背中が丸くなるのは年のせいでしょうか。身長が若いときに比べて低くなったのはなぜでしょうか。
それには、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が深く関わっています。
この記事では、脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)の治療方法を中心に、骨粗鬆症との関係、そして放置した場合に何が起こるのかをご説明します。
目次
脊椎圧迫骨折とは?背中が丸くなる・身長が縮む理由

脊椎圧迫骨折とは、背骨を構成している椎体(ついたい)という四角い骨がつぶれてしまう骨折です。
もちろん、筋力が弱まったり、椎間板がすり減ったりしても身長は低くなります。ただ、以前より身長が2cm以上低くなったときは、骨粗鬆症による脊椎の圧迫骨折があるかもしれません。
骨がつぶれることによって、背中が丸くなったり(円背:えんぱい)、身長が低くなったりするのです。
もちろん尻餅をついたときなど、衝撃により圧迫骨折を起こすことはあります。
しかし、骨粗鬆症が重度になると、転んでいなくても骨折することがあります。起き上がる・物を持ち上げるなど日常生活の動作をきっかけに、背骨がつぶれてしまうこともあるのです。
痛みのない「いつの間にか骨折」
圧迫骨折は、尻餅をついたり重いものを抱えたときの腰痛で気づくことがありますが、本人の気づかないうちに発生していることもあり、「いつの間にか骨折」と呼ばれます。
痛みで気づいて来院すると発見されますが、そういう方は圧迫骨折を起こしている方の30%に過ぎないとも言われます。
つまり、残りの70%の方は、痛みがなく、知らない間に骨折しているということです。検診などで初めて圧迫骨折が見つかる場合も多々あります。
身長が若い時より2cm縮んでいる方では「いつの間にか骨折」が隠れていることがありますので、脊椎レントゲンや骨密度検査を受けておくとよいでしょう。
脊椎圧迫骨折の治療方法
①装具療法(コルセット)

背骨を骨折した際には、痛みで動けなくなることもあり、体を支える背骨の機能も弱まるため、コルセットを作って治療を行います。
骨が固まるまでには、目安として2か月程度のコルセット着用が必要です。
コルセットには、つぶれた骨がそれ以上つぶれるのを防ぐ、背骨の動きを制限して痛みをやわらげる、体を支える力を補って動けるようにする、という役割があります。
当院ではコルセットをはじめ、サポーター・インソールなどの装具療法に対応しています。痛みが強い時期には、痛み止めの内服も併用します。
② リハビリテーション
安静にしている間、足腰の筋力は落ちていきます。筋力とバランス感覚が落ちれば転倒しやすくなり、次の骨折を招く可能性があります。
当院では理学療法士が、変形の度合いに応じた姿勢維持のためのリハビリテーションを行っています。
③ 骨粗鬆症そのものの治療(薬物治療)
コルセットで骨折そのものを治しても、根本原因の骨密度や骨質はそのままです。骨折を治すだけで終わってしまうと、また別の椎体が折れることになります。
骨粗鬆症そのものを治療する際には、骨密度を増やす薬、骨質を改善する薬を、骨粗鬆症の程度に応じて使い分けます。
軽度の骨密度低下(骨量減少)
活性型ビタミンD製剤と、骨質を改善するSERMという内服薬を用います。
骨粗鬆症
骨の吸収を抑制する内服薬(ビスフォスフォネート)や、半年に1回注射するデノスマブによる治療を行います。
なお、歯周病のひどい方で顎骨壊死という合併症が報告されています。歯科と連携して安全に治療を進める必要があります。
重度の骨粗鬆症
骨形成促進薬であるテリパラチドや、骨形成促進・骨吸収抑制の両方の作用を持つロモソズマブという注射薬を用います。
脊椎圧迫骨折と骨粗鬆症の関係

脊椎の圧迫骨折は、骨粗鬆症による骨折の中でももっとも頻度の高い骨折です。
日本人60歳代女性の10人に1人、70歳代女性の3人に1人に圧迫骨折が発生しているとの調査もあります。(2012年1月時点)
しかも一度骨折すると、また別の場所も骨折することも多いのです。それだけ骨密度や骨質が低下しているということです。
具体的には、胸腰椎の圧迫骨折をしたことのある方では、再び圧迫骨折するリスクは3〜4倍、大腿骨のつけ根を骨折するリスクは3〜5倍になると言われています。
脊椎圧迫骨折を放置するリスク
脊椎圧迫骨折を放置するリスクとして、次のようなことが挙げられます。
- 猫背などの姿勢の悪化
- 首や腰の慢性的な痛み
- 骨粗鬆症による幾度の骨折
また、骨粗鬆症で骨がスカスカになっている場合、一度骨折が起こると、骨粗鬆症の治療をしなければ当然2回、3回と骨折を起こしていくリスクが高くなります。
そして大腿骨が折れれば歩行状態が悪くなり、杖や歩行器のお世話になることになってしまいます。
骨折してからはもちろん、骨折をする前から骨粗鬆症を早期に発見して、治療を行っておく必要があるのです。
骨折する前に骨密度を測ることをおすすめします

骨粗鬆症の治療は、骨折リスクを下げるだけでなく、要介護状態の予防も目指しています。
骨粗鬆症の治療には時間がかかります。時間を味方につけて、早くから骨密度を増やし、しなやかで強い骨を作っておきたいですね。
骨粗鬆症の治療も進歩してきています。閉経を迎えたら骨粗鬆症検診などを利用して、若いうちから自分の骨密度を知っておくことが大切です。
当院の治療方針
さいとう整形外科リウマチ科では、脊椎圧迫骨折に対するアプローチとして装具療法やリハビリだけでなく、骨粗鬆症が背景にある場合は、それに対する薬物治療を行っています。
「背中の丸まりが気になってきた」「痛みが続いている」という方は、お気軽にご相談ください。

