石灰沈着性腱板炎では、レントゲンで石灰の有無を確認できますが、石灰の正確な位置や炎症の状態を確認するには運動器エコーが役立つことがあります。
特に、注射などの処置を行う場合には、エコーで目的部位を確認しながら処置を行うことがあります。
2020年当時発売のフライデーに、先日診療を見学させていただいた白勝先生が記事になっていました。

白勝先生も、最新の検査や治療をいち早く取り入れており、2020年にも整形外科治療に運動器エコー検査を早くから用いておられます。
私も勤務医時代にリウマチのエコー診療を学び、その後運動器エコーの世界にどっぷりと浸かりました。
今では、運動器エコーのない整形外科診療は考えられなくなっています。
※このブログは2020年1月20日に作成したものを情報更新しています。
石灰沈着性腱板炎とは?

フライデーの文中にあった石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせい けんばんえん)は、肩の腱板という部分に石灰がたまり、炎症を起こす病気です。
腱板とは、肩を動かす筋肉の腱が集まっている部分で、腕を上げたり回したりする動きに関わっています。
女性に多く、突然の肩の痛みで全く動かせないくらいに激痛が走る疾患です。ちょっと動かすだけでも痛いので、反対側の手で痛い方の腕を押さえながら来院されたりします。
石灰沈着性腱板炎の検査で役立つ「運動器エコー」

文中にあるように、レントゲンだけでは石灰が沈着しているのが見えるだけですが、正確な位置まではわかりません。
そのため、痛みが強い場合や、注射などの処置を考える場合には、筋肉、腱、靭帯、関節、神経などを超音波で確認する「運動器エコー」が役立つことがあります。
エコーを当てると、ドップラー機能によって炎症が強い部分で血流が増えている様子が確認できます。
文中には、『「運動器エコー」という治療法だ』と書かれていますが、これは間違い。エコーはあくまで治療ではなく検査です。
治療はエコーを見ながら行う「注射」です。
運動器エコーの強み
運動器エコーの良いところは、ベッドサイドですぐに使えて、患者さんとともにリアルタイムに画面を見ながら確認できることです。
「そこが痛いんです!」と、一緒に患者さんが感じている痛みの原因部位を共有することができるのは、運動器エコーの特徴のひとつです。
運動器エコーを使って検査をするうえで大切なこと
①医師の問診と診察技術
何より大切なことは、こういう記事が出ると、エコーを当てればなんでもわかる!と思い込んで来院される方がいらっしゃいますが、重要なのはエコーを当てる前に行う医師の問診と診察技術。
この患者さんの状態にはエコーを用いる必要があるかどうか判断するのも、医師の診察によるものです。
・どこにエコーを当てるべきか
・エコーを使いながら何を見れば良いのか
・上記の二つを理解している医師の診察
もしお近くの運動器エコーをやっている整形外科に受診するときは、このことを忘れないようにしておきたいです。
②鑑別疾患を理解している医師に頼る
また、「すべての肩の痛みの原因が石灰沈着性腱板炎」なのではなく、肩の痛みを起こす可能性のある広い鑑別疾患(似た症状を起こす別の病気のこと)を理解した上で、診断できる医師に頼ることが重要です。
肩の痛みを起こす可能性のある鑑別疾患
・肩関節周囲炎
・腱板断裂
・筋膜性疼痛
・骨頭壊死
・リウマチ
・滑液包炎
・腱炎
・変形性肩関節症
・骨腫瘍
・肩鎖関節炎
・リウマチ性多発筋痛など
肩の強い痛みは整形外科へご相談ください
石灰沈着性腱板炎は、突然の強い肩の痛みで日常生活に支障が出ることがあります。
さいとう整形外科リウマチ科では、問診・診察を行ったうえで、必要に応じて運動器エコーを用いて、腱や滑液包、石灰の位置など痛みの原因を確認します。
エコーで石灰の位置や炎症の状態を確認しながら、注射などの治療を検討することもあります。
肩の痛みが強い方、腕が上がらない方、石灰沈着性腱板炎かもしれないと不安な方は、一度ご相談ください。
運動器エコーを扱える医師の現状(2020年時点)
文中にもありましたが、日本整形外科学会の専門医試験にも運動器エコーは出題されません。
自分たちが教わってきた先輩も運動器エコーを使っていないから、先輩からも教わってきておらず、白勝先生も書かれていたように、整形外科医がエコーの使い方を学ぶ場所がなく、医師個々の熱意によるところが大きいです。
僕も日夜自分自身が運動器エコーを使うことで得た知見を、様々な場面で講演させていただいています。
また、名古屋トリガーポイント治療院の鍼灸師とともに、医師や理学療法士、鍼灸師、柔道整復師などの医療者に対して、運動器エコーの使い方をレクチャーしたりしています。
豊田の病院からお声をかけていただき、運動器エコーとハイドロリリースの講演と実技講習を行なってきます。
運動器エコーと触診について学びたい医療者の方は、ケアネットからDVDが出ていますので
是非こちらをご参照ください。

