指が痛い
指の痛みでは、関節、骨、靭帯、神経、腱、腫瘍など様々な組織が痛みの原因として考えられます。
目次
関節の痛み
へバーデン結節
40〜50才頃に多いDIP関節(指先の関節で、一般には第一関節と呼ばれています)の加齢性変形性関節症です。痛みを伴うこともあります。レントゲンでは関節軟骨が擦り減って、関節周りの骨が棘のように伸びてきます(骨棘と呼ばれます)。変形が強くなると外から見ただけで骨が出っ張っているのがわかります。ひどい変形では指が斜めに曲がってきてしまうこともあります。すると指が不安定になってきたり、しっかり握り込めなくなってきます。変形の度合いにはかなり個人差があります。
治療法
一般的には指先に負担をかけず安静にして湿布や痛み止めを使うこととされます。
しかし安静にしなさいと言われても指を使わないわけにはいきません。放っておくしかないと言われて当院に来られる方もいます。関節が赤く腫れて炎症がある場合にはエコーを見ながら関節の炎症部位にステロイド注射を行うとよく効きます。関節に炎症がない場合には、指への負担を減らすために、指に関連する筋肉と、腕から肩までの筋肉をリハビリやハイドロリリース注射にて治療することで指の痛みが改善する人が多いです。
最近では動脈注射で塞栓物質(抗生剤)を手首の動脈から注射することで指先のへバーデン結節にできたモヤモヤ血管を治療する動注療法という治療法も出てきていますが、ほとんどの将来ではリハビリとハイドロリリースでへバーデンの痛みが改善することが多いです。
サプリメントのエクオール(商品名エクエル)も婦人科などで聞いたことがある方も多いかもしれません。
閉経に近づくにつれへバーデンの症状が増えるため、ホルモンとの関係も言われており、大豆由来のエクオールという成分が女性ホルモン類似の作用を持っており指の痛みの軽減に効果があるとされます。ただし、女性の半分は大豆を食べることでエクオールを体内で作ることができるため、まずはサプリメントを飲む前に自分がエクオールを作れているか自費の尿検査を行うことをお勧めしています。
へバーデン結節の鑑別診断としては、乾癬に伴う関節炎があります。乾癬によるものでは進行性に関節が破壊されるため、エコーで指先の腱付着部炎を診断して薬物療法を行った方が良いでしょう。
ブシャール結節
指のPIP関節(第2関節)の加齢性変形性関節症です。へバーデン結節よりも頻度は減りますが、変形が強くなると指の曲げ伸ばしの可動域制限や痛みが見られます。変形してしまった関節の形を治す方法はありませんが、痛みを伴う場合には指に関連する筋肉をリハビリやハイドロリリースで治療することにより指の痛みを軽減できることが多いです。
鑑別診断としては、PIP関節では関節リウマチや乾癬、脊椎関節炎などの炎症性疾患や、腱鞘炎の痛みをPIP関節で感じる人もいます。
腱鞘炎 ばね指
最も多いのはA1プーリーという指の根本の関節の手のひら側にある腱鞘というところが狭くなり、指を曲げるための腱が引っかかってしまうものです。
指の曲げ伸ばしで痛みがあり、我慢して使っていると次第に引っ掛かりが強くなって、引っかかった指を伸ばそうとするとバネのように跳ね上がることから、ばね指と呼ばれます。
治療には腱鞘へのステロイド注射がよく効きますが、ステロイド注射は短期頻回に繰り返すことによる腱の障害も懸念されるため、2〜3回行ってもばね指の改善が乏しい場合には手術で腱鞘を切開するとよく治ります。当院では注射とともに指にストレスをかけている筋肉をほぐすためのリハビリやハイドロリリースを行うことでステロイドを注射する以上の効果を上げており、根本的に負担をかける原因となった筋肉を治療することは再発予防にも寄与すると考えています。
関節リウマチ
指のPIP関節(俗語では第2関節)やMP関節(俗語では第3関節)から発症することが多く、初期には指1〜2本の炎症では関節リウマチ分類基準にも当てはまらないため、見逃されることが多いです。指の関節を触診して圧痛や腫れが見られる場合には関節リウマチやその他炎症性疾患を疑い関節エコーを行います。リウマチの疑いが濃厚であれば採血も行い診断の一助とします。
詳しくは関節リウマチの項目を参照してください。
手指のこわばり
40〜50才代の女性に多く、関節リウマチを心配して来院されますが、ほとんどはリウマチの家族歴もなく、ネットを見て心配になり来院されます。女性では閉経前後に多い症状で、筋肉の質が変わりやすい時期であることや日常生活での疲労が出やすい時期であることも関係しています。また、月経に伴う鉄や蛋白などの喪失から慢性の栄養不足となっていることも関係しています。触診で関節の圧痛と腫脹を調べて、必要であればエコーも行いリウマチが除外できれば、栄養状態をみるための採血を行うことと、リハビリで腕の筋肉をほぐすことでほとんどの人は症状が改善します。
この記事の執筆者プロフィール
経歴
1999年
国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医
2001年
東京災害医療センター 救命救急レジデント
2002年
刈谷総合病院 整形外科
2006年
名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 / 名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医
2010年
Los Angeles Veterans Affairs hospital留学
2011年
さいとう整形外科リウマチ科を平和が丘に開院
主な著書
「あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床」など6著書(共著含む)
当院で行える治療・処置のご紹介
当院では、様々な症状に合わせた治療・処置が可能です。
外傷(骨折・脱臼・捻挫)の
診断整復、固定
装具療法
コルセット、サポーター、インソールなど
各種専門医と連携して高次医療機関への
紹介も行なっています。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
慢性的な痛みや
他院で改善しなかった症状など一度当院へご相談ください
痛みと痺れの原因を多角的に鑑別診断し
内服・注射・リハビリだけでなく、栄養・生活習慣改善・姿勢改善・運動習慣改善など
様々なアプローチで改善に導きます。
どうぞお気軽にご相談ください。
さいとう整形外科リウマチ科
院長 斉藤 究
さいとう整形外科リウマチ科
院長 斉藤 究