今日はウェスティン名古屋キャッスルで開催された「RAプライマリーケアセミナー」で、座長を務めさせていただきました。
ご講演いただいたのは、静岡県の三宅整形外科医院 三宅信昌先生です。
三宅先生は僕がリウマチ修行をした名古屋医療センターの大先輩であり、開業医としても大先輩です。
現在は、僕たちの日常診療と厚生労働省の医療制度とを結ぶための大切な役割も果たされており、医療経済についても詳しい先生です。
本日はその講演内容から、皆様の治療にも関わる大切なお話をシェアさせていただきます。
目次
リウマチ治療はなぜ「高い」と感じるのか
単純な治療費・薬剤費だけに収まらない

リウマチの治療薬「生物学的製剤」は確かに高額なお薬ですが、実際に治療を受けている方が高いと感じる理由は、単純に1回あたりの金額だけではありません。
治療にかかるコストは、大きく分けて以下の3つが含まれる「総医療費」として考える必要があります。
薬剤費や治療費
直接非医療費
通院のための交通費・介護ベッド・ヘルパーなど
間接医療費
通院のための休業、労働損失など
リウマチ治療にかかる実際の負担
生物学的製剤が発売されて間もない2005年でも、患者さんにはこのような大きな負担がかかっていたのだそうです。
1年の総コスト(1人あたり)
229万円
1年の労働損失(1人あたり)
152万円
現在では生物学的製剤により、治療コストはもっと上がっているでしょうね。
リウマチ治療における費用対効果の考え方
今後厚生労働省も、医療に使われる薬剤の経済学的効果を重視してくるようで、NNT・ICER・QALY・DALYといった指標が費用対効果を判定するために用いられているとのこと。
限られた医療財源を有効活用するためには、効果のないお薬や費用対効果の少ないお薬は、
できるだけ使いたくないですものね。
・ICER⋯費用対効果の指標
・QALY⋯生活の質を加味した指標
・DALY⋯健康寿命の損失
薬剤費と生活・仕事とのバランス
日本経済から考えると、病気になったことにより税金を払えなくなる人が一番多い疾患はうつ病。2番目は筋骨格系疾患だそうです。
生物学的製剤は目先のコストは高い治療になりますが、リウマチは仕事のパフォーマンスが下がるだけでなく、仕事ができなくなる可能性も高い病気です。
早期治療が労働損失を防ぐ理由
三宅先生のお話では、関節リウマチになった場合には、3年以内に25%の人・10年以内で50%の人で仕事ができなくなってしまう。
そのため、発症早期のリウマチ患者さんでは、高額な薬剤費を支払っても生物学的製剤を早期に使用することが推奨されます。
労働損失をすることに比べれば、収入面でのメリットが大きいため、積極的に早期から生物学的製剤を導入しているとのことでした。
治療は経済面も含めて考える時代へ
最近では「DRUG HOLIDAY(休薬)」の提案もされており、病勢が強いときには早く・強くリウマチを抑え、寛解に導入できたらしばらくお薬を休んでみる、というのもよいでしょう。
また、三宅先生はWTP(Willing to Pay:支払意思) についてもお話しされました。
患者さんが自分の病気をコントロールするために、その薬剤費に納得して支払ってくれるか。
これまでは、関節破壊を防ぐことこそが医療の正しさだとされてきました。
しかし、経済の中で生活する患者さんが、関節が壊れる可能性を含みながらも生物学的製剤を選択しないというチョイスも、経済学的には支持される選択肢となります。
リウマチ治療にかかわる私たち医療者は、これらのさまざまな可能性や影響についても患者さんに理解をしていただいたうえで、経済的な患者さんの背景を尊重して治療を進めることが大切になります。
リウマチの不安は専門家のリウマチ科へ
リウマチの治療は、薬剤費だけでなく、生活や仕事への影響も含めて考えていくことが大切です。
「治療費がどれくらいかかるのか不安」「自分に合った治療を無理なく続けられるか知りたい」このようなお悩みがある方は、一度ご相談いただければと思います。
名東区のさいとう整形外科リウマチ科では、病状だけでなく生活背景やご希望も踏まえながら、無理のない治療方針について一緒に考えていきます。

