24日から日本リウマチ学会に参加しました。
今回も2演題エントリーして、
ポスター発表でした。
アクテムラの妊娠症例5例6件の検討と
超音波によるCRPに頼らないリウマチ診療。
自分の発表を読んでくれている人がいると
それだけ興味を引くテーマを発表できたのかな、と
嬉しくなります。
さて、今回の学会3日間のおさらいです。
やっぱり一通りBIO全盛の時代も落ち着いてきて
薬価の安さも相まって従来の抗リウマチ薬の併用はトピックですね。
新しい内服薬、ゼルヤンツの報告については、
まだ全国でも症例数が少ないためか目につかなかったですね。
・MTX単剤、BUC単剤よりも、併用のほうが効果あり。
・2年以上落ち着いていたリウマチ患者さんの内服薬を
同じまま継続した場合には22%が再燃。
プラセボに変えた場合には38%が再燃。
裏を返せば、中止しても60%の人は再燃していないとのこと。
では、プラセボで再燃した38%の人に
もとのお薬を再開した場合、3か月後には半数が無効だったとのこと。
1年後では35%の人のリウマチは再度活動性なしに。
これは1996年のLANCETに載っていた論文の引用でした。
ということは、2年以上リウマチが落ち着いていた場合
お薬をやめるチャレンジをすれば6割の患者さんは再燃しないけど
再燃した場合にはもともとのお薬で再度寛解に戻れるかはわからないよ。
ってことですね。
やはり、経済的な理由や副作用がなければ
あえて休薬にチャレンジするより
継続して内服していたほうが安心かもしれませんね。
・レミケード使用中のPCP肺炎のリスクは
PSL6㎎以上の使用、既存肺疾患、65才以上
の条件を多く持つほど増える。
・リウマチの治療は世帯年収にかかわらず
一定の割合で高額になる。
これは公的補助がないことによりますね。
・リウマチの鑑別診断としての自己炎症症候群
TNF受容体関連周期熱症候群TRAPS
家族性地中海熱FMF
ありふれた病気ではありませんが、知っておかなくては。
強直性脊椎炎や乾癬性関節炎も、リウマチ医として生物学的製剤を駆使して
治療にあたっていかなくてはならない病気です。
・強直性脊椎炎の問診
炎症性背部痛(IBP) 下記のうち4項目以上でIBP
(安静で改善しない。運動で改善。潜行性に発症。40歳以前に発症。夜間の疼痛。)
ブドウ膜炎、皮膚疾患、炎症性腸症候群、食中毒、尿道炎
脊椎関節炎の家族歴、HLAの検査歴
フォローアップはBASDAIとBASFIで。
強直性脊椎炎に対するTNF阻害薬は
年齢が若いほど、CRPが高いほど、機能障害が少ないほどよく効く。
改訂ニューヨーク基準は骨格系の異常が現れてからでないと診断できない。
また、末梢病変については考慮されていない。
non-radiologic SpA (レントゲンに現れない時期の脊椎関節炎)は
腰痛+MRIでひっかける。
TNF阻害薬を使っても骨化阻害は困難だが、早期に使えば可能かもしれない。
・乾癬性関節炎
発症から6か月で50%以上の患者さんに骨びらん出現
皮膚病変が先行するものが70%。関節炎が先行するものが15%
乾癬性皮膚炎は関節炎の前段階ではないか。
皮膚科に通院中の乾癬患者946人をリウマチ医が診察したら、
関節炎は30%に認められた。そのうち41%は関節炎が見逃されていた。
頭皮、殿裂肛門周囲、爪の乾癬は関節炎発症のリスク。
3か所以上にわたる乾癬性皮膚炎も関節炎のリスク
乾癬に関節炎が加わると爪病変が増える。
乾癬性関節炎CASPAR分類:関節、脊椎、付着部の炎症があり、
乾癬性皮膚炎、爪病変、リウマトイド因子陰性、指趾炎、手足のXpの傍関節骨増殖
さて、今日はこのくらいで。