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健康診断でRF(リウマチ因子)が陽性/高値と言われた方へ
まず押さえておきたいのは
RF陽性=ただちに関節リウマチと確定、ではありません。
健常の方や他の病気でも上がることがあります。
判断のカギは「数値の高さ」と「症状の有無」、そして「抗CCP抗体(ACPA)の結果」です。
症状がある/RFが高値/ACPA陽性のいずれかに当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
RFとは?(健康診断で何を見ているのか)
RFは自己免疫反応に関連して血液中に現れる抗体のひとつです。
検査には「陰性/陽性」だけを示す定性と、IU/mLなどの数値で示す定量があります。
健康診断の結果票に数値がある場合は定量、数値がなく陽性・陰性のみなら定性です。
関節リウマチの評価では、RFだけでなくACPA(抗CCP抗体)も重要な指標です(特に特異度が高い検査として用いられます)。
RF数値(定量)の見方:高値の目安と受診タイミング
RF(リウマチ因子)の解釈は、検査票に記載されている「基準値/参考範囲」によって変わります。まずは結果票のこの3点を確認しましょう。
- 検査名
RF/リウマトイド因子(単位はIU/mLなど) - 判定表示
陰性/陽性、もしくは数値+「基準値(参考範囲)」 - アラート表示
H(高値)/↑ が付いていないか
陰性(基準範囲内)の場合、症状が無ければ経過観察で大丈夫なことが多いです。
基準値を少し上回る程度の場合、医師と再検のタイミングを相談。症状がある場合や不安が強い場合は受診し追加検査を受けましょう。
受診の目安
- 朝のこわばりが30分以上続く
- 手指や足趾など小関節に腫れ・熱感・痛みがある
- 左右対称に症状が出る、または数週間持続している
- RFが高値と言われた、またはACPAが陽性だった
→ 一つでも当てはまる場合は、整形外科・リウマチ科にご相談ください。
RF定量が高い原因
RFの定量値が高くなる背景は一つではありません。大きく以下の3つに分けられます。
- 自己免疫性の疾患による上昇
関節リウマチ、シェーグレン症候群などが原因で上昇します。
RFとACPAの組み合わせ、症状、画像(関節エコー・X線)で総合判断。 - 他の疾患・慢性炎症に伴う上昇
一部の慢性炎症や感染症、肝疾患などでRFが上がることがあります。関節症状が乏しい場合でも背景疾患の評価が必要です。 - 生理的・一時的要因/加齢/検査ばらつき
年齢や体調、測定法の違いで値が動くことがあります。単回の数値だけで判断せず、推移を確認することが大切です。
関節リウマチの抗体
関節リウマチの抗体ではリウマチ因子(RF)と抗CCP抗体の2つが大切です。
健康診断でもRFが測定されることは多く、20〜30程度の値で陽性となっており、当院に受診される方も多く見られます。
通常は関節の触診を行い、何も症状がなければ経過観察となりますが、RFの値が高い場合には、発症リスクも上がるため、より自分の体の関節などに痛みが出ないか注意しておく必要があります。
リウマチの発症リスクには遺伝要因とともに環境要因として喫煙と歯周病が挙げられていますので、禁煙すること、定期的に歯科で口腔内のチェックを受けておくことはとても大切です。
リウマチ学会アニュアルコースレクチャーの内容
今回のリウマチ学会アニュアルコースレクチャーでは、RFの解釈についてまとまった内容がありましたのでシェアさせていただきます。
【RFと関節リウマチの発症】
RF高値では関節リウマチ発症リスクが高い。
RFや抗CCP抗体陽性になる前に、関節炎症状が先行することもあり得る。
【RFとRA分類基準】
RF陽性はRAの分類に大きなウェイト
【RFと疾患活動性】
TNF阻害薬投与前の疾患活動性とRF・ACPA
RF陽性は高疾患活動性に相関
RF値はACPA陽性陰性に関わらず将来の骨病変と相関
RF陽性患者は寛解率が低かった
RFが高いと難治性リウマチD2TRAになりやすい(D2TRA:2種類の生物学的製剤またはJAK阻害薬でも疾患活動性が高いものと定義)
RF陽性患者ではTNF阻害薬による疾患活動性DAS改善が劣り、寛解率も低い。
【RF・ACPA高値と血液中TNF値は疾患活動性と相関する】
RF高値患者は血液中TNF値が高かった
RF高値患者は血液中TNF阻害薬濃度が低かった
RFが高い患者ではTNF阻害薬は効きにくい?
シムジアはFC領域を持たない。FIRSTレジストリからはRF高値の患者ではシムジアが良いかもしれない。
【生物学的製剤の治療でRFが低下する。】
レミケード血中濃度保持例ではRFが低下した。
RFは診断のみならず、発症リスク、治療効果、骨破壊、再燃リスクにも関わる。
リウマチで診療をお探しの方、まずはお気軽にご相談ください