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関節リウマチとコロナワクチン

関節リウマチとコロナワクチン

新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりましたね。

まずは医療者から、そしてリスクの高い方から順次行われていくとのことです。

新型コロナウイルス診療の手引きによると、

重症化のリスク因子は

・65 歳以上の高齢者

・慢性呼吸器疾患

・慢性腎臓病

・糖尿病

・高血圧

・心血管疾患

・肥満(BMI 30 以上)

が指摘されています。

重症化のリスク因子かは知見が揃っていないが、要注意なもの、としては

・生物学的製剤の使用

・臓器移植後やその他の免疫不全

・HIV 感染症(特に CD4 <200 /L)

・喫煙歴
・妊婦
が挙げられています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000641267.pdf

リウマチの生物学的製剤アクテムラに関しては、重症化を防ぐ可能性も指摘されていますが、証明できなかったとの報告もあり、まだはっきりとした結果は出ていません。

関節リウマチに対する新型コロナウイルスの情報は、日本リウマチ学会のホームページにまとめられています。

https://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19_2/

それによると、

現時点では、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗リウマチ薬、ステロイド治療を受けている方がCOVID-19にかかり易くなるというデータはありません。一方、免疫抑制治療の減量・中止によってリウマチ性疾患が再燃する恐れがあります。感染が疑われない時には、現在処方されている薬(ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤、抗リウマチ薬など)は症状が悪化しないよう同じ用量で続けてください。自己判断での中止は禁物です。

とされています。

ワクチンを接種するかどうかは、接種のリスクと感染のリスクを比較して決めることになります。

 ワクチンを接種すること
利点重症化しにくくなる、もしくはしなくなる効果が認められていること
現在までに知られている変異にはすべて対応していること
弱毒生ワクチン(現在開発中)と違いすべての患者で投与が可能であること
欠点ワクチンの種類が今までにないものであること
アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応や局所の強い反応が認められている
今後のウイルスの変異に対応できるかどうかがわからないこと

 新型コロナウイルス感染後、重症化しやすいリスクとしては高齢者、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があげられます。年齢ですが60歳代の重症化率は30歳代の25倍になると報告されています。
日本リウマチ学会としては新型インフルエンザワクチンと同様にステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種した方がよいとしています。
人によって重症化リスクは異なり、感染リスクも感染の流行によって変動するため、担当医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。

接種するならば疾患活動性が安定してからが望ましいと考えます。

基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきと考えます。

いずれにせよ、mRNAワクチンである新型コロナワクチンは新しいタイプのワクチンであり、まだ開発されて間もないものです。日本人ではわずかながら欧米よりもアナフィラキシーというアレルギー反応が多いとのニュースも見られています。

欧米のデータをもとに上記のようなリウマチ学会の提言はされていますので参考にしつつ、重症化リスクのある合併症をお持ちの方や、暴露リスクが高いと思われる職業についている方は積極的に摂取したほうが良いかもしれません。

一方、高リスクな合併症を持たない方で暴露リスクが低い方では、まだ今後の日本の感染状況や日本人によるワクチンの副作用情報を参考にしながら摂取するべきか考慮しても良いと思います。

リウマチとワクチンについてや、その他のお薬との交差反応もデータがなく現時点ではわからないことも多いため、ご自身のリスクに応じて接種の判断をされるのが良いと思います。

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員