先週発売のフライデーに
先日診療を見学させていただいた
白勝先生が記事になっていました。
「ヒザ痛、肩痛、足首痛 最新治療法がついに確立された!」
白勝先生も、まだ教科書にも載っていない最新の検査や治療をいち早く取り入れて、日々の診療内容を向上させている一流の先生です。
整形外科治療に運動器エコー検査を早くから用いておられます。
私も10年前の勤務医時代にリウマチのエコー診療を学び、その後運動器エコーの世界にどっぷりと浸かりました。
今では、運動器エコーのない整形外科診療は考えられなくなっています。
フライデーの文中にあった石灰沈着性腱板炎は、女性に多く、突然の肩の痛みで全く動かせないくらいに激痛が走る疾患です。
ちょっと動かすだけでも痛いので、反対側の手で痛い方の腕を押さえながら来院されたりします。
文中にあるように、レントゲンだけでは石灰が沈着しているのが見えるだけですが、正確な位置まではわかりません。
エコーを当てると、正確な位置が分かり、炎症が起こっているところは赤く光って見えますので、正確でキレの良い注射もできるようになります。
文中には、
「運動器エコー」という治療法だ
と書かれていますが、これは間違い。
エコーはあくまで治療ではなく検査です。
治療はエコーを見ながら行う「注射」です。
何より大切なことは、
こういう記事が出ると、
エコーを当てればなんでもわかる!
と思い込んで来院される方がいらっしゃいますが、重要なのはエコーを当てる前に行う医師の問診と診察技術。
どこにエコーを当てるべきか
エコーを使いながら何を見れば良いのか
それがわかっている医師の診察が
何より大切であり、
この患者さんの状態にはエコーを用いる必要があるかどうか判断するのも、医師の診察によるものです。
もしお近くの運動器エコーをやっている
整形外科に受診するときは
このことを忘れないようにしておきたいです。
また、すべての肩の痛みの原因が
石灰沈着性腱板炎なのではなく
肩関節周囲炎、腱板断裂、筋膜性疼痛、骨頭壊死、リウマチ、滑液包炎、腱炎、変形性肩関節症、骨腫瘍、肩鎖関節炎、リウマチ性多発筋痛などなど
肩の痛みを起こす可能性のある
広い鑑別疾患を理解した上で
診断できる医師に頼ることが重要です。
文中にもありましたが、
日本整形外科学会の専門医試験にも
運動器エコーは出題されないし、
運動器エコーを使いこなせる医師も
この名古屋にもまだほとんどいません。
なぜなら、自分たちが教わってきた先輩も
運動器エコーを使っていないから
先輩からも教わってきていないのです。
そのため、白先生も書かれていたように
整形外科医がエコーの使い方を学ぶ場所がなく、
医師個々の熱意によるところが大きいのです。
そのため、僕も日夜自分自身が運動器エコーを使うことで得た知見を、様々な場面で講演させていただいています。
また、名古屋トリガーポイント治療院の鍼灸師とともに、医師や理学療法士、鍼灸師、柔道整復師などの医療者に対して、運動器エコーの使い方をレクチャーしたりしています。
ベッドサイドですぐに使えて
患者さんとともにリアルタイムに画面を見ながら
そこが痛いんです!
と、一緒に痛みの原因部位を共有することのできるのは
運動器エコーの凄いところです。
今週は豊田の病院からお声をかけていただき
運動器エコーとハイドロリリースの講演と実技講習を行なってきます。
運動器エコーと触診について学びたい医療者の方は、
ケアネットからDVDが出ていますので
是非こちらをご参照ください。
ケアネット
肩腰膝の痛みをとるDr.究のトリガーポイント注射