内のカルシウムイオンが、もう一度 筋小胞体の中に回収される必要があります。
そのために重要なのは「ATP(アデノシン三リン酸)」です。
ATPは、食事から摂った糖質・脂質・タンパク質という三大栄養素をもとに作られる、細胞のエネルギー源のような存在です。
そのエネルギーを作る働きを助けているのが、ビタミンB群になります。
三大栄養素が消化吸収を経て、ビタミンB群などの補酵素の働きで「アセチルCoA」となり、ミトコンドリアのクエン酸回路(TCA回路)、電子伝達系が働くことで生み出されます。
逆に、ビタミンB群が不足すると、筋肉がうまくエネルギーを作れず、筋疲労や筋肉の異常収縮が起こりやすくなるため、筋肉が凝りやすい・足がつりやすい原因の一つになることがあります。
このような理由から筋肉が凝りやすい、つりやすい人はビタミンB群が必要になります。
カルシウムとマグネシウムのバランスも重要
また、筋肉を収縮させるカルシウムイオンの働きを整えるには、筋肉を緩ませるマグネシウムとのバランスがとれていなくてはなりません。
カルシウムは栄養としても有名過ぎて、カルシウム過剰になっている方も多くいらっしゃいます。そのため、マグネシウムをちゃんと摂取しておくことが大切です。
こむら返りが起こったらどう対処したらいいの?

こむら返りがもし起こってしまったら、まずはつっている筋肉をストレッチしたり、マッサージしたりしましょう。
つりそうな時やつってしまったときには、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬も比較的早く効果が見込めます。
こむらがえりが起こる頻度が多い人、毎日つってしまう人は、水分とマグネシウムを多めに摂取すると良いでしょう。
また、予防としては適切な運動習慣を持つこともとても大切で、ふくらはぎのストレッチやウォーキング、ラジオ体操などの軽い運動を継続的に行いましょう。
よくつる人は採血を見たり、リハビリで筋肉の治療をした方が良いこともあるので、医療機関の受診を検討してみてくださいね。当院でも診察を行っています。
足がつりやすくなる主な原因
こむら返りの原因を考えると、脱水や電解質異常、閉塞性動脈硬化症などの血行不良、腰部脊柱管狭窄症や末梢神経障害などの神経の異常の他、まれには悪性腫瘍なども隠れていることがあります。
脱水・水分不足
水分不足は、こむら返りの代表的な原因です。特に夏場や発汗後、夜間は脱水傾向になりやすく、筋肉がつりやすくなります。
電解質異常や筋力低下
高齢になると筋肉量や血流が減少しやすくなり、筋肉疲労や電解質バランスの乱れが起こりやすくなります。
閉塞性動脈硬化症などの血行不良や冷え
足の血流が悪くなると、筋肉へ十分な酸素や栄養が届かなくなります。特に冷え性の方や動脈硬化がある方では、こむら返りを起こしやすいことがあります。
病気が隠れている可能性
神経の圧迫によって筋肉への信号伝達が乱れて、つってしまうことも考えられます。
特に、腰部脊柱管狭窄症、末梢神経障といった神経の異常や、まれには悪性腫瘍なども隠れていることがあります。
「毎日つる」「急に頻度が増えた」という場合には、一度検査を受けたほうがよいこともあります。
こむら返りにはどんな検査があるの?
当院のさいとう整形外科では、まずは触診で筋肉の硬さを確かめます。
その後に採血を行い、脱水や栄養不足がないか確認をします。必要に応じてABIという動脈硬化の検査やレントゲン検査、MRI検査をすることもあります。
こむら返りの治療法は?

当院の検査で行った採血で、脱水や栄養不良が見つかれば、そのための栄養のアドバイスをします。
脱水・栄養不良が原因の場合
蛋白不足なのか、ビタミン不足なのか、ミネラル不足なのか、脱水なのか、それとも複数の要因を持っているのか確認して、一人ひとりにあった治療や栄養のアドバイスをしています。
攣りそうな時や攣った時に飲んでもらうために芍薬甘草湯を処方することもしますが、ただ芍薬甘草湯を毎日飲み続けることよりも、採血による不足要因の改善に力を入れています。
血行不良・神経障害の場合
血行不良の場合は、原因の治療とともに、血流改善のためのお薬が必要になる場合もあります。
神経障害の場合には、神経に対する内服薬の他、リハビリで神経の圧迫を改善したり、ひどい脊柱管狭窄症の場合などは手術が必要になる場合もあります。
体の不調にお困りの方、まずはお気軽にご相談ください
こむらがえりは、単なる「つり」だと放置しがちですが、栄養バランスや神経・血管の異常が隠れている場合もあります。
もしこむらがえりでお困りの方は、一度ご相談くださいね。
あなたに必要な栄養のアドバイスも行います

