院長ブログ

リウマチと痛みを考える会

今日はヤンセンファーマ後援で
リウマチと痛みを考える会
という会を催しました。

最初に私から、超音波を用いたリウマチ性疾患の鑑別の仕方と超音波で所見が陰性であった時の痛みの鑑別の仕方について30分お話させていただきました。

その後、小寺先生から乾癬と乾癬性関節炎についてのエビデンスと日常診療について。

牛田先生からは、痛みのシステムについての最新情報をお伝えいただきました。

痛みという、身近でありつつもとても奥の深い現象について考える、とーっても有意義な時間になりました。

富貴ノ台整形外科の河崎先生とも久し振りにお話できて楽しかったです。

以下、今日のご講演内容から要点です。

JCHO中京病院 小寺先生
PsAの診断と最近の話題

4週間で表皮の基底層がターンオーバー
乾癬は4日 血管の造成 アウスピッツ現象

強直性脊椎炎でも皮疹が出ることがあり、鑑別注意
頭と爪に乾癬皮疹があれば、関節症を起こしやすい。

IL23→IL17→ケラチノサイト増殖
トレムフィアはIL23p19をブロック

日本での関節症性乾癬の有病率は地域差もあり6〜30%

皮膚科医とリウマチ医の診断で、関節症性乾癬の有病診断率はリウマチ医で高かった。

乾癬の面積が増えると関節症の発症も多くなる。

RAと同等の身体障害が起こりうる疾患

6ヶ月以内に専門医の受診を

IL17Aは腸管免疫に対してnegative regulator
トレムフィアIL23阻害では腸管免疫を下げない。

ACR2017
TNFfirst
GRAPPA recommendationに従って治療を考慮

指炎を認める関節の方が破壊が多い。

DAPSA ARD2010 皮疹の重症度が入っていない。
MDA minimal disease activityを12ヶ月達成していると優位に関節破壊は少なかった。

PsAはheterogenous
薬剤によって皮膚と関節の効果が異なることがある。

愛知医科大学学際的痛みセンター
牛田先生

痛みの定義 IASP
具体的な組織損傷や、そのようなダメージがあると受け止められた不快な感覚 情動体験
筋骨格系慢性疼痛の発生頻度
オーストラリア 二人暮らしで慢性疼痛多い。
尾張旭市 一人暮らしで慢性疼痛多い。
慢性疼痛を精神科の医師が見ると身体表現性疼痛の診断がつきやすい。60%以上。
心の病気で医療機関を受診した小学生 10%

子宮頸がん予防摂取を打った女児 9000人 打っていない人20000人
年齢補正をすると症状発生に有意差なし。

恨みや怒りは痛みが慢性化しやすい。

痛いことをされたら痛いのか?
ストレス鎮痛 戦闘中や運動競技中に受傷しても痛みを感じない
内因性オピオイドが関連

手を叩かれると自由神経終末で侵害受容をし、脊髄で交差して上行し体性感覚野で痛いと感じる。

叩かれる相手によって痛さが変わる。
痛みは感覚で苦しむのではなく、情動で苦しむ。

TRPV1チャンネル 唐辛子でも42度の温度でも痛みを感じる。
TRPV8 メンソール、または25度よりも低い温度を痛みを感じる
piezo2 触られたことを電気信号に変える。

痛みのパラドックス
thermal grill illusion

怪我をすると皮膚の障害により放出されたK 、ATPなどが神経を刺激
神経ペプチドの放出により神経原性炎症がおこる。
感覚神経は内分泌器官でもある!
シャルコージョイントでは腫れにくい。

nociplastic pain
脊髄や末梢神経の感作が運動器痛が長引く大きな問題。
サルコペニアはtype2の速筋が減る。
ギブス固定など不動ではtype1遅筋が減り、持久力が減る。
脳.脊髄の神経系の変化も起こる。

神経障害性疼痛におけるアロデニアのメカニズム
神経末端にATP受容体が出てくる。

腕神経叢引き抜き損傷の患者さんにはDREZ手術が効果的。

アロデニアの患者さんでは、視床に反応が出ない。
触られなくても、見るだけで不快体験が起こる。
腰痛経験者では、重いものを持ち上げている写真を見るだけで痛みを感じる。
実質的なものがあってもなくても、脳が不快な感覚・情動を感じていればそれが痛み。

PTSDでは海馬(記憶の中枢)を中心とした脳萎縮が引き起こされる。

アイドリング状態の脳活動 default mode network
慢性腰痛では脳の灰白質が縮小する

痛みと訴えたり、痛い顔をする、じっとする、などの痛み行動に対して報酬が払われると疾病利得を覚えてしまう。環境から抜け出せなくなる。
医師は疾病利得を知って、ニュートラルに振舞わなければならない。
疾病利得を学んだ犬は痛み行動をすることを覚える。
お金に関してもおこる。

ソーシャルリファレンス

2018.11.10 | コメント(0)

岡崎からリウマチWEBセミナー

10/24水曜日は、診療後の夕方から岡崎へお出かけし、
加藤整形外科の加藤武史先生と
リウマチが専門ではないけれど
リウマチの患者さんを診療している
開業医の先生たちに向けて
インターネットwebセミナーを行いました。

今は関節リウマチの治療薬が進化して
専門医にかかれば
ほとんどの人がリウマチを忘れられるほど
よくなることができるようになっています。

その一方、専門医にかかっていない患者さんは
まだなかなかリウマトレックスやメトレートといった
基本のMTX製剤も十分に使われておらず
注射の生物学的製剤や、
JAK阻害薬という低分子化合物の内服薬も
使用できずにいます。

何より大切なことは、
足趾を含めて全身の関節をちゃんと触診して、
壊れる可能性のある関節を超音波で見抜いて
発症超早期の関節が壊れる前の段階で
治療を開始することです。

今回は、
これだけは覚えておきたい!
プライマリケアのリウマチ診療
というタイトルで
僕からはリウマチ診断編として
手がこわばる、と患者さんが訪れた時に
鑑別すべき疾患と考え方についてお話ししました。

続いて加藤先生からは治療編として
いかに早期にMTXを増量するか
寛解に至らなければ速やかに生物学的製剤を導入するか
そして、加藤先生が実践されている、
リウマチ発症早期に行う
ヒュミラとMTXの同時投与の経験などを
お話していただきました。

現在は基本のお薬であるMTXを
いかに早く16mgの最大容量まで増量して
その人に必要な有効血中濃度に達するか
がとても大切であると言われています。

僕や加藤先生の実経験でも
診断してすぐにMTX8mg
2週後に12mg
その後2〜4週で16mgまで増量して
速やかにMTXの効果を最大限発揮します。

副作用としての吐気や倦怠感、
採血異常値などがみられたら、
HIT&AWAYで速やかにMTX容量を減らします。

それでも寛解に至らなければ、
早期にその人に1番よいと思われる
生物学的製剤をチョイスします。

特に発症超早期の人であれば
ヒュミラを選択します。

HIT EARLY & HARD
そして
HIT & AWAY
がとても大切なコツです。

ヒュミラは寛解後に中止できる患者さんも
他の生物学的製剤に比べて多く、
実際に関西グループのANSWER cohortでも
それを証明する論文が出てきました。

発症超早期のリウマチ患者さんに
出会うことの多いプライマリケアの先生が
ちゃんとリウマチを診断して
MTXを使いこなし、
必要であればヒュミラまで導入して
BIO freeまで達成する。

そんな治療格差のない時代が来るとよいですね。

もちろん、自分ではそこまでなかなか治療できない
という開業医の先生は
速やかに専門医に紹介していただきたいと思います。

治療も診断の技術も確立されてきた現在では、
医師がいかに早く診断するか
が1番大切なポイントになってきています。

今回の企画をしてくださったabbvie、エーザイの皆様と最後にパチリ。

よい機会をありがとうございました。

2018.10.26 | コメント(0)

高齢化社会におけるフレイルとリウマチ診療

Biologics Expert Seminar in RA

今日は田辺三菱製薬主催のお勉強会に参加しました。

講演1はフレイルを考慮した高齢者医療

フレイルは要介護と健常の中間で、要介護や脂肪に陥りやすい状態
狭義のフレイル 身体的なフレイル 
広義のフレイル CGA(高齢者総合機能評価)に基づいたフレイル

フレイルサイクル
身体的フレイル サルコペニア、低栄養、鬱、廃用
精神的フレイル 認知機能障害、鬱
社会的フレイル 孤立 閉じこもり
→転倒、骨折、せん妄、要介護

サルコペニア
筋肉量の低下、筋力の進行性の消失
身体機能低下、QOL低下、脂肪など健康被害のリスクを伴う状態。
フレイル外来 体組成、筋力、歩行速度の評価

握力、歩行速度測定 低下あり→筋肉量測定 低下あり→筋肉の機能低下 Dynapenia
糖尿病はサルコペニアをきたしやすい。
Timed up and go test・・・ DMでは長くかかる。
DM+握力低下→脂肪、心血管疾患の死亡リスクが高まる。

DMにおけるサルコペニア発症と関連する因子
インスリン抵抗性、インスリン分泌低下
高血糖、神経障害、腎症、DM足潰瘍
低栄養 蛋白質摂取低下、ビタミンD不足
身体活動量低下
炎症 CRP、GDF15高値
ミトコンドリア機能異常、酸化ストレスなど

サルコペニア+炎症
Rheumatoid Cachexia
生活習慣 身体活動量低下、栄養、血統や脂質のコントロール不良、腹部肥満、合併症
高血糖HbA1C8.0以上→フレイルを起こしやすい。
低血糖もフレイルをきたしうる。
DMにフレイルが合併すると死亡率が上がる。

HbA1Cが低くてもフレイルは起こしやすい。6.9%ではフレイルのリスク1.4倍。

フレイルを考慮した食事療法
筋肉の機能と量を維持するために、1.0-1.2g/kg または70g/日以上の蛋白質を摂取する。
ビタミンD,A,B、ミネラルの摂取
ロイシンが筋肉の蛋白質合成を促す。(卵、魚介、大豆などに多い)

75歳以上の後期高齢者は蛋白質摂取が少ない群(<60g/日)で脂肪のリスクが高い。J-EDIT

フレイルを考慮した運動療法
レジスタンス運動 少なくとも週2回以上
多要素運動

リスク・ベネフィットを考慮した高齢関節リウマチ治療
高齢発症RA 全身症状が強い、男性が多い、肩や膝など大関節に多い
年を取ると自己免疫が増えてくる。
SLE、SSc、PM/DM、schogrenでも関節症状は55%程度で発現 RAとの鑑別要
血管炎も高齢で多い。
当初PMRと診断されていても、治療経過中に最終診断がRAと変わる患者も多い。

高齢と言えど、寛解を目指してしっかりと治療を。
リスクが高いから、と治療をしなければ介護が必要になってしまう。

2018.10.13 | コメント(0)