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オルミエント全国講演会

オルミエント全国講演会

オルミエント全国講演会に出席してきました。
生物学的製剤と同等の効果がある内服薬で、ゼルヤンツと同じJAK阻害薬グループのお薬です。
以下 勉強した内容から抜粋です。
患者さんにはすこし難しい内容かもしれませんが、新しい有効なお薬が世に出てきて、治療の選択肢が広がることは喜ばしいことですね。

竹内勤先生
RA-BEAM試験
MTX-IRに対してヒュミラ vs オルミエント
12wACR20 ADA62% vs BALI69.6%
12w 24w 52w ACR50、70でもADAには劣らず、むしろADA以上の成績を見せた。

1stBIOでTNF-failureだった時に2ndBIOはTNF?non-TNF?
Non-TNFの12w、24w、52w成績が上回った。

EULAR2016 recommendationでは、MTXfailureの場合に選択されるのは使用経験の多いBIO製剤。JAKはその次。

田中良哉先生
オルミエントの作用機序

BIOで1年後に2/3の患者さんは低疾患活動性になる。
一方2-5割の患者では中疾患活動性以上。

BIOは分子量大きい。
JAK阻害薬は分子量小さく、細胞の中に入ることができる。

TofacitinibはJAK3のATP結合部位にはまり込み、リン酸化を一時的に阻害する。
JAK/STATシグナル伝達経路による炎症性サイトカイン産生を阻害することができる。
Tofaのターゲットは樹状細胞かもしれない。B細胞➡IL-6。Th1➡IFNγ,Th17➡IL-17。

Baricitinib(JAK1,2)
JAK2:GM-CSF、IGNγ、IL-6阻害
IL-2,IL-15は抑制しない。
STAT1,3,4のリン酸化が抑制される。
樹状細胞ではCD80/86の産生を抑制
IFN-αも抑制

NF-κB阻害薬、MAPK阻害薬の開発は失敗に終わった。
なぜJAKだけが成功したのか?比較的シンプルな伝達経路であったため?
BariはJAK1/2-STATを阻害し、サイトカインによるリンパ球の活性化、サイトカインの産生を制御する。

RA-BEAM試験を読み解く

DMARD naïve
csDMARD-IR・・・RA-BEAM Baricitinib vs PBO,ADA
bDMARD-IR

RA-BEAM試験 249人が登録
罹病期間 8年~9年 DAS 5台の患者背景
12w ACR20 : BARI 69.6% ADA 61.2%
1w~52wにわたりADAと同等以上の成績
患者VAS、Dr.VAS、HAQ-DIもADA以上の改善。
DAS28、SDAI、CDAIでもADAと同等以上の成績
mTSS、Erosion,JSN ADAと同等。骨びらんも軟骨も守る。
関節の構造的破壊もしっかり守る。
Patient Reported Outcome PRO:患者自覚症状の改善。
朝のこわばりの持続時間、重症度 いずれもADAと同等以上の改善。
疲労感、疼痛もADAと同等以上の改善。
1w目から痛み、朝のこわばり、倦怠感などの症状を改善した。

70%が腎排泄 eGFR≦60であれば半量2㎎として使用 eGFR≦30ならば使用しない。

竹内勤先生
オルミエントのベストユースを考える。

MTX-IRで予後不良因子あり➡BIOまたはJAK導入

RA-BUILD試験 cs-DMARDs-IR
csDMARD12w-IR PBO、BARI2mg 、BARI4㎎
ACR20 BARI2㎎ 65.9% BARI4mg 61.7%

RA-BEGIN DMARDs-naïve
MTX、BARI4㎎、MTX+BARI4mg
ACR20 MTX 61.9%、BARI4㎎mono 76.7%、MTX+4mg 78.1%
MTXmonoよりもBARI4㎎monoが勝る。
BARI4㎎monoよりもMTX併用のほうが成績が良い。
SDAI、CDAI寛解・LDA達成率もBARI4㎎monoはMTXに勝る。

TNF-IR
RA-BEACON試験 TNF-IRにPBO、Bari2mg、Bari4mg
ACR-20 PBO 27.3、2㎎ 48.9、4㎎ 55.4%

針谷先生 オルミエントの安全性
帯状疱疹、LDL上昇に注意
感染症に注意が必要なことはその他製剤と変わらない。
入院を要した感染症の発現 2.9/100人年
乳汁、胎盤にも移行するため、妊婦・授乳婦には使用しない。
RA患者はDVT,PEのハイリスク集団である。
BARIではDVT/PEのリスクを上げる可能性がある。

パネルディスカッション
BMIが低い、低体重の人などではステロイドの使用は注意が必要
EarlyRAの患者さんに短期のステロイド使用をしたことに対するevidenceはない。
長期にステロイドを使用することは避けるべき。
日本人ではvitDが不足しているので、ステロイドの使用には慎重になるべき。

帯状疱疹ワクチンは生ワクチンであるので、免疫抑制剤使用下では使いづらい。Recombinantのワクチンが上梓されれば使用することが考えられる。

長期の安全性については今後のdata蓄積が必要。
経口薬で処方しやすいが、安易に使用することなく、従来の生物学的製剤に準じて慎重にリスク管理をしながら使用することが必要。

RA-BEAMではADAヒュミラと比較して同等以上の成績が得られているが、本当に優位な差があるのかは不明。今後の使用データの積み重ねが必要。

IPは日本人で多い可能性があるので、注意が必要。

MTXもBARIも腎排泄。BARIは基本的にはMTXに併用される。
腎機能障害の患者への使用には注意

4㎎で効果があれば2㎎に減量を考慮する。

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員