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骨折と骨粗鬆症治療薬

骨折と骨粗鬆症治療薬

現在骨粗鬆症治療薬にはさまざまな選択肢がありますが、
その中でも現在多くの人がその恩恵を受けているのが
ビスフォスフォネート製剤といわれるお薬。

週一回内服する製剤(ボナロン、ベネット、アクトネルなど)が主流ですが、
最近月に一回内服すれば同等の効果が得られるものも出てきました。
(ボノテオ、リカルボンなど)

通常、骨は骨芽細胞と破骨細胞の働きで
作っては壊し、壊しては作られることで骨の新陳代謝がはかられ、
ミクロな骨の損傷ならば知らない間に修復されてしまいます。
(micro fracture)

しかし破骨細胞が働きすぎて、骨を壊すバランスに傾きすぎると
骨粗鬆症が進む原因となります。
その際に、ビスフォスフォネートを用いると破骨細胞の働きを抑え
骨密度を上昇させ、骨を強くしてくれます。
また、圧迫骨折などに伴う骨の痛みにも効果があるといわれます。

最近このビスフォスフォネート製剤について
顎骨壊死と並んで話題となっているのが
「非定型骨折」と呼ばれる
高齢者の大腿骨転子下骨折や、大腿骨骨幹部骨折です。
これらは通常転倒などの軽微なエネルギーでは起こりませんが、
ビスフォスフォネート製剤の長期内服との関連も指摘されています。

ともあれ、骨粗鬆症の患者さんにとっては、
骨密度を低いまま放置することの方が他の骨折のリスクは高く、
ビスフォスフォネート製剤を内服する恩恵のほうが
ごく頻度の少ない非定型骨折を心配するよりもはるかに大きいため
大切なお薬であることには変わりありません。

大切なことは、非定型骨折というものが起こり得ることを認識し、
骨折する前に早期に対処することです。

非定型骨折の注意点としては、
骨折の前駆症状として大腿骨の痛みや骨皮質の肥厚が見られ
また両側性に発生することも指摘されています。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1102/1102024.html

ビスフォスフォネート製剤を長期間内服しており、
なおかつ股関節や太ももの痛みがある場合には
痛い場所だけではなく、一度大腿骨全体のレントゲンを撮ることも
早期発見の手助けとなる可能性があります。

この記事の執筆者プロフィール

さいとう整形外科リウマチ科

院長 斎藤究

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

院長紹介

日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

経歴

1999年

国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

2001年

東京災害医療センター 救命救急レジデント

2002年

刈谷総合病院 整形外科

2006年

名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

2010年

Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

2011年

さいとう整形外科リウマチ科平和が丘に開院

主な著書

あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床など6著書(共著含む)

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員

「骨折と骨粗鬆症治療薬」への4件のフィードバック

  1. 骨密度が高ければ非定型骨折は起きないのでしょうか?股関節や太ももの痛みは、常時痛いのですか?

  2. Tibisyukeさん

    よいご質問ありがとうございます。
    骨密度が高くても起こるのが非定型骨折です。
    もともとは骨密度が低いのでビスフォスフォネートを
    内服した経緯もありますが、
    逆説的に骨密度が上がってきても微小骨折の修復過程に影響して、
    ダメージが蓄積することで骨折に至ると言われます。
    ただ、頻度はとても少なく、詳しいことはまだわかっていません。

  3. ありがとうございます。
    痛みにも微妙な違いがあり、自分の痛みが
    非定型骨折が原因の股関節や太ももの痛みか?
    腰痛等が原因の股関節や太ももの痛みか?
    迷っているうちに手遅れになる危険も有りますね。

  4. tibisyukeさん

    非定型骨折は頻度が10万人に一人程度と非常に少ないと言われています。
    痛みがあったら、とりあえずお薬をもらっているDrに相談、というのが一番ですね。 

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