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見逃してはいけない関節疾患と関節関連疾患

見逃してはいけない関節疾患と関節関連疾患

12/14土曜日には
ヒュミラのエーザイとabbvie主催の
5A TRUST FORUMに出席しました。

ヒュミラが適応となっている
リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、JIAのほか、
これからの研究課題である変形性関節症といった
関節疾患についてその分野で著明な先生からお話しを聴ける良い機会です。

当院でも、開業してから3年ほどの間に
腰痛の患者さんの中にまぎれて
仙腸関節に異常陰影が認められる強直性脊椎炎の患者さんが
3名ほど見つかりました。

いずれもこれまで様々な医療機関でレントゲンやMRIまで行い
異常ないといわれて来た患者さんです。

今回の講演でもお話しされていましたが、
やはり腰痛の中にそのような病気が隠れている可能性を考えながら
診療にあたることで見えてくる、診断につながる疾患です。

腰痛患者さんの腰椎のレントゲンを見るときには
必ず正面像で仙腸関節まで疑ってみることにしてからは
強直性脊椎炎が見えてくるようになりました。

治療はNSAIDsとBIO
末梢関節炎にはアザルフィジンも効果があります。
ステロイドは付着部炎、仙腸関節炎に対する局所投与は推奨されます。
リウマチと異なり、MTXには効果のあるエビデンスに乏しいとのことです。

レントゲン上の鑑別としては
DISH(Diffuse Idiopathic Spinal Hyperostosis)
が上がります。
こちらは過剰な脊椎の骨棘が上下椎体を結んでしまうものです。

また、末梢DIP関節の変形性関節症も
単なるへバーデン結節だと片付けずに
常に皮膚病変の有無にも気を付けて
乾癬性関節炎の可能性も考えたいものです。

こちらはインターネットに公開されているPDFファイルで
九州医療センターの末松先生が作成したものですが、
リウマチの早期診断に必要な鑑別疾患が
間欠にまとめてあります。
http://www.hakatara.net/images/no14/14-2.pdf

以下 強直性脊椎炎と乾癬性関節炎の分類基準を添付しておきます。

強直性脊椎炎 改訂ニューヨーク基準
(Modified New York Criteria 1984年)

1. 臨床基準
 ・運動により改善し、安静によって改善しない、3ヵ月以上持続する腰痛
 ・矢状面、前頭面両方における腰椎可動域制限
 ・年齢、性別によって補正した正常値と比較した、胸郭拡張制限
2.X線基準 ※
 ・両側のgrade 2以上、あるいは一側のgrade 3~4の仙腸関節炎
 
⇒確実例:X線基準と、1項目以上の臨床基準を満たす場合
⇒疑い例:X線基準を満たさないが、臨床基準3項目を満たす場合
     X線基準を満たすが、臨床基準が一つもみなれない場合
※Ⅹ線基準のgrade
grade 0:正常
grade 1:疑わしい変化
grade 2:軽度の仙腸関節炎(関節裂隙の変化を伴わない限局的な骨侵食や硬化)
grade 3:中等度の仙腸関節炎(骨侵食、硬化、裂隙の拡大や狭小化、部分的な強直を伴う)
grade 4:完全な強直

ASAS:Assessment in Ankylosing Spondylitis軸性脊椎関節炎分類基準
3ヶ月以上続く腰背部痛,発病時が45歳未満
I:画像診断で仙腸関節炎がみとめられる
脊椎関節炎の特徴が1項目以上ある
II: HLA-B27が陽性
脊椎関節炎の特徴が2項目以上ある

#脊椎関節炎の特徴
炎症性背部痛(専門医)
関節炎
付着部炎(踵)
ぶどう膜炎
指炎
乾癬
クローン病/潰瘍性大腸炎
非ステロイド性抗炎症剤に良く反応する
脊椎関節炎の家族歴
HLA-B27が陽性
CRPあるいは赤沈の亢進

X線あるいはMRIによる仙腸関節炎
MRIにより活動性(急性)仙腸関節炎がある
X線所見:仙腸関節炎が両側2度以上,
     もしくは片側3度以上(1984年改正ニューヨーク診断基準)

乾癬性関節炎のCASPAR基準
炎症性関節炎の存在に加え、以下のうち3点を満たす
1.乾癬皮疹 現在見られる(2点) 病歴上(1点) 
  2親等以内に家族の乾癬がある(1点)
2.爪の乾癬(1点)
  爪甲剥離、爪点状陥凹、爪肥厚
3.血清リウマチ因子陰性(1点)
4.指炎 現在見られる(1点)、専門医による過去の診断(1点)
5.手または足のX線検査で関節周囲の骨形成(1点) 骨棘は除く

PROFILE

さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

日本整形外科学会専門医日本リウマチ学会専門医日本整形外科超音波学会会員

「見逃してはいけない関節疾患と関節関連疾患」への4件のフィードバック

  1. 40代主婦です。
    8月から、座った時のみ左側の坐骨周辺、椅子の座面に当たる太ももの裏に骨や筋肉が底つきしているような鈍痛を感じるようになり、整形外科でラセーグテスト、レントゲンを撮りましたが、異常がなく、そのうち治っていくでしょう、という事でそのまま帰され、現在は鍼灸院にて治療を受けていますが、なかなか改善しません。
    「座った時のみ」の鈍痛で、立ち上がると鈍痛や違和感がスッとなくなり、歩いても痛みを感じません。
    左側の指先から膝下あたりまで、ピリピリと痺れがあり、
    特に歩き過ぎたりすると痺れが強くなります。

    坐骨周辺が、右側に比べると固くなっているのがわかります。自分で押しても違和感のみで激痛はありません。太もも裏は押してもなんともありません。
    過去2回程、同じ症状がありましたが、一過性のもので治りました。今回は長引き、椅子に長時間座ることが億劫になって本当に困っております。
    原因がわからないので余計に不安感が増しております。
    どんな病名が考えられますでしょうか。

  2. まいぴさん

    その後症状いかがでしょうか。
    座った時のみということで、坐骨に付着する大腿二頭筋などの付着部炎を疑います。
    筋肉に負担がかかったあとや、免疫の病気(強直性脊椎炎など)でも
    坐骨に限らず筋肉の先端の腱が骨に付着する部位に炎症を起こすことがあります。
    超音波画像では炎症がドップラー陽性としてとらえられることもあります。
    治療としては炎症がある部位への局所麻酔とステロイドの注射が効果的なことが多くみられます。
    一度超音波やMRIなどを行ってみてはいかがでしょうか。

  3. お返事ありがとうございました。
    先生の病院は某スーパーに行く途中に通ります。ブログを
    綴ってみえるので、お聞きしてみました。

    症状は相変わらずで、家では低反発のざぶとんを
    椅子に敷いていますが、それでもだんだん違和感を感じるようになります。
    立つとその鈍い痛みが軽減されます。
    子供の学校の行事や友達との食事の時に困ります。

    ネットで調べると「梨状筋症候群」の出典に書いてある症状にもよく似ているのですが、きちんと検査をした方がよさそうですね。

    先生のブログにありました「たけしのみんなの家庭の医学」は昨年テレビで見ました。椅子に座るとお尻が痛くなる男性も取り上げられていて、北原先生から「筋筋膜性疼痛症状」との診断をうけて、はり治療とテニスボールストレッチを勧められていました。 ただ、全く同じ症状とは限らないため、こればかりは診察を受けないとわからないですね。

  4. まいぴさん

    そうですね
    一度痛みの部位や動作を見せていただいたほうが良いと思います。
    よかったら、お時間のある時にご来院ください。

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