関節リウマチの抗体
関節リウマチの抗体ではリウマチ因子(RF)と抗CCP抗体の2つが大切です。
健康診断でもRFが測定されることは多く、20〜30程度の値で陽性となっており、当院に受診される方も多く見られます。
通常は関節の触診を行い、何も症状がなければ経過観察となりますが、RFの値が高い場合には、発症リスクも上がるため、より自分の体の関節などに痛みが出ないか注意しておく必要があります。
リウマチの発症リスクには遺伝要因とともに環境要因として喫煙と歯周病が挙げられていますので、禁煙すること、定期的に歯科で口腔内のチェックを受けておくことはとても大切です。
リウマチ学会アニュアルコースレクチャーの内容
今回のリウマチ学会アニュアルコースレクチャーでは、RFの解釈についてまとまった内容がありましたのでシェアさせていただきます。
RFと関節リウマチの発症
RF高値では関節リウマチ発症リスクが高い。
RF値は発症早期に変動しうる。RFや抗CCP抗体陽性になる前に、関節炎症状が先行することもあり得る。
RFとRA分類基準
RF陽性はRAの分類に大きなウェイト
RFと疾患活動性
TNF阻害薬投与前の疾患活動性とRF・ACPA
RF陽性は高疾患活動性に相関
RF値はACPA陽性陰性に関わらず将来の骨病変と相関
RF陽性患者は寛解率が低かった
RFが高いと難治性リウマチD2TRAになりやすい(D2TRA:2種類の生物学的製剤またはJAK阻害薬でも疾患活動性が高いものと定義)
RF陽性患者ではTNF阻害薬による疾患活動性DAS改善が劣り、寛解率も低い。
RF・ACPA高値と血液中TNF値は疾患活動性と相関する
RF高値患者は血液中TNF値が高かった
RF高値患者は血液中TNF阻害薬濃度が低かった
RFが高い患者ではTNF阻害薬は効きにくい?
シムジアはFC領域を持たない。FIRSTレジストリからはRF高値の患者ではシムジアが良いかもしれない。
生物学的製剤の治療でRFが低下する。
レミケード血中濃度保持例ではRFが低下した。
MTX+ヒュミラで治療。疾患活動性、RF・ACPAが再燃に相関した。
MTXとシムジアで治療。疾患活動性、RFが再燃に相関した。
ゼルヤンツ+MTX。RFが再燃に相関した。
RFは診断のみならず、発症リスク、治療効果、骨破壊、再燃リスクにも関わる。
リウマチで診療をお探しの方、まずはお気軽にご相談ください
リウマチ科