初日のイブニングセミナーでは
WoCBA (妊娠出産育児年齢の女性)について非常にまとまったお話が聞けました。
産婦人科医師で、厚労省研究班の齋藤滋先生のクリアカットなお話です。
是非みなさん参考にしてくださいね。
WoCBA 富山大学産婦人科 齋藤滋先生
woman of child bearing age
https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/
現時点での計画妊娠は50%に過ぎない。
活動性状態での無計画妊娠は流産、早産、胎児発育不全が増加する。
妊娠時期のIL-6の増加は胎児の神経学的予後が悪くなる可能性。てんかん、アルツハイマーなど。
寛解したら妊娠して良いと患者さんに伝えることが重要。
妊娠中はT regが増えるため、寛解率が上がる要因となる
血中CRPはTregと逆相関する
TNF阻害薬の投与でTregも増加する。
MTXではTregは増えない。
IL6はTregの機能を抑制する
DMARDSの妊娠中の胎児への影響はエビデンスが積まれて来た。
授乳は行っても良い。
EULAR2015 エンブレル、シムジアは胎盤通過性が低いので妊娠期間を通じて使用しても良い。
フランス 妊娠28週以後はTNF阻害薬を投与すべきではない。とされている。児の血中TNFα阻害薬血中濃度が測定されない状態での出産のためだが、母親の病状に応じる。
MTX奇形率 6.6% 流産率50%以上
奇形の自然発生率 3.6%
40歳をこえると流産率は50%
30代までの妊娠に努める。
添付文書は妊娠出産時には使えない。産婦人科のリコメンデーションを参照。
TNFαは流産を引き起こすサイトカインである。TNF阻害薬の使用は流産を防ぐ。
無治療では妊娠0% TNF阻害薬を使用すると50%に。
妊娠4〜7週は絶対的過敏期であり、器官が形成される。
胎児へのIgGは12週以降に見られる。
アクテムラ、オレンシアは妊娠中の投与、授乳婦への安全性のエビデンスは十分ではない。
オレンシアは胎盤、乳汁への移行はする。流産率、先天奇形は若干高いが、特徴的ではない。
授乳婦への投与はTNFならば全て大丈夫。(厚労省研究班)
出生児への生ワクチン投与は出産後半年以降に。(妊娠末期まで TNF阻害薬を使用していた出産後3ヶ月時でのBCGワクチン投与で児の死亡の1例報告あり)
Tregが少ないとアトピー性皮膚炎になりやすい?
アザルフィジン、プレドニゾロンは安全に使える。プレドニゾロンはわずかに口唇口蓋裂が増える報告があり、15mg以内とする。
タクロリムスも病状コントロール困難であれば使って良い。
TNF阻害薬も良い。
授乳中もプレドニゾロン、NSAIDs、タクロリムス、TNF阻害薬はOK
アザルフィジンは児に血性下痢の報告があるが、頻度は高くない。
妊娠中はACEi、ARBの降圧薬は禁忌。
MTX中止後は1月経周期あければ妊娠しても大丈夫。とMTX使用ガイドラインも変更された。
病状が安定して来たら、妊娠に先立って事前に産婦人科受診をおすすめください。
MTXは不妊率には関係ない。
世田谷リウマチ膠原病クリニック
吉田智彦先生 織田知佐登師長
戦後の初婚年齢は22.9歳 現在は29.4歳
第一子出産は30歳になって来ている。
現在でも医師から中絶を勧められるRA 患者さんがいることは悲しい。
生ワクチン接種はBIO使用中はできないため、BIO使用前に行っておくのも一つの方法。