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体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎)の院長ブログ

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体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎)の院長ブログ

今回は、日本リウマチ学会に来ています。

関節リウマチに比べて患者さんの数は圧倒的に少ないですが、初期診断の難しい体軸性脊椎関節炎について講演を拝聴しました。

この記事では、体軸性脊椎関節炎とはなにか、という初歩的なところから、講演ではどのような内容が発表されたのか解説しています。

強直性脊椎炎

強直性脊椎炎って?

強直性脊椎炎は、四肢の関節や靭帯、腱の付着部、背骨や骨盤の仙腸関節などに慢性的な炎症が起こる病気です。痛みやこわばりが症状として現れやすく、国の指定難病(271)とされています。

強直性脊椎炎は免疫の病気と言われており、ヒト白血球抗原 (HLA)のひとつであるHLA-B27という白血球の抗原と関係があるとされています。この抗原を持っている人が必ずしも病気になるとは限らず、そもそも持っている人が少ないことから、病気の存在自体あまり認知されてません。

初期診断が難しい理由

強直性脊椎炎は一般的な腰痛と似ていて、発症初期にはX線検査で明らかな異常が写らないことがよくあります。また、患者数が少ないことからあまり認知されておらず、誤診されてしまうこともしばしばあります。

当院ではX線検査のほかにも、MRIや関節エコーを活用して炎症を確認したり、四肢の関節が変形していないか確認するようにしています。

今回のブログの主題、講演内容とは

これまでに話した通り、強直性脊椎炎は初期診断が難しく、あまり一般的に知られていない病気です。そこで今回の講演では、体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎)について森ノ宮医療大学の冨田先生が解説してくださいました。

 

森ノ宮医療大学 冨田哲也先生

 

体軸性脊椎関節炎
45歳未満で発症する。長野県に多い。

レントゲンでは異常なく、MRIで仙腸関節や脊椎の炎症像があると、20〜40%がレントゲン上の脊椎関節炎病変に進行する。

強直性脊椎関節炎という言葉は使われなくなり、体軸性脊椎関節炎と呼ぶことになった。
これまでは認知されていないために診断に至っていない患者も多かった。
強直性脊椎炎の受給者証も2021年には4500人を超えた。

 

日本人の強直性脊椎炎患者におけるHLA B27は55.5%で陽性。家族歴があると70%。海外では80%以上。
高齢者では仙腸関節の痛みでMRI画像所見から骨折が見つかることもあり、脊椎関節炎と間違えることもある。

 

現在の治療薬ではTNF阻害薬、IL17阻害薬、JAK阻害薬が適応。
1剤使用して効かない場合には改めて診断を見直すことが必要。

 

体軸性脊椎関節炎と乾癬の脊椎病変とは病態が違うのではないか。
高齢発症例、B27陰性例では、鑑別診断、除外診断を慎重に行う必要がある。

痛みが不安に思ったら一度病院へ

体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎)は、一般的な腰痛と似ていてレントゲンにも出にくいため、MRIやエコーを含めた初期診断が難しい病気です。
なんだか痛みを感じると不安に思ったら、一度病院に行ってみるのもおすすめです。

 

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員