先日名古屋テレビ(メ~テレ)の取材を受けました。
夕方のニュースバラエティ「UP!」という番組ですが、「美容院症候群」「美容院脳卒中症候群」について教えてほしいとのことでした。
美容院脳卒中症候群とは?
あまり聞きなれない言葉で医学的な言葉ではありませんが、インターネットで検索すると出てきます。
美容院で洗髪の際に首を上に向けたときに、洗髪後しばらくしてから頭痛、吐き気、めまいの症状や、まれに失神や手足のしびれが出現することを指してそう呼ばれるようですが、美容院だけでなく、天井を向いて作業をするときなど、頚部後屈の姿勢を取ったあとに出現する一連の症状を指しているようです。
東京医科大学整形外科 脊椎班のHPにはスタンダールシンドロームとして紹介されています。イタリアの天井画を眺めていた観光客に多く起こったことから名付けられたようです。
同HPには、頸椎の後側方を通り心臓から脳に血液を供給する椎骨動脈について記載されています。HPによると、頚部後屈(首を後ろにそらすこと)により圧迫されて微小な血栓ができてしまい、洗髪後に起き上がって椎骨動脈の圧迫が解除されたときに脳に小さな血栓ができてめまいや頭痛、嘔気が起こるというものです。
「脳卒中」ではなく、筋肉の緊張が原因のことも
しかし、実際にすべての症例で血栓が起こっているとは考え難く必要以上に心配し過ぎてもいけないと思います。
原因は、多くの場合には頚部の筋肉のコリであるトリガーポイントが関与しているのではないかと思います。
当院へ慢性の頭痛や肩こりで来院する患者さんにも後頭部から頚部の筋肉のコリが原因の方も多くいらっしゃいます。
ずっと偏頭痛と言われて痛みどめを飲み続けている人や耳鼻科や脳外科に行って検査をしても、原因がわからず内服してもなかなか治らないめまいの患者さんの中にも、頚部の筋群のトリガーポイントが関与していることも多く、ここを注射やリハビリでほぐしてあげることで、慢性の頭痛やめまいが治ることもしばしばあります。
美容院での洗髪中に起きる理由の推察
美容院のケースでは、上を向いた姿勢でシャンプーをするときに強く頭を揺らされた場合に後頭部や頚部のトリガーポイントが生まれる可能性があり、それが頭痛やめまいに関与しているのではないかと思います。
他に考えられる原因
そのほかの鑑別診断としては、大きな頸椎椎間板ヘルニアや加齢による頸椎後縦靭帯骨化症や頸髄症などの頸椎病変をもともと持っている方では上を向いた姿勢(頚部後屈)により頚部の脊髄神経が圧迫されて
手のしびれが出現することが考えられます。
また、耳鼻科的には「良性発作性頭位めまい」というめまいがあります。
頭の位置を変えた時に発生するめまいです。
血管性の脳卒中のリスクとしては高血圧、高脂血症、糖尿病や脱水状態などの血液がドロドロになる状態がベースにあります。
また、カイロプラクティックの手技で頚部を急速に大きく回転されてごきごき鳴らす場合には脳卒中にはふつうならない若年者においても頸動脈の動脈かい離による脳卒中の症例が報告されており注意が必要です。
美容院症候群としてネットに出てくるものには東京医科大学のHPから参照した脳卒中に関わる記載が多いように思いますが、上を向くことによって発生するめまい、頭痛にはこのように様々な鑑別疾患が考えられます。
心配な方は、美容院に行く前に自分で天井を向いてみてしびれやめまいが出るかどうか試してみるのもよいでしょう。
当院の見解
通院していてもなかなか治らない頭痛やめまい、手のしびれなどの患者さんは後頭部や肩甲部のトリガーポイントの可能性もあります。
適切な頚部のストレッチやマッサージを行ってもなかなか治らない場合にはトリガーポイント注射や理学療法士によるリハビリが効果を上げることがあります。
名古屋市名東区のさいとう整形外科リウマチ科では、丁寧な問診・触診により、筋肉や姿勢のクセまで含めて痛みの原因を見極め、リハビリや注射・栄養面など、最適な方法を見極めアプローチします。
当院へ受診の際は午前診療は込み合うため、新患の患者さんにもなかなかゆっくりと時間が取れません。
新患の方は午後診療(15:45~)の受診をおすすめいたします(^_^)
メ~テレ「ニュース」見ました。
ご指導のストレッチを取り入れます。