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腰椎・大腿骨骨密度と骨粗鬆症診断基準

腰椎・大腿骨骨密度と骨粗鬆症診断基準

女性では50歳前後の閉経を迎えると
女性ホルモンの分泌が低下するために
急速に骨密度が下がっていきます。

骨密度や骨質が低下し、骨粗鬆症が進んだために発生する骨折を
脆弱性骨折と呼びます。

脆弱性骨折で頻度の多いものは
背骨、大腿骨のつけね、手首、上腕骨のつけね
などですが、
背骨(胸腰椎の圧迫骨折)や大腿骨の頚部骨折を起こすと
日常生活動作レベルが下がることにより要介護度が上がったり
高齢者では寝たきりにつながることもあります。

骨粗鬆症かどうかの診断は
2012年度改訂版の原発性骨粗鬆症診断基準によると
1.すでに脆弱性骨折がある場合
  背骨の骨折がある または 大腿骨の骨折がある
  その他の脆弱性骨折があり、かつ 骨密度が若年者の80%以下
2. 脆弱性骨折がない場合 
  骨密度が若年者の70%以下
となっています。

骨密度の測定部位は
国際的には腰椎、または大腿骨での測定が基本となっており、
当院では腰椎と大腿骨の両方を測定しています。
これまで普及していた手首や踵の骨密度測定は
腰椎や大腿骨で測定できない場合の参考値にはなります。

これまで手首や踵で測定して骨密度が大丈夫と言われた方でも
骨密度は身体の中で均一ではないため
腰椎や大腿骨といった重要な部位で測定すると
骨密度が低い場合もあります。
一度腰椎・大腿骨骨密度を測定することをおすすめします。

背骨はこれまで骨折を自覚していなかった方でも
若い時に比べて2cm身長が縮んだ方では骨折が隠れている可能性があると言われます。

胸腰椎圧迫骨折をしたことのある方では
再度圧迫骨折するリスクは3~4倍。
大腿骨のつけねを骨折するリスクは3~5倍になります。

大腿骨のつけねを骨折したことのある方では
新規に骨折するリスクが2.5~6.48倍となります。

骨粗鬆症を予防するためには、
思春期から閉経までにしっかりと運動して、カルシウムをとっておくことが大切。
閉経を過ぎると、食事だけでは骨密度が増えないことがわかっています。

背骨を骨折すると背が縮み、腰が曲がり、内蔵が圧迫されます。
肺の圧迫により呼吸が浅くなり、
胃の圧迫により胃酸がこみ上げることも増えます。
痛くて寝ている期間が長くなれば、全身の筋力も衰えます。

大腿骨を骨折すれば歩けなくなり、手術が必要となります。
手術をしても杖が必要になったり、車椅子になる人もいます。

骨折してから後悔する前に
まずは自分の腰椎・大腿骨骨密度を測定して
骨粗鬆症ならば時間を味方につけて早めにお薬で治療することが大切ですね。

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員