電話によるお問い合わせ

営業時間 8:30~11:30 / 15:30~18:00
休診日:水曜日午後・土曜日午後・日曜日・祝日

電話をかける

blog

私はコロナワクチンを接種してもいいですか?

私はコロナワクチンを接種してもいいですか?

現在患者さんから頻繁にお問い合わせをいただいております。

「私はコロナワクチンを打っても良いですか?」というご質問です。

特に多いのが、血をサラサラにするお薬(抗凝固薬)を内服していますか?という問診事項についてのお問い合わせです。

新型コロナワクチンの予診票・説明書・情報提供資材|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これはコロナワクチンと相互反応を起こすというよりも、注射部位からの出血が止まらないといけないから、という配慮だと思われます。

当院で使用している薬の解説をします。

●オパルモン(ジェネリックではリマプロストアルファデクス)

脊柱管狭窄症の薬です。脊髄の馬尾神経の血流を促進する薬ですが、出血部位からの止血が悪くなるような効果はありません。コロナワクチンの接種は問題ありません。

●エパデール(ジェネリックではイコサペント、メルブラ―ル)

脂質異常症や毛細血管血流の改善のための薬です。魚の油から作られている薬で、オメガ3という体に良い油です。サプリメントではDHAやEPAと同様の効果があります。この薬単体では出血部位からの血液が止まらなくなるような抗凝固効果はありませんが、その他の種類の抗凝固薬を内服していると、出血傾向が助長されることがあります。エパデールのほかに抗凝固薬を飲んでいない場合にはコロナワクチンの接種に問題はありません。その他の抗凝固薬を内服されている方は、処方いただいている主治医の先生にご相談ください。

基本的にその他の抗凝固薬を内服している方でも、採血は普通にされるわけですから、コロナワクチン接種後もしっかりと注射部位を5分間ほど圧迫止血すれば通常は問題ありません。

リウマチの患者さんにおいては、日本リウマチ学会、アメリカリウマチ学会など各学会が新型コロナワクチンの接種を推奨しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて(患者様向け情報) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR) (ryumachi-jp.com)

COVID-19-Vaccine-Clinical-Guidance-Rheumatic-Diseases-Summary.pdf (rheumatology.org)

以下日本リウマチ学会HPより引用させていただきます。

日本リウマチ学会としては新型インフルエンザワクチンと同様にステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種した方がよいとしています。」

「接種するならば疾患活動性が安定してからが望ましいと考えます。」

「現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響はわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきと考えます。」

「ワクチンを接種するかどうかは、接種のリスクと感染のリスクを比較して決めることになります。」

 ワクチンを接種すること
利点重症化しにくくなる、もしくはしなくなる効果が認められていること
現在までに知られている変異にはすべて対応していること
弱毒生ワクチン(現在開発中)と違いすべての患者で投与が可能であること
欠点ワクチンの種類が今までにないものであること
アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応や局所の強い反応が認められている
今後のウイルスの変異に対応できるかどうかがわからないこと

 「新型コロナウイルス感染後、重症化しやすいリスクとしては高齢者、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があげられます。年齢については30歳代と比較した場合の60歳代の重症化率は25倍になると報告されています。」

また、上記米国リウマチ学会(ACR)のガイダンスでは、

MTX、JAK阻害薬はワクチン投与後1週間休薬をすることについて、エキスパートコンセンサスの強さは中等度となっています。

また、オレンシアはワクチン投与1週間前から投与1週間後まで休薬することについて、エキスパートコンセンサスは中等度となっています。

日本リウマチ学会では特に使用中の薬剤の休薬については言及されていません。

そのため、当院に通院する患者さんには特にいつも通り治療を継続しながらワクチン投与をおこなってもよい旨お伝えしていますが、上記ACRの言及が気になるようであれば休薬されてもよいかと思います。ただし、ACRガイダンスの冒頭にも十分に信頼できるデータはまだ乏しいため、臨床的な判断を重視するように記載されています。

今回の新型コロナワクチンは通常のワクチンや薬剤のように日本人での十分な治験プロセスを経て接種開始されたものではないため、一定の未知のリスクがあることは否定できません。

日本人で投与され始めたのも最近のことであり、2回目の投与翌日には発熱や倦怠感が強くでる場合があることもネット上で体験談が上がってきています。そのため、2回目投与の翌日にはカロナール(アセトアミノフェン)を飲んでおくと少しは楽になるようです。

何より、長期的な副作用はまだわからないところがあるため、ご自身の新型コロナウイルス感染リスクがワクチン接種リスクを上回るほど高いと感じる方はワクチンの接種をしてもよいでしょう。

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員