図は「生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド」から引用した
大腿骨近位部骨折(大腿骨の股関節の付け根)
橈骨遠位端骨折(手首)
上腕骨近位端骨折(上腕骨の肩の付け根)
という、骨粗鬆症に伴う四肢の3大骨折についての
年齢別の発生率を表したものです。
骨折の原因の80%~90%は 転倒 ですが、
転んだ時に手をつくことのできる若い世代では
手首の骨折である橈骨遠位端骨折が。
転んだ時にとっさに反応できなくなってきて、
肩や臀部を直接ぶつけるようになると
上腕骨や大腿骨の骨折が増えてくると言えます。
上腕や手関節の骨折では、骨折のずれが大きければ
入院、手術が必要となりますが、
ずれが少なければギプスなどで治療することができます。
いずれにせよ、骨が固まって普通に使えるようになるには
早くても2か月間程度がかかります。
大腿骨の骨折をすれば、ほぼ100%の方で手術が必要です。
高齢の方で多いため、合併症のため手術ができない場合もありますが
その際は歩行レベルが大幅に下がり、
車いす~寝たきりとなることもあります。
大腿骨の骨折をすると立てなくなることがほとんどで
早く手術をしないと
筋力低下、肺炎、深部静脈血栓症などの合併症のリスクが上がります。
そのため、どこの救急病院の整形外科も
若手の先生は毎日のように大腿骨頚部骨折の手術に追われています。
手術後は2週間ほどかけて立って歩く練習をしますが、
現在では急性期の病院では、しっかり歩いて自宅に帰るまでの
長い期間にわたるリハビリを行えなくなってきました。
これは病院の分業制といえますが、国の方針でもあります。
そのため、入院当初から転院リハビリのお話があります。
そして、術後は転院した先の病院で自宅に帰るレベルになるまで
歩行訓練を行うことになります。
本来、骨粗鬆症からくる骨折を起こすということは
それだけ骨密度が下がっているか、
同時に骨の質も低下しているということですので
また別の骨折を起こすリスクが非常に高くなります。
そのため骨折後は(本来は骨折する前から)
骨密度や骨質を高める、骨粗鬆症の治療をしっかりとする必要があります。
骨粗鬆症のガイドラインでは
腰椎と大腿骨の骨密度を指標として骨粗鬆症治療を行うことを推奨しており、
それらは寝たきりの原因となる、とても大切な部分です。
当院でも、大きな病院レベルと同じ
腰椎・大腿骨骨密度測定器を用いて
骨粗鬆症の検診、治療を行っています。
骨粗鬆症の治療薬も進歩しています。
軽度の骨粗鬆症から重度なものまで治療薬がそろってきました。
閉経を迎えた女性は、血圧や血糖値同様
自分の骨密度は必ず知っておくべきでしょう。
「名東区から、転倒して骨折する人をなくす!」
不可能かもしれませんが、大きな大きな目標です。