最近は7月頭にある、
リウマチの痛みについての研究会に向けての
講演スライドと
整形外科超音波学会に向けての発表スライドを
毎晩作っています。
リウマチは治療薬の進歩により、
関節がどんどん壊れる病気から
ちゃんと治療を続けていれば
病気でない人と変わりのない生活が
続けられる病気になりました。
超音波診断の進歩により
関節が明らかに腫れる前から
炎症が起こっている関節を診断できるようになり
早期診断ができるようになりました。
とはいえ、関節リウマチは風邪などのウイルス感染とは異なり
完全に体からなくなってしまうわけではありません。
いうなれば、ちゃんと治療を続ければ大丈夫。
治療をやめれば再燃してくる
糖尿病と同じようなイメージかもしれません。
「関節リウマチ」という病気は持っているけれども
関節の腫れや痛み、採血データやレントゲン、超音波などの検査でも
炎症所見の見られない状態を「寛解」といいますが、
現在は寛解基準として提案されるものの中でも
「BOOLEAN寛解」と言って、とても厳しい寛解基準も提唱され
それが「深い」寛解の治療目標となっています。
BOOLEAN寛解は
・腫脹関節 1つ以下
・圧痛関節 1つ以下
・CRP(採血による炎症) 1以下
・患者さんのリウマチの全般評価(PtGA) 1以下(1-10で評価)
の4項目を満たすものですが、
リウマチ専門医の中でも非常に難しいといわれているのが
4つ目のPtGA 1以下 です。
治療が進み、他覚的な腫れや採血データであるCRPは
コントロールが可能となりましたが、
患者さんの自覚症状であるPtGAは
10㎝の線の中に、現在の自覚症状の印象である部分に線を引いてもらう
I――――/――――――――――――――――――――I
こんな感じです。
患者さんの線を引いたところが何mmか測定し
10mm以下ならBoolean寛解の基準を満たします。
11mm以上ならBoolean寛解にはなりません。
非常にファジーな基準ともいえます。
ただ、患者さんは必ずしも関節リウマチの痛みのみを
この基準にあてはめてくれているわけではなく、
リウマチ以外の関節痛や、
肩こり、腰痛やその他からだの不調もこの中に入れてしまうこともあります。
リウマチのみを評価する、というのはとても難しいのです。
だからこそ、
PtGAを10mm以下にするためには
リウマチ専門医がリウマチの症状だけでなく、
患者さんが持つリウマチ以外の痛みの原因を適切に診断、治療できることも
必要となってくるのです。
整形外科専門医がリウマチ診療を行う意味を考える。
そんな発表を今作っています。