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生物学的製剤ヒュミラ3周年

生物学的製剤ヒュミラ3周年

昨日はリウマチの治療薬、生物学的製剤ヒュミラの
発売3周年記念講演が京都でありました。

日本において田辺三菱製薬のレミケードを皮切りに
リウマチ治療のパラダイムシフトを生み出した生物学的製剤は
その薬を使用した患者さん一人ひとりのデータを
すべてデータベースに登録するという全例調査が行われています。

薬剤メーカーと医師の尽力により蓄積された全例調査。
今回はヒュミラ市販後3年間のデータベースにつき
発表がされました。

その中で、ヒュミラの最も効果的な使い方は
まずは十分な量のMTXを使用したうえで
生物学的製剤の第一選択として
関節リウマチ発症早期に使用すること
との発表がありました。

それにより活動性の高い関節リウマチでも
そのほかの生物学的製剤と同等の効果を示し
なおかつ継続率も高いという結果が示されました。

これまで日本では8㎎までという
MTXの保険的投与量の制限があり、
またMTXを第一選択薬として使用できないという
世界のリウマチ治療と比べると大きなハンデを背負っており、
そのためヒュミラもほかの生物学的製剤と比較して
効果が弱いのではないかとの誤解を背負っていたのも確かです。
その中でもリウマチ診療のエキスパートDrたちは
8㎎を超えてMTXを使用しながら治療を進めてきました。

最近ようやく日本でもMTXが第一選択薬として16㎎まで
保険適用となりましたが
今回のような発表を踏まえて
多くのリウマチ医がそのBEST USEを認識しながら使用することで
今後ヒュミラの実地臨床成績も改めて伸びていくでしょう。

ヒュミラのメリットは
2週間に一度
皮下注射で投与するだけでよいというところです。
長い時間点滴に時間を費やすこともなく、
また自己注射ができない方でも
2週間に一度なら近所のリウマチ科に受診して
注射してもらうことも十分可能です。
デメリットは生物学的製剤の中では比較的高価なことですが、
今回発表されたように各生物学的製剤間で成績に大きな差がないならば
患者さんのライフスタイルや経済力に合わせて
リウマチ医からさまざまな選択肢を提案することが可能です。

いずれにせよ、生物学的製剤を使用する前に
まずはMTXをアンカードラッグとして
その人の炎症の度合いや副作用を考慮しつつ
十分な量を使用するというのが
現在のコンセンサスであり基本となります。

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員