今日は新しいリウマチの内服薬 オルミエント、JAK阻害薬と生物学的製剤について少人数のエキスパートで語る会がありました。
要点を記載しておきます。
JAK USER’s MEETING
横浜医療センター井畑潤先生
関節リウマチにおけるJAK阻害剤
バリシチニブ JAK1、2阻害作用
いかに活用するか、使い方が重要
GM-CSFやType1 IFNも治験中
低分子だと抗薬剤抗体ができにくい
JAKは滑膜線維芽細胞にも作用している
JAK阻害薬間で効果の差は?
オルミエント JAK 1>2
ゼルヤンツ JAK 1>3>2
オルミエントのSTATのIC50阻害時間はゼルヤンツの1/2から2/3に留まる。
にもかかわらず、臨床的には効果を示す。
IC50だけでは臨床効果を判断することはできない。
ユリノームと併用するとオルミエントの濃度は上がってしまう。
eGFR30以上の中等度腎障害では、容量を半分の2mgに。
eGFR30以下では使用不可。
一方、中等度の肝障害では血中濃度は変わらなかった。肝障害はそこまで気にしなくても良い。
妊娠授乳 胎盤通過する。動物では催奇形性がある。乳汁にも濃縮されて移行する。
妊娠、授乳には使わないように。
肺塞栓、深部静脈血栓症が少数例みられる。因果関係は不明だが注意を。
筋症状を伴わないCK上昇が見られることも。
感染症のリスクは2mgよりも4mgで多い。容量依存性?
帯状疱疹に注意。50代から増える。
単純ヘルペスは増えない。
リスク因子 年齢、罹病期間、糖尿病、帯状疱疹の既往
MTXやステロイドは関係ない。
減量、休薬 RA-BEYOND試験
減量群で15%が再燃
継続群で10%が脱落
discussion
MTXを最大容量まで使っても寛解導入できない患者さんに併用し、寛解導入できたらMTXはどんどん減量して、単剤で使用も可能ではないか。
EULAR recommendationでは、歴史の長い生物学的製剤をJAKよりも優先して用いることを推奨
JAKは多剤無効例に使用しているという先生も。2mgで使用することでコストダウンもできるが、寛解達成しているかしっかり確認すること。高疾患活動性でも2mgで効くことがある。
オルミエントは3日ほど飲むと痛みが取れるため、アドヒアランスは良い。倦怠感、疲労感はよく取れる。生物学的製剤のように冷蔵する必要もない。
JAKは一次無効はあるが、抗薬物抗体による二次無効はほとんどないのではないか。そのため、2mgから始めて4mgにするのもあり。
アドヒアランスの問題は注射にも内服にもある。患者さんにリウマチというものを理解してもらい、用法用量を守ることが高価と安全性の面からも大切であることを認識していただくことが重要。
ゼルヤンツ 5mg 1日2回 70%が肝代謝 タクロリムスは併用禁忌
オルミエント 2〜4mg 1日1回 75%が腎排泄